今回解説するのは黒単コントロール、青黒コントロール、青黒アンコウだ。強がりを言わせてもらえばウィー=ゼロックスにとって黒は苦手な色ではない。ウィー=ゼロックスが苦手なのは《チェイナーの布告》であり、そして黒いデッキのほとんどが《チェイナーの布告》を使っているというだけだ。そういう訳で今日取り上げるデッキへの勝率は比較的低い。
・黒単コントロール
大雑把に言えば《堕落の触手》や《Oubliette》のような重くて強い除去が多い方が1マナの《使徒の祝福》や《払拭》でこれらを防ぐことでテンポ・アドバンテージを取りやすく、相手の隙をついて攻撃を通しやすい。逆に《見栄え損ない》や《死の重み》のような対象が限定されていても軽い除去が多いと相手にペースを握られやすい。そしてそれとは別の問題として、ウィー=ゼロックスのメインデッキに入っているカードでは《チェイナーの布告》に対処することができないので、相手の《チェイナーの布告》の枚数よりも多くのクリーチャーを引かないと勝つことができない。
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
1 《変異原性の成長》
イン
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》
一応書いてはみたもののサイドボーディングはかなり流動的だ。《見栄え損ない》や《残響する衰微》が多いようなら《変異原性の成長》は2枚とも残したい。布告除去が《ゲスの評決》まで積まれているなら《使徒の祝福》を残すよりも3枚目の《払拭》をサイドインした方が良い。とは言ってもメインのゲームで相手の除去の種類がしっかり確認できることばかりではないし、勘や気分でサイドボーディングしてしまうことも多い。ゲームが長引きやすいコントロール相手には《激闘》の枚数を減らすことが多いが、黒単コントロールはそこそこクリーチャーを並べてくるデッキであること、《使徒の祝福》は除去回避としての活用がメインなこと、そして手札破壊の可能性があることから《激闘》が欲しいときに手札に無いことがあるので3枚残している。
《騒がしいネズミ》のことを考えると土地が詰まって動きが止まってしまいそうな初手はキープしたくない。除去回避を構えてクリーチャーを出すために3~4マナまではすんなり土地を伸ばしたいところだ。
《秘密を掘り下げる者》を機能させるために《クォムバッジの魔女》は除去した方が良いが、《騒がしいネズミ》と《ファイレクシアの憤怒鬼》は《発掘》によってアドバンテージを積み重ねられてしまう可能性があるのでむやみに除去しない方が良い。
序盤の内はフルタップでクリーチャーを出すこと恐れないこと。例えば、手札に《使徒の祝福》と《悪鬼》があるが土地が2マナしかない場合には3枚目の土地を引くまで《悪鬼》の展開を待ちたいと思うかもしれない。しかし相手の除去は《使徒の祝福》では対処できないものかもしれないし、3枚目の土地を引く前に後続のクリーチャーを引くかもしれない。その場合は《悪鬼》を出さなかった分の1ターンが無駄になってしまうので、序盤はある程度自分のドローに希望を持ってクリーチャーを展開していったほうが良い。もし除去がなければそのまま勝てるかもしれないしね。
《騒がしいネズミ》のことを考えると手札に1枚だけ土地を抱えるブラフは絶対にしてはいけない。十分なマナがあって要らないカードが手札にある場合には《騒がしいネズミ》が出てきても新鮮なドローを保つためにフェッチランドを起動せずに温存しておいてもいい。基本的にどのカードをライブラリーの一番上に戻そうがゲームに影響はないが、《秘密を掘り下げる者》がいる時には確実に変身させられるのを忘れないこと。この場合、公開するのは《激闘》や《払拭》ではなく《ギタクシア派の調査》のようなドロー呪文にしておいた方が相手に与える情報が少なくて済む。
今のリストでは布告除去への対策として《嵐縛りの霊》ではなく《空中生成エルドラージ》を採用している。《嵐縛りの霊》は色拘束が強いのと、《Oubiette》1枚で対処されないように《使徒の祝福》を構えようとすると合計4マナかかってしまうのが使いづらく感じたからだ。《秘密を掘り下げる者》を伴ってダメージレースをする際に、地上クリーチャー(特に《グルマグのアンコウ》)をブロックできるかどうかも大きな差だと思う。当然《空中生成エルドラージ》を活かすためには《クォムバッジの魔女》を除去しなければならないし、《墓所のネズミ》のような全体除去には弱くなってしまっている。
リーグでの戦績は12勝9敗と一応勝ち越せている。黒単コントロールに負ける時は本当に何もできずに負けて苦しいものだが、相手も同じように苦しいはずなので心を折らずに頑張ってほしい。
・青黒コントロール
黒単コントールと比較して考えると、このデッキはアドバンテージを取る能力がより高く、打ち消しという干渉手段も持っている。その代わり《灰色商人》のようにゲームをひっくり返すようなカードはないし、多色デッキであるがゆえにタップ状態で場に出る土地が多くテンポが良くない。ウィー=ゼロックスのように《紅蓮破》を使えるデッキであれば、《熟考漂い》や《海門の神官》などのアドバンテージ獲得手段に干渉することができる。
逆に言えば、ウィー=ゼロックスが付け込める隙はその程度のものだ。テンポの悪い序盤を凌がれ、《騒がしいネズミ》で手札を攻められ、《チェイナーの布告》がフラッシュバックできる7マナまで到達されたら勝つのは非常に難しい。
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
1 《ティムールの激闘》
1 《変異原性の成長》
3 《稲妻》
イン
3 《紅蓮破》
1 《払拭》
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》
序盤に土地をタップインしている内にクリーチャーを場に出し、《払拭》や《使徒の祝福》を構えるのが理想だ。それができなかった場合はゲームが長引いてアドバンテージの勝負になる。布告に対して《空中生成エルドラージ》で対抗し、《紅蓮破》は相手の青いクリーチャーに狙いをさだめ、自分の《噴出》を通すことにも注力する。
クリーチャーがほとんど入っておらず《神秘の指導》や《熟慮》を多用するタイプには《稲妻》を抜いてさらに《大祖始の遺産》を入れる。こちらが序盤に土地を引きすぎていて逆に相手が土地を引けていない場合には、こちらの手札が十分に溜まるまで行動に移らないというのも1つの手だ。土地が伸び続けなければ相手は手札捨てざるを得ないのでこちらが待つことでのデメリットはほとんどない。こちらの手札が整ったらお互い7枚の手札を抱えた状態から攻防をスタートさせる。行動回数で上回ってクリーチャーを生き残らせることができれば1,2ターンの内での勝利を狙うことができる。墓地からアドバンテージを回収されないために《大祖始の遺産》を出しておければなお心強い。
そうやってとにかく相手をテンポで上回ってマナが尽きるタイミングを作り出すか、カードアドバンテージで上回って手札が尽きるタイミングを作り出すかして勝利する。リーグでの戦績(ほとんどがクリーチャーの少ない《神秘の指導》タイプ)は12勝10敗。なんとか五分五分の戦績を上げてはいるが、やはり最も当たりたくないデッキの1つだ。おそらく《幽霊のゆらめき》タイプへの勝率はもっと悪くなるんじゃないかと思う。
・青黒アンコウ
とにかくインスタントが多いデッキなのでこちらの《払拭》が大いに活躍する。布告除去よりも対象にマイナス修正を与えるような除去が多いので《変異原性の成長》や《使徒の祝福》も活きやすい。手札を腐らせないためには《変異原性の成長》は使える時に使っていき、《払拭》はなるべくとっておくべきだろう。《思考掃き》と《留意》から高速で《グルマグのアンコウ》を展開されるのが一番恐ろしいが、これらの呪文に《払拭》を使ってしまうのはもったいないと思う。《思考掃き》と《留意》はあくまでただのキャントリップであり、《思案》や《定業》のようなドロー操作の能力がないからだ。ただし、《渦まく知識》で要らないカードをデッキトップに積み込んだ上での《留意》はカード2,3枚分の価値があるので打ち消した方が良いだろう。
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
3 《稲妻》
2 《ティムールの激闘》
イン
1 《払拭》
3 《紅蓮破》
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》
今回紹介したリストには布告除去が入っていないが、2枚程度《チェイナーの布告》を積んだ構築は珍しくないので《空中生成エルドラージ》は必要だ。青黒アンコウ相手には《嵐縛りの霊》と違って地上クリーチャーをブロックできることが特に意味を持つ。《蓄積した知識》を積んでいるタイプには《大祖始の遺産》を2枚入れよう。墓地が5~6枚溜まってきたら《アンコウ》を警戒して《遺産》の2番目の能力を起動してしまっていいと思う。せいぜい見えている《マナ漏出》くらいの働きだ。青黒アンコウには《熟考漂い》のような派手なアドバンテージ獲得手段があまり入っていないので、特に《紅蓮破》を温存しておく必要がない。これで相手の《秘密を掘り下げる者》の除去を大体まかなえるので、他に用途のない《稲妻》は減らしてしまう。
相手はこちらのクリーチャーをなんでも除去できるがこちらは《アンコウ》に対する良い回答がないので、運良く高速で《アンコウ》を出されてしまうと一気に苦しいゲームになる。《悪鬼》や《サイクロプス》をブロックに回して《アンコウ》との相打ちを狙わなければいけないこともあるだろう。まあこのデッキも親和のときと同じように、相手の引きの良し悪しでゲームが決まってしまうことは多い。
リーグでの戦績は11勝9敗。なんとか五分五分といったところだが、《払拭》の枚数を4枚にすればもう少し上手く戦えるかもしれない。
その3の更新から日が空いてしまいました。その間にMM3でコモン落ちした《ボーラスの占い師》を入れたタイプのウィーゼロを回していました。《ボーラスの占い師》はなかなか好感触ですね。テンポ勝負になるようなデッキ相手にはちょっと邪魔になるものの、地上アグロへのブロッカーになるしコントロール相手のアドバンテージ源にもなる。今回取り上げた黒単コントロール、青黒コントロールへの相性も改善するんじゃないかと期待しています。次回は白系のデッキか、あるいは呪禁オーラとエルフあたりにしようかな。
・黒単コントロール
2017-03-18, 5-0 by pistillone黒単コントロールは《ファイレクシアの憤怒鬼》、《騒がしいネズミ》そして《血の署名》でアドバンテージを獲得し、さまざまな1対1交換のできる除去で相手を妨害する。最後は《アスフォデルの灰色商人》が圧倒的なライフ差を付けて止めを刺す。あくまで「比較的に」と付け加えておくが、黒単コントロールはプレイングよりも構築段階の除去の選択によって差が付きやすい。黒は除去の色だから選択肢が多くなるのは当然と言えば当然だ。
クリーチャー(17)
4 《クォムバッジの魔女/Cuombajj Witches》
4 《騒がしいネズミ/Chittering Rats》
4 《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》
4 《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》
1 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
その他の呪文(21)
3 《見栄え損ない/Disfigure》
2 《発掘/Unearth》
3 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》
4 《血の署名/Sign in Blood》
3 《夜の犠牲/Victim of Night》
3 《堕落の触手/Tendrils of Corruption》
1 《死の重み/Dead Weight》
2 《Oubliette》
土地(22)
4 《やせた原野/Barren Moor》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
1 《亡骸のぬかるみ/Mortuary Mire》
16 《沼/Swamp》
サイドボード(15)
2 《強迫/Duress》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《死せざる邪悪/Undying Evil》
2 《減縮/Shrivel》
1 《夜の犠牲/Victim of Night》
3 《精神ねじ切り/Wrench Mind》
2 《大牙の衆の忍び/Okiba-Gang Shinobi》
1《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
大雑把に言えば《堕落の触手》や《Oubliette》のような重くて強い除去が多い方が1マナの《使徒の祝福》や《払拭》でこれらを防ぐことでテンポ・アドバンテージを取りやすく、相手の隙をついて攻撃を通しやすい。逆に《見栄え損ない》や《死の重み》のような対象が限定されていても軽い除去が多いと相手にペースを握られやすい。そしてそれとは別の問題として、ウィー=ゼロックスのメインデッキに入っているカードでは《チェイナーの布告》に対処することができないので、相手の《チェイナーの布告》の枚数よりも多くのクリーチャーを引かないと勝つことができない。
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
1 《変異原性の成長》
イン
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》
一応書いてはみたもののサイドボーディングはかなり流動的だ。《見栄え損ない》や《残響する衰微》が多いようなら《変異原性の成長》は2枚とも残したい。布告除去が《ゲスの評決》まで積まれているなら《使徒の祝福》を残すよりも3枚目の《払拭》をサイドインした方が良い。とは言ってもメインのゲームで相手の除去の種類がしっかり確認できることばかりではないし、勘や気分でサイドボーディングしてしまうことも多い。ゲームが長引きやすいコントロール相手には《激闘》の枚数を減らすことが多いが、黒単コントロールはそこそこクリーチャーを並べてくるデッキであること、《使徒の祝福》は除去回避としての活用がメインなこと、そして手札破壊の可能性があることから《激闘》が欲しいときに手札に無いことがあるので3枚残している。
《騒がしいネズミ》のことを考えると土地が詰まって動きが止まってしまいそうな初手はキープしたくない。除去回避を構えてクリーチャーを出すために3~4マナまではすんなり土地を伸ばしたいところだ。
《秘密を掘り下げる者》を機能させるために《クォムバッジの魔女》は除去した方が良いが、《騒がしいネズミ》と《ファイレクシアの憤怒鬼》は《発掘》によってアドバンテージを積み重ねられてしまう可能性があるのでむやみに除去しない方が良い。
序盤の内はフルタップでクリーチャーを出すこと恐れないこと。例えば、手札に《使徒の祝福》と《悪鬼》があるが土地が2マナしかない場合には3枚目の土地を引くまで《悪鬼》の展開を待ちたいと思うかもしれない。しかし相手の除去は《使徒の祝福》では対処できないものかもしれないし、3枚目の土地を引く前に後続のクリーチャーを引くかもしれない。その場合は《悪鬼》を出さなかった分の1ターンが無駄になってしまうので、序盤はある程度自分のドローに希望を持ってクリーチャーを展開していったほうが良い。もし除去がなければそのまま勝てるかもしれないしね。
《騒がしいネズミ》のことを考えると手札に1枚だけ土地を抱えるブラフは絶対にしてはいけない。十分なマナがあって要らないカードが手札にある場合には《騒がしいネズミ》が出てきても新鮮なドローを保つためにフェッチランドを起動せずに温存しておいてもいい。基本的にどのカードをライブラリーの一番上に戻そうがゲームに影響はないが、《秘密を掘り下げる者》がいる時には確実に変身させられるのを忘れないこと。この場合、公開するのは《激闘》や《払拭》ではなく《ギタクシア派の調査》のようなドロー呪文にしておいた方が相手に与える情報が少なくて済む。
今のリストでは布告除去への対策として《嵐縛りの霊》ではなく《空中生成エルドラージ》を採用している。《嵐縛りの霊》は色拘束が強いのと、《Oubiette》1枚で対処されないように《使徒の祝福》を構えようとすると合計4マナかかってしまうのが使いづらく感じたからだ。《秘密を掘り下げる者》を伴ってダメージレースをする際に、地上クリーチャー(特に《グルマグのアンコウ》)をブロックできるかどうかも大きな差だと思う。当然《空中生成エルドラージ》を活かすためには《クォムバッジの魔女》を除去しなければならないし、《墓所のネズミ》のような全体除去には弱くなってしまっている。
リーグでの戦績は12勝9敗と一応勝ち越せている。黒単コントロールに負ける時は本当に何もできずに負けて苦しいものだが、相手も同じように苦しいはずなので心を折らずに頑張ってほしい。
・青黒コントロール
2017-03-27, 5-0 by Suiqueiraしばらくの間、青黒コントロールと言えばクリーチャーをほとんど採用せずに《エヴィンカーの正義》+《清純のタリスマン》か《血まみれの書の呪い》を勝利手段としたものが主流だった。しかしここ数ヶ月の間に《古術師》と《幽霊のゆらめき》と戦場に出たときにアドバンテージが取れるクリーチャーとを組み合わせたコンボを搭載したタイプが主流になっている。
クリーチャー(14)
4 《騒がしいネズミ/Chittering Rats》
4 《海門の神官/Sea Gate Oracle》
2 《古術師/Archaeomancer》
4 《熟考漂い/Mulldrifter》
その他の呪文(24)
3 《見栄え損ない/Disfigure》
4 《定業/Preordain》
4 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》
4 《対抗呪文/Counterspell》
3 《破滅の刃/Doom Blade》
2 《残響する衰微/Echoing Decay》
1 《本質の散乱/Essence Scatter》
2 《幽霊のゆらめき/Ghostly Flicker》
1 《墓の刈り取り/Reaping the Graves》
土地(22)
1 《やせた原野/Barren Moor》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
4 《ディミーアの水路/Dimir Aqueduct》
4 《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
1 《光輝の泉/Radiant Fountain》
6 《島/Island》
5 《沼/Swamp》
サイドボード(15)
1 《無効/Annul》
3 《払拭/Dispel》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《残響する衰微/Echoing Decay》
1 《本質の散乱/Essence Scatter》
2 《減縮/Shrivel》
3 《嵐縛りの霊/Stormbound Geist》
2 《綿密な分析/Deep Analysis》
黒単コントールと比較して考えると、このデッキはアドバンテージを取る能力がより高く、打ち消しという干渉手段も持っている。その代わり《灰色商人》のようにゲームをひっくり返すようなカードはないし、多色デッキであるがゆえにタップ状態で場に出る土地が多くテンポが良くない。ウィー=ゼロックスのように《紅蓮破》を使えるデッキであれば、《熟考漂い》や《海門の神官》などのアドバンテージ獲得手段に干渉することができる。
逆に言えば、ウィー=ゼロックスが付け込める隙はその程度のものだ。テンポの悪い序盤を凌がれ、《騒がしいネズミ》で手札を攻められ、《チェイナーの布告》がフラッシュバックできる7マナまで到達されたら勝つのは非常に難しい。
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
1 《ティムールの激闘》
1 《変異原性の成長》
3 《稲妻》
イン
3 《紅蓮破》
1 《払拭》
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》
序盤に土地をタップインしている内にクリーチャーを場に出し、《払拭》や《使徒の祝福》を構えるのが理想だ。それができなかった場合はゲームが長引いてアドバンテージの勝負になる。布告に対して《空中生成エルドラージ》で対抗し、《紅蓮破》は相手の青いクリーチャーに狙いをさだめ、自分の《噴出》を通すことにも注力する。
クリーチャーがほとんど入っておらず《神秘の指導》や《熟慮》を多用するタイプには《稲妻》を抜いてさらに《大祖始の遺産》を入れる。こちらが序盤に土地を引きすぎていて逆に相手が土地を引けていない場合には、こちらの手札が十分に溜まるまで行動に移らないというのも1つの手だ。土地が伸び続けなければ相手は手札捨てざるを得ないのでこちらが待つことでのデメリットはほとんどない。こちらの手札が整ったらお互い7枚の手札を抱えた状態から攻防をスタートさせる。行動回数で上回ってクリーチャーを生き残らせることができれば1,2ターンの内での勝利を狙うことができる。墓地からアドバンテージを回収されないために《大祖始の遺産》を出しておければなお心強い。
そうやってとにかく相手をテンポで上回ってマナが尽きるタイミングを作り出すか、カードアドバンテージで上回って手札が尽きるタイミングを作り出すかして勝利する。リーグでの戦績(ほとんどがクリーチャーの少ない《神秘の指導》タイプ)は12勝10敗。なんとか五分五分の戦績を上げてはいるが、やはり最も当たりたくないデッキの1つだ。おそらく《幽霊のゆらめき》タイプへの勝率はもっと悪くなるんじゃないかと思う。
・青黒アンコウ
2017-03-20, 5-0 by NY8381青黒アンコウは《グルマグのアンコウ》と《秘密を掘り下げる者》そして少数の《スゥルタイのゴミあさり》をクロックとしたテンポデッキであり、前述の2つのコントロールデッキとはゲームの進め方が大きく異なっている。青黒アンコウはデッキの半分以上がインスタントで占められており、《渦まく知識》の支援もあるため《秘密を掘り下げる者》が非常に変身させやすくなっている。さらに《秘密を掘り下げる者》で確認したデッキトップを《思考掃き》などで除外する小技も可能で、Pauperでもっとも《秘密を掘り下げる者》を上手く使っているデッキと言える。
クリーチャー(10)
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
2 《スゥルタイのゴミあさり/Sultai Scavenger》
4 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
その他の呪文(32)
4 《渦まく知識/Brainstorm》
2 《見栄え損ない/Disfigure》
1 《恐ろしい死/Ghastly Demise》
4 《留意/Mental Note》
4 《思考掃き/Thought Scour》
1 《苦悶のねじれ/Agony Warp》
4 《対抗呪文/Counterspell》
2 《目くらまし/Daze》
3 《剥奪/Deprive》
1 《破滅の刃/Doom Blade》
1 《残響する衰微/Echoing Decay》
1 《無残な収穫/Grim Harvest》
2 《熟慮/Think Twice》
1 《神秘の指導/Mystical Teachings》
1 《噴出/Gush》
土地(18)
4 《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
2 《進化する未開地/Evolving Wilds》
2 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
8 《島/Island》
2 《沼/Swamp》
サイドボード(15)
1 《払拭/Dispel》
1 《はらわた撃ち/Gut Shot》
2 《水流破/Hydroblast》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《破滅の刃/Doom Blade》
1 《減縮/Shrivel》
1 《墓所への乱入/Crypt Incursion》
1 《除外/Exclude》
2 《腐臭の地/Rancid Earth》
3 《嵐縛りの霊/Stormbound Geist》
とにかくインスタントが多いデッキなのでこちらの《払拭》が大いに活躍する。布告除去よりも対象にマイナス修正を与えるような除去が多いので《変異原性の成長》や《使徒の祝福》も活きやすい。手札を腐らせないためには《変異原性の成長》は使える時に使っていき、《払拭》はなるべくとっておくべきだろう。《思考掃き》と《留意》から高速で《グルマグのアンコウ》を展開されるのが一番恐ろしいが、これらの呪文に《払拭》を使ってしまうのはもったいないと思う。《思考掃き》と《留意》はあくまでただのキャントリップであり、《思案》や《定業》のようなドロー操作の能力がないからだ。ただし、《渦まく知識》で要らないカードをデッキトップに積み込んだ上での《留意》はカード2,3枚分の価値があるので打ち消した方が良いだろう。
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
3 《稲妻》
2 《ティムールの激闘》
イン
1 《払拭》
3 《紅蓮破》
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》
今回紹介したリストには布告除去が入っていないが、2枚程度《チェイナーの布告》を積んだ構築は珍しくないので《空中生成エルドラージ》は必要だ。青黒アンコウ相手には《嵐縛りの霊》と違って地上クリーチャーをブロックできることが特に意味を持つ。《蓄積した知識》を積んでいるタイプには《大祖始の遺産》を2枚入れよう。墓地が5~6枚溜まってきたら《アンコウ》を警戒して《遺産》の2番目の能力を起動してしまっていいと思う。せいぜい見えている《マナ漏出》くらいの働きだ。青黒アンコウには《熟考漂い》のような派手なアドバンテージ獲得手段があまり入っていないので、特に《紅蓮破》を温存しておく必要がない。これで相手の《秘密を掘り下げる者》の除去を大体まかなえるので、他に用途のない《稲妻》は減らしてしまう。
相手はこちらのクリーチャーをなんでも除去できるがこちらは《アンコウ》に対する良い回答がないので、運良く高速で《アンコウ》を出されてしまうと一気に苦しいゲームになる。《悪鬼》や《サイクロプス》をブロックに回して《アンコウ》との相打ちを狙わなければいけないこともあるだろう。まあこのデッキも親和のときと同じように、相手の引きの良し悪しでゲームが決まってしまうことは多い。
リーグでの戦績は11勝9敗。なんとか五分五分といったところだが、《払拭》の枚数を4枚にすればもう少し上手く戦えるかもしれない。
その3の更新から日が空いてしまいました。その間にMM3でコモン落ちした《ボーラスの占い師》を入れたタイプのウィーゼロを回していました。《ボーラスの占い師》はなかなか好感触ですね。テンポ勝負になるようなデッキ相手にはちょっと邪魔になるものの、地上アグロへのブロッカーになるしコントロール相手のアドバンテージ源にもなる。今回取り上げた黒単コントロール、青黒コントロールへの相性も改善するんじゃないかと期待しています。次回は白系のデッキか、あるいは呪禁オーラとエルフあたりにしようかな。
【Pauper】ウィーゼロ解説その3 トロン
2017年3月16日 ウィーゼロ コメント (8)今回紹介するのはティムール(赤緑青)トロンとムラーサ(青赤タッチ緑)トロンだ。
昔話になるが、これらのデッキは青赤ポストというデッキをルーツに持っている。青赤ポストは軽い火力と優秀な打ち消し呪文で相手をコントロールして《熟考漂い》と《海門の神官》でアドバンテージを取るとともに相手を攻撃する。《微光地》によって相当量のライフを回復することができ、《雲上の座》によるマナからの《ウラモグの破壊者》や《とどろく雷鳴》あるいは《転覆》が確実なフィニッシャーになる。色マナを捻出するために《予言のプリズム》を使っているため、《神秘の指導》や《禁忌の錬金術》、《古えの遺恨》をフラッシュバックしたり白の強力なサイドカードを使うこともできた。「アヴァシンの帰還」で《幽霊のゆらめき》を得ると《記憶の壁》と組み合わせて戦場に出たときの能力を好きなだけ使えるようにもなった。
やがて《フェアリーの大群》や《時間の亀裂》を使ったコンボ型のポストデッキがあまりに支配的になり、《時間の亀裂》ともども《雲上の座》が禁止されたことで青赤ポストも巻き添えを食う形で姿を消した。そうしてすぐに目を付けられたのが《ウルザの塔》、《ウルザの魔力炉》そして《ウルザの鉱山》のウルザトロンエンジンだ。昔話はこれくらいにして本題に入ろう。
・ティムールトロン
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
1 《払拭》
3 《稲妻》
イン
3 《紅蓮破》
1 《残響する真実》
1 《鋭い痛み》
1 《大祖始の遺産》
《海門の神官》や《熟考漂い》は《稲妻》で除去するよりもなるべく《紅蓮破》で打ち消したい。《赤の防御円》をサイドインされることが多いので《鋭い痛み》と《残響する真実》を入れる。《残響する真実》は相手のターン終了時に《防御円》を戻す使い方をする。《大祖始の遺産》は《炎の稲妻》のフラッシュバックや《憑依された沼墓》を無力化することができる。《チェイナーの布告》や《ムラーサの胎動》に対しても効果を発揮する。《チェイナーの布告》を見たら《空中生成エルドラージ》を入れよう。
戦略は相手が大量のマナを使い始める前にライフを削り切るだけだ。ティムールトロンはそれほど干渉手段が多くなく、《変異原性の成長》や《使徒の祝福》で除去を1枚かわすことができれば比較的楽に勝利することができる。例え《ファングレンの匪賊》に10~20点程ライフを回復されたとしても、十分なクリーチャーと呪文さえあれば30~40点くらいのライフはウィー=ゼロックスの射程圏内だ。《ウラモグの破壊者》に攻撃されたとしてもクリーチャーと2,3枚の土地が残っていれば次のターンに勝てることもある。トロン相手に限った話ではないが、どんな時もゲームを諦めない方が良い。
サイド後は《赤の防御円》を引かれるかどうかでゲームの様相が大きく変わる。《秘密を掘り下げる者》だけでトロンのライフを削り切るのは難しく、基本的には《鋭い痛み》や《残響する真実》を引くまで待たなければいけない。しかし相手がこちらのクリーチャーの数と同じだけのマナしか残していない場合には《激闘》によって《防御円》をすり抜けることができる。《防御円》は「発生源1つが次にあなたに与えるすべてのダメージを軽減する。」ので、《激闘》で二段攻撃を与えたクリーチャーからのダメージを防ぐには2回の起動が必要になる。二段攻撃の「二段目」だけで勝利するにはかなりの数の呪文が必要だが覚えておいて損はないテクニックだ。
・ムラーサトロン
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
4 《稲妻》
1 《ティムールの激闘》
イン
3 《紅蓮破》
1 《払拭》
2 《大祖始の遺産》
1 《空中生成エルドラージ》
ティムールトロンよりもずっと干渉手段が多いのである程度ゲームが長引く覚悟をした方が良い。その場合、クリーチャーを除去されて息切れした状態で手札に《ティムールの激闘》が溜まってしまうのが怖いので枚数を抑える。他にも腐る可能性の高い除去を抜き、相手にアドバンテージを取られないように《紅蓮破》を入れる。もともとある程度バーンへの耐性があるからか《赤の防御円》が入っていることは少ないので、《鋭い痛み》は《防御円》を見てから入れればいいと思う。基本的に《連合儀仗兵》が入っていくることは想定しないが、もし出てきたら《炎の斬りつけ》無しで勝つのは相当難しい。一応《使徒の祝福》は自分のクリーチャーにしか打てないのでブロックを回避する使い方は可能だ。
相手が序盤の色マナの捻出につまづいたり除去とカウンターが噛み合わなかったりすれば、テンポで上回って簡単に勝てることがある。そうでなければ、こちらのカードをなるべく腐らせず、相手にもアドバンテージを取られないように努力する必要がある。《変異原性の成長》、《使徒の祝福》、《払拭》はそれぞれ対応できる除去の種類が違うので、《ギタクシア派の調査》も駆使しながらすべてを使いきれるように動きたい。《紅蓮破》はなるべく《熟考漂い》にとっておきたいし、こちらもアドバンテージを取るため《噴出》を解決することを重視する。
《記憶の壁》と《幽霊のゆらめき》のコンボや《転覆》のバイバックなどは止めることができないとほとんど勝ち目が無くなってしまうので《紅蓮破》や《払拭》を構えなければいけない場面は多い。稀に、《転覆》の対象になった自分のクリーチャーを除去して《転覆》を打ち消さなければならないこともあるだろう。
リーグ開始からティムールトロンには12勝2敗。ムラーサトロンには3勝0敗しているが対戦数が少なくて有利とも不利とも言えない。これは僕個人のリーグ参加の頻度が単純に減っているのと、去年の11月に《流浪のドレイク》が禁止されるまではドレイクトロンという別のデッキとして数えていたためだ。
青赤コントロールも取り上げようかと思ったけれど、自分が知ってる青赤コントロールを見かけなくなってしまったのでやめた。その代わりに青単デルバーに火力をタッチしたようなデッキが最近出てきたけれどあれは回数戦っていないのでよく分かっていない。多分青単デルバーで付け込めていた弱点がなくなっていて苦手だと思う。その分事故のリスクがあったりするんだろうけど。
昔話になるが、これらのデッキは青赤ポストというデッキをルーツに持っている。青赤ポストは軽い火力と優秀な打ち消し呪文で相手をコントロールして《熟考漂い》と《海門の神官》でアドバンテージを取るとともに相手を攻撃する。《微光地》によって相当量のライフを回復することができ、《雲上の座》によるマナからの《ウラモグの破壊者》や《とどろく雷鳴》あるいは《転覆》が確実なフィニッシャーになる。色マナを捻出するために《予言のプリズム》を使っているため、《神秘の指導》や《禁忌の錬金術》、《古えの遺恨》をフラッシュバックしたり白の強力なサイドカードを使うこともできた。「アヴァシンの帰還」で《幽霊のゆらめき》を得ると《記憶の壁》と組み合わせて戦場に出たときの能力を好きなだけ使えるようにもなった。
やがて《フェアリーの大群》や《時間の亀裂》を使ったコンボ型のポストデッキがあまりに支配的になり、《時間の亀裂》ともども《雲上の座》が禁止されたことで青赤ポストも巻き添えを食う形で姿を消した。そうしてすぐに目を付けられたのが《ウルザの塔》、《ウルザの魔力炉》そして《ウルザの鉱山》のウルザトロンエンジンだ。昔話はこれくらいにして本題に入ろう。
・ティムールトロン
2017-03-09, 5-0 by Ovejaウルザトロンは《雲上の座》デッキよりも無色マナしか出ない土地が多いために《彩色の星》などのマナフィルターを必要とする。その束縛を逆に活かして《ファングレンの匪賊》という新しいフィニッシャーが使われている。5点という雑な回復量は放っておくとウィー=ゼロックスでも手が付けられなくなってしまう。
クリーチャー(13)
4 《海門の神官/Sea Gate Oracle》
4 《熟考漂い/Mulldrifter》
4 《ファングレンの匪賊/Fangren Marauder》
1 《ウラモグの破壊者/Ulamog’s Crusher》
その他の呪文(29)
4 《古きものの活性/Ancient Stirrings》
2 《炎の稲妻/Firebolt》
2 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》
2 《とどろく雷鳴/Rolling Thunder》
2 《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》
4 《彩色の星/Chromatic Star》
4 《彩色の宝球/Chromatic Sphere》
4 《探検の地図/Expedition Map》
4 《予言のプリズム/Prophetic Prism》
1 《虹色のレンズ/Prismatic Lens》
土地(18)
3 《憑依された沼墓/Haunted Fengraf》
3 《未知の岸/Unknown Shores》
4 《ウルザの塔/Urza’s Tower》
4 《ウルザの魔力炉/Urza’s Power Plant》
4 《ウルザの鉱山/Urza’s Mine》
サイドボード(15)
2 《電謀/Electrickery》
3 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1 《赤の防御円/Circle of Protection: Red》
2 《緑の防御円/Circle of Protection: Green》
1 《破滅の刃/Doom Blade》
1 《天啓の光/Ray of Revelation》
2 《地の裂け目/Earth Rift》
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
1 《払拭》
3 《稲妻》
イン
3 《紅蓮破》
1 《残響する真実》
1 《鋭い痛み》
1 《大祖始の遺産》
《海門の神官》や《熟考漂い》は《稲妻》で除去するよりもなるべく《紅蓮破》で打ち消したい。《赤の防御円》をサイドインされることが多いので《鋭い痛み》と《残響する真実》を入れる。《残響する真実》は相手のターン終了時に《防御円》を戻す使い方をする。《大祖始の遺産》は《炎の稲妻》のフラッシュバックや《憑依された沼墓》を無力化することができる。《チェイナーの布告》や《ムラーサの胎動》に対しても効果を発揮する。《チェイナーの布告》を見たら《空中生成エルドラージ》を入れよう。
戦略は相手が大量のマナを使い始める前にライフを削り切るだけだ。ティムールトロンはそれほど干渉手段が多くなく、《変異原性の成長》や《使徒の祝福》で除去を1枚かわすことができれば比較的楽に勝利することができる。例え《ファングレンの匪賊》に10~20点程ライフを回復されたとしても、十分なクリーチャーと呪文さえあれば30~40点くらいのライフはウィー=ゼロックスの射程圏内だ。《ウラモグの破壊者》に攻撃されたとしてもクリーチャーと2,3枚の土地が残っていれば次のターンに勝てることもある。トロン相手に限った話ではないが、どんな時もゲームを諦めない方が良い。
サイド後は《赤の防御円》を引かれるかどうかでゲームの様相が大きく変わる。《秘密を掘り下げる者》だけでトロンのライフを削り切るのは難しく、基本的には《鋭い痛み》や《残響する真実》を引くまで待たなければいけない。しかし相手がこちらのクリーチャーの数と同じだけのマナしか残していない場合には《激闘》によって《防御円》をすり抜けることができる。《防御円》は「発生源1つが次にあなたに与えるすべてのダメージを軽減する。」ので、《激闘》で二段攻撃を与えたクリーチャーからのダメージを防ぐには2回の起動が必要になる。二段攻撃の「二段目」だけで勝利するにはかなりの数の呪文が必要だが覚えておいて損はないテクニックだ。
・ムラーサトロン
2017-03-14, 5-0 by DraigsCZoo7青赤デッキの名前として「ムラーサ」という緑の単語が使われているのはちょっと混乱するかもしれない。ムラーサトロンは《ムラーサの胎動》を採用した青赤主体のデッキで《ファングレンの匪賊》は入っていない。ティムールトロンに比べるとより従来の青赤ポストに似ていると言える。
クリーチャー(10)
3 《海門の神官/Sea Gate Oracle》
2 《記憶の壁/Mnemonic Wall》
4 《熟考漂い/Mulldrifter》
1 《ウラモグの破壊者/Ulamog’s Crusher》
その他の呪文(20)
1 《卑下/Condescend》
1 《電謀/Electrickery》
4 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
1 《マグマのしぶき/Magma Spray》
1 《衝動/Impulse》
1 《一瞬の平和/Moment’s Peace》
1 《とどろく雷鳴/Rolling Thunder》
2 《双雷弾/Twin Bolt》
1 《転覆/Capsize》
2 《強迫的な研究/Compulsive Research》
1 《幽霊のゆらめき/Ghostly Flicker》
2 《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》
2 《神秘の指導/Mystical Teachings》
3 《探検の地図/Expedition Map》
1 《イゼットの印鑑/Izzet Signet》
4 《予言のプリズム/Prophetic Prism》
土地(22)
2 《島/Island》
1 《山/Mountain》
4 《急流の崖/Swiftwater Cliffs》
1 《茨森の滝/Thornwood Falls》
2 《未知の岸/Unknown Shores》
4 《ウルザの塔/Urza’s Tower》
4 《ウルザの魔力炉/Urza’s Power Plant》
4 《ウルザの鉱山/Urza’s Mine》
サイドボード(15)
1 《払拭/Dispel》
2 《電謀/Electrickery》
3 《水流破/Hydroblast》
3 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1 《緑の防御円/Circle of Protection: Green》
1 《悪魔の布告/Diabolic Edict》
1 《一瞬の平和/Moment’s Peace》
1 《連合儀仗兵/Coalition Honor Guard》
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
4 《稲妻》
1 《ティムールの激闘》
イン
3 《紅蓮破》
1 《払拭》
2 《大祖始の遺産》
1 《空中生成エルドラージ》
ティムールトロンよりもずっと干渉手段が多いのである程度ゲームが長引く覚悟をした方が良い。その場合、クリーチャーを除去されて息切れした状態で手札に《ティムールの激闘》が溜まってしまうのが怖いので枚数を抑える。他にも腐る可能性の高い除去を抜き、相手にアドバンテージを取られないように《紅蓮破》を入れる。もともとある程度バーンへの耐性があるからか《赤の防御円》が入っていることは少ないので、《鋭い痛み》は《防御円》を見てから入れればいいと思う。基本的に《連合儀仗兵》が入っていくることは想定しないが、もし出てきたら《炎の斬りつけ》無しで勝つのは相当難しい。一応《使徒の祝福》は自分のクリーチャーにしか打てないのでブロックを回避する使い方は可能だ。
相手が序盤の色マナの捻出につまづいたり除去とカウンターが噛み合わなかったりすれば、テンポで上回って簡単に勝てることがある。そうでなければ、こちらのカードをなるべく腐らせず、相手にもアドバンテージを取られないように努力する必要がある。《変異原性の成長》、《使徒の祝福》、《払拭》はそれぞれ対応できる除去の種類が違うので、《ギタクシア派の調査》も駆使しながらすべてを使いきれるように動きたい。《紅蓮破》はなるべく《熟考漂い》にとっておきたいし、こちらもアドバンテージを取るため《噴出》を解決することを重視する。
《記憶の壁》と《幽霊のゆらめき》のコンボや《転覆》のバイバックなどは止めることができないとほとんど勝ち目が無くなってしまうので《紅蓮破》や《払拭》を構えなければいけない場面は多い。稀に、《転覆》の対象になった自分のクリーチャーを除去して《転覆》を打ち消さなければならないこともあるだろう。
リーグ開始からティムールトロンには12勝2敗。ムラーサトロンには3勝0敗しているが対戦数が少なくて有利とも不利とも言えない。これは僕個人のリーグ参加の頻度が単純に減っているのと、去年の11月に《流浪のドレイク》が禁止されるまではドレイクトロンという別のデッキとして数えていたためだ。
青赤コントロールも取り上げようかと思ったけれど、自分が知ってる青赤コントロールを見かけなくなってしまったのでやめた。その代わりに青単デルバーに火力をタッチしたようなデッキが最近出てきたけれどあれは回数戦っていないのでよく分かっていない。多分青単デルバーで付け込めていた弱点がなくなっていて苦手だと思う。その分事故のリスクがあったりするんだろうけど。
【Pauper】ウィーゼロ解説その2 緑単ストンピィと親和
2017年3月9日 ウィーゼロ コメント (7)今回は緑単ストンピィと親和との戦い方を解説する。青単デルバーに比べると読み応えのないものになると思うけれど、青単デルバーほど語ることのあるデッキもあんまりないので勘弁してね。
・緑単ストンピィ
ストンピィの1マナ域はほとんど固定されているが2マナ域には比較的選択肢が多く、この2マナ域の種類によって選択できるプランに差が出てくる。《大霊堂のスカージ》に《怨恨》がつけばダメージレースに大きく差を付けることができる。《リバー・ボア》に《怨恨》を付け、《クウィリーオン・レインジャー》によって警戒持ちのように運用すれば地上の殴り合いを制することができる。《生命の咆哮の思念》に陰鬱した《吠え群れの飢え》が決まれば小さいクリーチャーを捕食するマシーンが出来上がる。さらに《クウィリーオン・レインジャー》がいると相手のクリーチャーをアンタップして無理やりブロックさせることもできる。《シラナの岩礁渡り》を《怨恨》や《吠え群れの飢え》で強化すればコントロールデッキは悶絶するだろうし、《野生の雑種犬》の攻撃をスルーしたら強化呪文と合わせて手札をすべて捨ててライフが消し飛ぶこともある。とにかく、ストンピィには長所の異なるクリーチャー達がお互いにシナジーしながら散りばめられているんだ。こちらのデッキもそれに合わせて多少狙いを変えなければいけない。
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《変異原性の成長》
イン
1 《炎の斬りつけ》
1 《払拭》
《大霊堂のスカージ》、《巣の侵略者》そして《野生の雑種犬》がいる場合、ブロック回避として活きにくい《使徒の祝福》は減らした方が良い。《リバー・ボア》がいるならば再生を許さない除去として《海賊の魔除け》を残してもいいだろう。《大霊堂のスカージ》、《シラナの岩礁渡り》などタフネス1が多いならば《電謀》を1枚入れるのも良い。工夫できるのはせいぜいこのくらいだ。このサイドボーディングが上手くハマることもこともあれば、要らないカードを手札に抱えてしまうことも往々にしてあり得る。
《悪鬼》や《サイクロプス》を場に出しても、強化呪文のことを考えると1/1のクリーチャーが相手でもブロックに入ることはできない。《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》のアンタップ能力のおかげで、大抵の場合はブロッカーを用意されながら全力で攻撃され続けることになる。《スカルガンの穴潜み》の狂喜を達成させないためにも、1ターン目に出てくるクリーチャーは《若き狼》以外は直ちに除去してしまうのが正解だろう。相手の《怨恨》に対応して火力を打ちたくなってしまうが、相手のターンに火力を打つと強化呪文で防御された場合にそのまま打点のアップに繋がってしまうというリスクがある。《払拭》や2枚目の火力を構えているのでない限り火力はこちらのターンに打つのが無難だ(ウィー=ゼロックスを相手にするときにも同じことが言える)。基本的に、1ターン目は《秘密を掘り下げる者》を展開するよりも相手のクリーチャーを除去したほうがダメージレースへの貢献度が高い。1,2ターン目において、《変異原性の成長》がある場合には《秘密を掘り下げる者》で《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》のブロックに入るのも1つの手だ。相手が《地うねり》などを持っていないことが前提になるが、これで相手のクリーチャーを除去できれば盤面になかなかの差を付けることができる。
ストンピィの妨害手段は《巨森の蔦》によって《ティムールの激闘》を打ち消すことだ。サイドボーディング後にはさらに《濃霧》系のカードと《勇壮な対決》が加わる。特に《勇壮な対決》が解決された場合の被害は大きく、かといって《使徒の祝福》を構えるためにクリーチャーの展開を1ターン遅らせるのもストンピィ相手にはためらわれる。他に《部族養い》や《滋養》が入ることもあるが、まあ比較的小さな問題だ。たまに《散弾の射手》が入ってくることがあるがこれも特に怖くはない。《ヴィリジアンの長弓》は《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》と合わさって《悪鬼》を除去することができるので少し怖い。何にしろ、《激闘》による一撃を狙うターンには《使徒の祝福》や《払拭》を1枚抱えて置きたい。
ストンピィとの対戦では攻めるプランの選択が重要になってくる。《悪鬼》や《サイクロプス》が引けなくても《秘密を掘り下げる者》が複数引けたなら、積極的に《激闘》を使って《稲妻》で止めを刺すことを狙ってもいい。このマッチアップでは飛行という能力が活きやすいので、《使徒の祝福》や《激闘》が引けない場合に《サイクロプス》をブロッカーに回して《秘密を掘り下げる者》に攻撃を任せることもある。盤面の状況やお互いの手札によって正解が変わるので明確な判断基準を示すことは難しいが、1つ言えるのは、1,2ターン先にお互いのライフがどうなっているのかの計算を怠らないことだ。《ギタクシア派の調査》に無駄なライフを支払ってしまったり、《秘密を掘り下げる者》を1回攻撃に回さなかったり、数点の差でゲームを落とすのはもったいない。
・親和
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《稲妻》
1 《使徒の祝福》
イン
1 《炎の斬りつけ》
2 《水流破》
基本的な戦略は、クリーチャーを除去して相手を減速させ、こちらが先に一撃を決めるというものだ。除去として機能しにくい《海賊の魔除け》を抜いて《稲妻》も減らしてしまう。親和のクリーチャーは色がバラバラなのでブロック回避として機能しにくい《使徒の祝福》も減らす。《水流破》は親和のメインの除去である《感電破》を打ち消すのにも《エイトグ》を除去するのにも使えて便利だ。《オーリオックの太陽追い》や《厳粛な空護り》がいる場合には《稲妻》を残していい。《歯車襲いの海蛇》がいる場合には《紅蓮破》を1枚入れてもいいだろう。できれば《炎の斬りつけ》をもう1枚サイドボードに取りたいところだ。相手が《未達への旅》や《赤の防御円》を取っているようなら《残響する真実》や《鋭い痛み》を入れる必要が出てくる。しかし効果が限定されたこれらの2マナの呪文を親和のような速いデッキ相手に入れなければならないのは辛いことだ。
《ゴリラのシャーマン》は親和に対して劇的に効くカードだが、ウィー=ゼロックスに入れたとしても出るタイミングが遅ければ《マイアの処罰者》や《金属ガエル》に殴られるだけだ。優先すべきは相手の生物を処理することであって土地を攻めることではない。まあ、もしサイドボードが20枚用意できるのだとしたら間違いなく入れるけれどね。
《金属ガエル》を見たら大体《稲妻》を打ってしまっていい。他に《稲妻》で焼くことができるクリーチャーはほとんどいないし、(特に2,3ターン目は)なるべくアーティファクトの数を減らしておいた方が親和(アーティファクト)の呪文や《エイトグ》を弱くできる。同様に《甲殻の鍛冶工》と《マイアの処罰者》であればアーティファクトである《処罰者》の方を優先して処理したい。《悪鬼》や《サイクロプス》は基本的にブロックに回ることは少ないが、ライフを守るためには《激闘》、《使徒の祝福》、《変異原性の成長》などを使って4/4クリーチャーのブロックに入ることがある。
《激闘》を使う際に注意したいのが、親和は「赤い除去」を使ってくるデッキだということだ。《激闘》を唱えるの対応して除去を打たれた場合、《使徒の祝福》でこれを守ろうとするとプロテクション(赤)によって《激闘》もまとめて打ち消されて悲しいことになってしまう。後は相手のアーティファクトを数えて、《エイトグ》がどこまで大きくなるのか、《投げ飛ばし》による突然死があり得るのかどうかの確認を怠らないこと。《ティムールの激闘》が1,2枚入ったタイプの親和もあるが、そこまで気を回していてもおそらく勝てないのでそれで負けても運が悪かったと思って割り切った方がいい。例えば、3ターン目に《サイクロプス》を展開して返しのターンに《エイトグ》に攻撃されたとする。この時、相手のアーティファクトが5つあると《投げ飛ばし》ではブロックしなくても負けないが、《ティムールの激闘》ではブロックに入らないと負けてしまう。しかし、《サイクロプス》をブロックに回して失ってしまうとそれはそれで勝ち筋が無くなって負けてしまうので、この場合はブロックせずに少しでも勝ち筋を残した方が良いんだ。もちろん手札に《払拭》があるなら構えた方が良いけれど、結局のところ親和はどの色のカードも使うことができるので、《紅蓮破》、《払拭》、《水流破》、《未達への旅》、《防御円》、《濃霧》、《破滅の刃》そして《チェイナーの布告》など、すべての可能性を考えているとキリがないんだ。
ちなみにリーグ開始からの戦績はストンピィに15勝5敗(75%)、親和に27勝15敗(64%)。思ったより親和と多く当たっていて驚いた。次回はトロンと青赤コントロールにする予定。
・緑単ストンピィ
2017-02-27, 5-0 by JonatanFrankel緑単ストンピィは古き良きビートダウンを体現している。ほぼすべてのカードが2マナ以下であり、4枚積みのカードも多いことから非常に安定した動きをする。フェアで、マリガンが少なく、かつ戦闘での駆け引きを楽しむことができるので、僕はPauper参入者にはいつもこのデッキを勧めている(ビートダウンが好きだからというのもある)。Pauperに君臨する青単デルバーに相性が良いこともあって、緑単ストンピィは根強い人気のあるデッキだ。ウィー=ゼロックスはPauperの中でもかなり速いデッキだがストンピィもそれと同等の速さを持ったデッキだ。ほとんどのゲームにおいて、お互いに最速の勝利を目指しながら数枚のカードで相手の行動を妨害する形になる。その結果、1ターンの差やカード1枚分の差で勝敗が決することが多くなる。
クリーチャー(27)
4 《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel》
4 《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》
4 《スカルガンの穴潜み/Skarrgan Pit-Skulk》
4 《若き狼/Young Wolf》
2 《ガラクの仲間/Garruk’s Companion》
3 《巣の侵略者/Nest Invader》
2 《リバー・ボア/River Boa》
2 《シラナの岩礁渡り/Silhana Ledgewalker》
2 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge》
その他の呪文(17)
4 《地うねり/Groundswell》
4 《巨森の蔦/Vines of Vastwood》
4 《吠え群れの飢え/Hunger of the Howlpack》
4 《怨恨/Rancor》
1 《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》
土地(16)
16 《森/Forest》
サイドボード(15)
4 《散弾の射手/Scattershot Archer》
3 《勇壮な対決/Epic Confrontation》
3 《部族養い/Feed the Clan》
3 《上機嫌の破壊/Gleeful Sabotage》
2 《心に静寂/Serene Heart》
ストンピィの1マナ域はほとんど固定されているが2マナ域には比較的選択肢が多く、この2マナ域の種類によって選択できるプランに差が出てくる。《大霊堂のスカージ》に《怨恨》がつけばダメージレースに大きく差を付けることができる。《リバー・ボア》に《怨恨》を付け、《クウィリーオン・レインジャー》によって警戒持ちのように運用すれば地上の殴り合いを制することができる。《生命の咆哮の思念》に陰鬱した《吠え群れの飢え》が決まれば小さいクリーチャーを捕食するマシーンが出来上がる。さらに《クウィリーオン・レインジャー》がいると相手のクリーチャーをアンタップして無理やりブロックさせることもできる。《シラナの岩礁渡り》を《怨恨》や《吠え群れの飢え》で強化すればコントロールデッキは悶絶するだろうし、《野生の雑種犬》の攻撃をスルーしたら強化呪文と合わせて手札をすべて捨ててライフが消し飛ぶこともある。とにかく、ストンピィには長所の異なるクリーチャー達がお互いにシナジーしながら散りばめられているんだ。こちらのデッキもそれに合わせて多少狙いを変えなければいけない。
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《変異原性の成長》
イン
1 《炎の斬りつけ》
1 《払拭》
《大霊堂のスカージ》、《巣の侵略者》そして《野生の雑種犬》がいる場合、ブロック回避として活きにくい《使徒の祝福》は減らした方が良い。《リバー・ボア》がいるならば再生を許さない除去として《海賊の魔除け》を残してもいいだろう。《大霊堂のスカージ》、《シラナの岩礁渡り》などタフネス1が多いならば《電謀》を1枚入れるのも良い。工夫できるのはせいぜいこのくらいだ。このサイドボーディングが上手くハマることもこともあれば、要らないカードを手札に抱えてしまうことも往々にしてあり得る。
《悪鬼》や《サイクロプス》を場に出しても、強化呪文のことを考えると1/1のクリーチャーが相手でもブロックに入ることはできない。《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》のアンタップ能力のおかげで、大抵の場合はブロッカーを用意されながら全力で攻撃され続けることになる。《スカルガンの穴潜み》の狂喜を達成させないためにも、1ターン目に出てくるクリーチャーは《若き狼》以外は直ちに除去してしまうのが正解だろう。相手の《怨恨》に対応して火力を打ちたくなってしまうが、相手のターンに火力を打つと強化呪文で防御された場合にそのまま打点のアップに繋がってしまうというリスクがある。《払拭》や2枚目の火力を構えているのでない限り火力はこちらのターンに打つのが無難だ(ウィー=ゼロックスを相手にするときにも同じことが言える)。基本的に、1ターン目は《秘密を掘り下げる者》を展開するよりも相手のクリーチャーを除去したほうがダメージレースへの貢献度が高い。1,2ターン目において、《変異原性の成長》がある場合には《秘密を掘り下げる者》で《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》のブロックに入るのも1つの手だ。相手が《地うねり》などを持っていないことが前提になるが、これで相手のクリーチャーを除去できれば盤面になかなかの差を付けることができる。
ストンピィの妨害手段は《巨森の蔦》によって《ティムールの激闘》を打ち消すことだ。サイドボーディング後にはさらに《濃霧》系のカードと《勇壮な対決》が加わる。特に《勇壮な対決》が解決された場合の被害は大きく、かといって《使徒の祝福》を構えるためにクリーチャーの展開を1ターン遅らせるのもストンピィ相手にはためらわれる。他に《部族養い》や《滋養》が入ることもあるが、まあ比較的小さな問題だ。たまに《散弾の射手》が入ってくることがあるがこれも特に怖くはない。《ヴィリジアンの長弓》は《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》と合わさって《悪鬼》を除去することができるので少し怖い。何にしろ、《激闘》による一撃を狙うターンには《使徒の祝福》や《払拭》を1枚抱えて置きたい。
ストンピィとの対戦では攻めるプランの選択が重要になってくる。《悪鬼》や《サイクロプス》が引けなくても《秘密を掘り下げる者》が複数引けたなら、積極的に《激闘》を使って《稲妻》で止めを刺すことを狙ってもいい。このマッチアップでは飛行という能力が活きやすいので、《使徒の祝福》や《激闘》が引けない場合に《サイクロプス》をブロッカーに回して《秘密を掘り下げる者》に攻撃を任せることもある。盤面の状況やお互いの手札によって正解が変わるので明確な判断基準を示すことは難しいが、1つ言えるのは、1,2ターン先にお互いのライフがどうなっているのかの計算を怠らないことだ。《ギタクシア派の調査》に無駄なライフを支払ってしまったり、《秘密を掘り下げる者》を1回攻撃に回さなかったり、数点の差でゲームを落とすのはもったいない。
・親和
Paupergeddon V Milan , 1st Place by Lorenzo Sbrilanci親和はクリーチャーのサイズが大きく、スピードも速く、《感電破》という優秀な除去に《物読み》という優秀なドロー呪文を備えている。そして《エイトグ》と《投げ飛ばし》という一撃必殺のコンボまで搭載していて、Pauperの中でも引きが噛み合った時の強さが飛び抜けたデッキだ。元も子もない話だが、親和との勝敗は相手の引きの良し悪しで決まってしまうことが多い。
クリーチャー(17)
4 《エイトグ/Atog》
4 《甲殻の鍛冶工/Carapace Forger》
4 《金属ガエル/Frogmite》
4 《マイアの処罰者/Myr Enforcer》
1 《歯車襲いの海蛇/Gearseeker Serpent》
その他の呪文(27)
3 《皮剥ぎの鞘/Flayer Husk》
4 《感電破/Galvanic Blast》
1 《投げ飛ばし/Fling》
1 《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
1 《危険な研究/Perilous Research》
4 《物読み/Thoughtcast》
4 《彩色の星/Chromatic Star》
3 《予言のプリズム/Prophetic Prism》
4 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
2 《胆液の水源/Ichor Wellspring》
土地(16)
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
4 《大焼炉/Great Furnace》
4 《教議会の座席/Seat of the Synod》
4 《伝承の樹/Tree of Tales》
サイドボード(15)
3 《払拭/Dispel》
2 《電謀/Electrickery》
3 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
3 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2 《部族養い/Feed the Clan》
2 《心に静寂/Serene Heart》
アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《稲妻》
1 《使徒の祝福》
イン
1 《炎の斬りつけ》
2 《水流破》
基本的な戦略は、クリーチャーを除去して相手を減速させ、こちらが先に一撃を決めるというものだ。除去として機能しにくい《海賊の魔除け》を抜いて《稲妻》も減らしてしまう。親和のクリーチャーは色がバラバラなのでブロック回避として機能しにくい《使徒の祝福》も減らす。《水流破》は親和のメインの除去である《感電破》を打ち消すのにも《エイトグ》を除去するのにも使えて便利だ。《オーリオックの太陽追い》や《厳粛な空護り》がいる場合には《稲妻》を残していい。《歯車襲いの海蛇》がいる場合には《紅蓮破》を1枚入れてもいいだろう。できれば《炎の斬りつけ》をもう1枚サイドボードに取りたいところだ。相手が《未達への旅》や《赤の防御円》を取っているようなら《残響する真実》や《鋭い痛み》を入れる必要が出てくる。しかし効果が限定されたこれらの2マナの呪文を親和のような速いデッキ相手に入れなければならないのは辛いことだ。
《ゴリラのシャーマン》は親和に対して劇的に効くカードだが、ウィー=ゼロックスに入れたとしても出るタイミングが遅ければ《マイアの処罰者》や《金属ガエル》に殴られるだけだ。優先すべきは相手の生物を処理することであって土地を攻めることではない。まあ、もしサイドボードが20枚用意できるのだとしたら間違いなく入れるけれどね。
《金属ガエル》を見たら大体《稲妻》を打ってしまっていい。他に《稲妻》で焼くことができるクリーチャーはほとんどいないし、(特に2,3ターン目は)なるべくアーティファクトの数を減らしておいた方が親和(アーティファクト)の呪文や《エイトグ》を弱くできる。同様に《甲殻の鍛冶工》と《マイアの処罰者》であればアーティファクトである《処罰者》の方を優先して処理したい。《悪鬼》や《サイクロプス》は基本的にブロックに回ることは少ないが、ライフを守るためには《激闘》、《使徒の祝福》、《変異原性の成長》などを使って4/4クリーチャーのブロックに入ることがある。
《激闘》を使う際に注意したいのが、親和は「赤い除去」を使ってくるデッキだということだ。《激闘》を唱えるの対応して除去を打たれた場合、《使徒の祝福》でこれを守ろうとするとプロテクション(赤)によって《激闘》もまとめて打ち消されて悲しいことになってしまう。後は相手のアーティファクトを数えて、《エイトグ》がどこまで大きくなるのか、《投げ飛ばし》による突然死があり得るのかどうかの確認を怠らないこと。《ティムールの激闘》が1,2枚入ったタイプの親和もあるが、そこまで気を回していてもおそらく勝てないのでそれで負けても運が悪かったと思って割り切った方がいい。例えば、3ターン目に《サイクロプス》を展開して返しのターンに《エイトグ》に攻撃されたとする。この時、相手のアーティファクトが5つあると《投げ飛ばし》ではブロックしなくても負けないが、《ティムールの激闘》ではブロックに入らないと負けてしまう。しかし、《サイクロプス》をブロックに回して失ってしまうとそれはそれで勝ち筋が無くなって負けてしまうので、この場合はブロックせずに少しでも勝ち筋を残した方が良いんだ。もちろん手札に《払拭》があるなら構えた方が良いけれど、結局のところ親和はどの色のカードも使うことができるので、《紅蓮破》、《払拭》、《水流破》、《未達への旅》、《防御円》、《濃霧》、《破滅の刃》そして《チェイナーの布告》など、すべての可能性を考えているとキリがないんだ。
ちなみにリーグ開始からの戦績はストンピィに15勝5敗(75%)、親和に27勝15敗(64%)。思ったより親和と多く当たっていて驚いた。次回はトロンと青赤コントロールにする予定。
【Pauper】ウィーゼロ解説その1 デッキ紹介と対青単デルバー
2017年2月28日 ウィーゼロ コメント (12)
僕はPauperが好きだ。それが何故かと言えば、Pauperのウィー=ゼロックスというデッキが好きだから。僕がこのデッキを使い始めたのはイニストラードが出てしばらくした頃。「イニストラードを覆う影」ではなくイニストラードだから、まあ結構長いこと使っていることになる。今回はそんな愛して止まないウィー=ゼロックスについてまとめようと思う。あまり大それたことを言って恥をかくのも嫌だけれど、今回はあえて少し大げさにいってみるつもりだ。少なくとも瞬間的には、僕が世界で一番たくさんウィー=ゼロックスを回していて、一番多く勝っている時期があったと思うんだ、多分。だからまあ、とにかく大目に見てほしい。
一応言っておくと、Pauperとは「マジックオンラインでコモンとして収録されたことのあるカードが使用可能なフォーマット」だ。ウィー=ゼロックスに関してはこれから長々と説明するけれど、イゼット・ブリッツ、あるいはニヴィックス・シュートとも呼ばれていることは先に言っておく。ウィー=ゼロックスという呼び名は、ウィー:「《小柄な竜装者/Wee Dragonauts》のように呪文を唱えてパワーの上がるクリーチャー」とゼロックス:「軽いドロー操作を多く積んで土地を減らした構築」を組み合わせたものくらいに認識してもらえればいい。まずはこのデッキのコンセプトや基本的な動き方について説明し、その後何回かに分けてメタゲーム上の各デッキとの戦い方や具体的なサイドボーディングについて書いていこうと思う。
・ウィー=ゼロックスの動かし方
まずは現在のリストがこちら。
ウィー=ゼロックスの一番の特徴は、《窯の悪鬼》や《ニヴィックスのサイクロプス》に《ティムールの激闘》を唱えることで1回の攻撃で20点以上のダメージを与えてしまえることだ。Pauperでもトップクラスの遂行速度があり、運が良ければ3ターン目に勝つこともあるだろう。相手が多少ブロッカーを出そうが、5ターン目以降にいくら強力な動きを用意していようが、キーカードが揃えば問答無用で勝ってしまえるのがこのデッキの大きな魅力だ。《思案》、《定業》をはじめとする大量のドロー呪文が、コンボパーツを探すとともに《悪鬼》と《サイクロプス》のパワーを上げる役割も果たしている。デッキを安定させるドロー呪文がコンボを動かす原動力にもなっていることが、感染や呪禁オーラのようなデッキにはない強みであり、このデッキを唯一無二のものにしている。
派手なコンボは目を引くものだが、実際に3ターンあるいは4ターンで勝てるゲームはそれほど多くない。《思案》や《定業》でカードをかき集めるにも時間とマナがかかるし、対戦相手だって何とかこちらに干渉しようとする。典型的なのは、《使徒の祝福》や《払拭》のために1マナを構えた状態で《悪鬼》や《サイクロプス》を場に出し、その次のターンに《激闘》で勝利するパターンだ。これがもっと長引いてしまうこともあるし、1ターン目の《秘密を掘り下げる者》と《稲妻》でライフレースをすることもある。
プレイの指針として、ゲームの手順通りに進めるならまずはマリガンからだ。ウィー=ゼロックスは比較的マリガンの多いデッキだ。けれど、優れたマリガン判断が勝利に繋がりやすいデッキでもある。
まず初めに、青マナの出ない手札をキープしてはいけない。赤マナがない場合は《思案》、《定業》で赤マナを探してくればいい。しかし青マナがなければその《思案》、《定業》を打つことができない。1度マリガンをした後なら青マナがなくてもしぶしぶキープするかもしれないが、7枚でキープできるとしたら《山》2、《悪鬼》、《激闘》、《変異原性の成長》、《ギタクシア派の調査》と揃っていて3ターン目の勝利が狙える時くらいだろう。それでもやっぱり、手札に青いカードを抱えたまま負けるリスクは避けるべきだ。
次に、腐りやすいカードの重複は気にするべきだ。《激闘》は基本的に1ゲームに1回唱えればいい呪文で2枚目は無駄になりやすい。《払拭》は1枚あると安心できるカードだが、《使徒の祝福》と違ってパワーを上げるために無駄打ちすることができないので2枚ともなると邪魔になる可能性がある。《噴出》が初手に2枚あったとしても2枚目を打つのはかなり後になる。こういうカードが手札に多い場合はマリガンをするリスクが相対的に低くなる。
そして《ギタクシア派の調査》の1ドローを当てにし過ぎないこと。《ギタクシア派の調査》はこのデッキに無くてはならない強力な呪文だが、アクセスできるカードは《思案》の4分の1でしかない。初手に複数あってもキープ基準を緩めないほうがいい。
手札をキープしたら次はプレイ中の注意点だ。まず、《ギタクシア派の調査》は基本的に後に打った方が強い。《悪鬼》や《サイクロプス》が攻撃できるターンに使い、相手の干渉手段を確認してから《激闘》で勝利するのが理想だ。あまり早いターンに使ってしまってもターンが進むにつれて相手の手札が分からなくなってくるので強さが半減してしまう。とは言っても、例えば2ターン目に《秘密を掘り下げる者》と《窯の悪鬼》と《使途の祝福》が手札にある場合、相手が除去を持っていれば《使徒の祝福》を構えて《秘密を掘り下げる者》を出したいし、そうでなければ《窯の悪鬼》を出して早い勝利を狙いたい。こういう場合には《ギタクシア派の調査》を打ってしまってもいいだろう。「相手の手札の内容によって自分のプレイが変わるかどうか」を考える癖をつけるといい。似たような話として《思案》や《定業》を打つ前には、今自分に必要なカードが何なのかを考えるといい。これは単純に速く正確なプレイをする助けになる。
《ギタクシア派の調査》で相手の手札の妨害手段を確認してから《ティムールの激闘》を使うことに慣れすぎると、相手の手札を予想する習慣がなくなってしまったりする。《ギタクシア派の調査》を打つ前に相手の動きからその手札の中身を予想する遊びをしてみるのも良いかもしれない。
前置きはここまでにして今度はメタゲーム上の各デッキとの戦い方を解説する。
・青単デルバー
アウト
3 《ティムールの激闘》
2 《変異原性の成長》
2 《使徒の祝福》
イン
3 《紅蓮破》
1 《炎の斬りつけ》
2 《電謀》
1 《払拭》
《ニヴィックスのサイクロプス》よりも《秘密を掘り下げる者》の方がはるかに重要になる。《秘密を掘り下げる者》はもちろん単純なクロックとしても除去の避雷針としても優秀なカードだが、ウィー=ゼロックスにおいて採用しているもう1つの理由は《秘密を掘り下げる者》と戦うには自分も《秘密を掘り下げる者》を使うのが一番手っ取り早いからだ。
さらなる《炎の斬りつけ》や《紅蓮破》など、他にサイドインするべきカードを採用しているなら追加でサイドアウトするのは《ニヴィックスのサイクロプス》になる。《サイクロプス》はバウンスによってテンポを損ないやすいからだ。そして、バウンスされたならば再び同じカードをプレイしなおすことになるわけで、手札に控える2枚目以降の《サイクロプス》にまで出番が回ってこないことが多い。
バウンスや打ち消しの多いデッキ相手に《激闘》のコンボが決まるケースは稀だし、赤いカードをたくさんサイドインする分のバランスをとって《激闘》は全部サイドアウトしてしまう。それでも一撃のチャンスを残すために1枚だけデッキに残すというのは十分あり得る。
相手が《鎖の呪い》や《睡眠発作》のような除去を使ってくる場合には《払拭》をサイドインせずに《使徒の祝福》2枚をデッキに残そう。これで相手のターン終了時に《鎖の呪い》を剥がしにいくことができる。ウィー=ゼロックスには珍しく相手のターン中に意味のある行動がとれるので少しだけ主導権が握りやすくなる。
理想の初手は青マナと赤マナ、そして《秘密を掘り下げる者》と《稲妻》をはじめとする火力があることだ。《思案》、《定業》頼みのキープをすると《呪文づまりのスプライト》に捕まって大きく後れを取ってしまう可能性がある。サイド後は赤いカードが多くなるので《広漠なる変幻地》から、《噴出》のための2枚目の《島》より2枚目の《山》を優先して持ってくる場合もあるだろう。
このマッチアップでは序盤に主導権を握ることができるかどうかが重要だ。主導権を握るとはすなわち、相手の場のクリーチャーよりもこちらの場のクリーチャーの方が強く、このまま殴り合いをしていればこちらの勝ちになる状況を作るということだ。そうすれば、後の先をとることが得意な青単デルバーに先に動くことを強いることができる。ゲームの序盤はまず《秘密を掘り下げる者》を展開し、相手のクロックはできるだけ除去していこう。1ターン目に出てくる《フェアリーの悪党》は《呪文づまりのスプライト》の射程を伸ばさせないためにも、2ターン目の忍術を許さないためにも除去したほうがいいだろう。青単デルバーのカードはそれぞれが組み合わさると信じられないくらい強力だが、カード1枚ずつのパワーならこちらの方が上なはずだ。なので《稲妻》、《紅蓮破》、《海賊の魔除け》などによってクロックを処理して、それぞれのカードをシナジーさせずに額面通りの働きしかさせないようにする。相手が単なる時間稼ぎとしてバウンス呪文を使ってくれたり、こちらが呪文を唱えていないタイミングで《呪文づまりのスプライト》をチャンプブロッカーとして出してくれたりすれば勝利は目前だ。
《呪文づまりのスプライト》はその能力の誘発時と解決時とで2回フェアリーの数をチェックするので、能力の解決前にフェアリーを除去することで打ち消しを阻止することができる。そういうプレイをするために青マナでも打てる除去として《海賊の魔除け》が入っている。《呪文づまりのスプライト》への回答がないときは《思案》や《定業》を唱えるのは控えたい。囮として《ギタクシア派の調査》を唱えて残ったマナでクリーチャーを場に出すことは結構ある。
ちなみに《電謀》は超過しても点数で見たマナコストは1なので覚えておこう。超過して複数のクリーチャーを除去することができれば理想だが、青単デルバーは隙の少ないデッキなので高望みはせずに1マナ除去として機能するうちに使っていったほうがいい。
たとえ《秘密を掘り下げる者》が変身したとしても《尖塔のゴーレム》1枚で攻撃が止められてしまう。《炎の斬りつけ》はこれを打破するために採用しているカードだ。より青単デルバーを意識するなら《静電気の稲妻》もかなりいいカードだと思う。
そうしてこちらが主導権を握ることができたなら、ようやく《悪鬼》や《サイクロプス》を相手のクリーチャーよりサイズの大きいクリーチャーとして運用できるようになる。最終的にはこれらで相手を押しつぶすことになる。
対戦記録を採り始めてから青単デルバーには138勝88敗(勝率61%)しているが、2016年1月28日に《フェアリーの大群》が禁止されてからに絞れば21勝6敗(勝率78%)と良い結果が出ているのでどうかこの記事を信頼してほしい。
現在のウィー=ゼロックスにメインから《海賊の魔除け》と《炎の斬りつけ》が入っているのは青単デルバーという上客を手放さないようにするためだ。より青単デルバーを意識するならさらに《静電気の稲妻》(とできれば赤マナ源)を追加するといいかもしれない。
とりあえず今回はここまで。初回でいまいちテンションが掴めていないので何でもいいから感想が欲しい。質問なんかもあったら大変うれしい。次回はおそらくストンピィとか親和とか、とりあえずメタ上位のデッキ複数との戦い方を解説したいと思う。
一応言っておくと、Pauperとは「マジックオンラインでコモンとして収録されたことのあるカードが使用可能なフォーマット」だ。ウィー=ゼロックスに関してはこれから長々と説明するけれど、イゼット・ブリッツ、あるいはニヴィックス・シュートとも呼ばれていることは先に言っておく。ウィー=ゼロックスという呼び名は、ウィー:「《小柄な竜装者/Wee Dragonauts》のように呪文を唱えてパワーの上がるクリーチャー」とゼロックス:「軽いドロー操作を多く積んで土地を減らした構築」を組み合わせたものくらいに認識してもらえればいい。まずはこのデッキのコンセプトや基本的な動き方について説明し、その後何回かに分けてメタゲーム上の各デッキとの戦い方や具体的なサイドボーディングについて書いていこうと思う。
・ウィー=ゼロックスの動かし方
まずは現在のリストがこちら。
クリーチャー(12)
4 《窯の悪鬼/Kiln Fiend》
4 《ニヴィックスのサイクロプス/Nivix Cyclops》
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
呪文(31)
4 《思案/Ponder》
4 《定業/Preordain》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《噴出/Gush》
3 《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
3 《使徒の祝福/Apostle’s Blessing》
2 《変異原性の成長/Mutagenic Growth》
2 《払拭/Dispel》
1 《海賊の魔除け/Piracy Charm》
1 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
土地(17)
1 《急流の崖/Swiftwater Cliffs》
3 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
8 《島/Island》
5 《山/Mountain》
サイドボード(15)
3 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《水流破/Hydroblast》
2 《電謀/Electrickery》
2 《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》
1 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
1 《払拭/Dispel》
1 《残響する真実/Echoing Truth》
1 《鋭い痛み/Flaring Pain》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
ウィー=ゼロックスの一番の特徴は、《窯の悪鬼》や《ニヴィックスのサイクロプス》に《ティムールの激闘》を唱えることで1回の攻撃で20点以上のダメージを与えてしまえることだ。Pauperでもトップクラスの遂行速度があり、運が良ければ3ターン目に勝つこともあるだろう。相手が多少ブロッカーを出そうが、5ターン目以降にいくら強力な動きを用意していようが、キーカードが揃えば問答無用で勝ってしまえるのがこのデッキの大きな魅力だ。《思案》、《定業》をはじめとする大量のドロー呪文が、コンボパーツを探すとともに《悪鬼》と《サイクロプス》のパワーを上げる役割も果たしている。デッキを安定させるドロー呪文がコンボを動かす原動力にもなっていることが、感染や呪禁オーラのようなデッキにはない強みであり、このデッキを唯一無二のものにしている。
派手なコンボは目を引くものだが、実際に3ターンあるいは4ターンで勝てるゲームはそれほど多くない。《思案》や《定業》でカードをかき集めるにも時間とマナがかかるし、対戦相手だって何とかこちらに干渉しようとする。典型的なのは、《使徒の祝福》や《払拭》のために1マナを構えた状態で《悪鬼》や《サイクロプス》を場に出し、その次のターンに《激闘》で勝利するパターンだ。これがもっと長引いてしまうこともあるし、1ターン目の《秘密を掘り下げる者》と《稲妻》でライフレースをすることもある。
プレイの指針として、ゲームの手順通りに進めるならまずはマリガンからだ。ウィー=ゼロックスは比較的マリガンの多いデッキだ。けれど、優れたマリガン判断が勝利に繋がりやすいデッキでもある。
まず初めに、青マナの出ない手札をキープしてはいけない。赤マナがない場合は《思案》、《定業》で赤マナを探してくればいい。しかし青マナがなければその《思案》、《定業》を打つことができない。1度マリガンをした後なら青マナがなくてもしぶしぶキープするかもしれないが、7枚でキープできるとしたら《山》2、《悪鬼》、《激闘》、《変異原性の成長》、《ギタクシア派の調査》と揃っていて3ターン目の勝利が狙える時くらいだろう。それでもやっぱり、手札に青いカードを抱えたまま負けるリスクは避けるべきだ。
次に、腐りやすいカードの重複は気にするべきだ。《激闘》は基本的に1ゲームに1回唱えればいい呪文で2枚目は無駄になりやすい。《払拭》は1枚あると安心できるカードだが、《使徒の祝福》と違ってパワーを上げるために無駄打ちすることができないので2枚ともなると邪魔になる可能性がある。《噴出》が初手に2枚あったとしても2枚目を打つのはかなり後になる。こういうカードが手札に多い場合はマリガンをするリスクが相対的に低くなる。
そして《ギタクシア派の調査》の1ドローを当てにし過ぎないこと。《ギタクシア派の調査》はこのデッキに無くてはならない強力な呪文だが、アクセスできるカードは《思案》の4分の1でしかない。初手に複数あってもキープ基準を緩めないほうがいい。
手札をキープしたら次はプレイ中の注意点だ。まず、《ギタクシア派の調査》は基本的に後に打った方が強い。《悪鬼》や《サイクロプス》が攻撃できるターンに使い、相手の干渉手段を確認してから《激闘》で勝利するのが理想だ。あまり早いターンに使ってしまってもターンが進むにつれて相手の手札が分からなくなってくるので強さが半減してしまう。とは言っても、例えば2ターン目に《秘密を掘り下げる者》と《窯の悪鬼》と《使途の祝福》が手札にある場合、相手が除去を持っていれば《使徒の祝福》を構えて《秘密を掘り下げる者》を出したいし、そうでなければ《窯の悪鬼》を出して早い勝利を狙いたい。こういう場合には《ギタクシア派の調査》を打ってしまってもいいだろう。「相手の手札の内容によって自分のプレイが変わるかどうか」を考える癖をつけるといい。似たような話として《思案》や《定業》を打つ前には、今自分に必要なカードが何なのかを考えるといい。これは単純に速く正確なプレイをする助けになる。
《ギタクシア派の調査》で相手の手札の妨害手段を確認してから《ティムールの激闘》を使うことに慣れすぎると、相手の手札を予想する習慣がなくなってしまったりする。《ギタクシア派の調査》を打つ前に相手の動きからその手札の中身を予想する遊びをしてみるのも良いかもしれない。
前置きはここまでにして今度はメタゲーム上の各デッキとの戦い方を解説する。
・青単デルバー
2017-02-24, 5-0 by Deeto青単デルバーは《秘密を掘り下げる者》が印刷されてから常にメタゲームで3本の指に入っており、Pauperの絶対王者と言っても差し支えないデッキだ。そのため他のどのアーキタイプよりも多くの対戦経験があり、戦い方が確立できている。
クリーチャー(20)
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《フェアリーの悪党/Faerie Miscreant》
4 《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》
4 《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》
4 《尖塔のゴーレム/Spire Golem》
その他の呪文(23)
4 《思案/Ponder》
4 《定業/Preordain》
2 《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》
4 《対抗呪文/Counterspell》
3 《目くらまし/Daze》
3 《噴出/Gush》
2 《断絶/Snap》
1 《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》
土地(17)
17 《島/Island》
サイドボード(15)
2 《無効/Annul》
2 《珊瑚の網/Coral Net》
2 《払拭/Dispel》
1 《はらわた撃ち/Gut Shot》
3 《水流破/Hydroblast》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
3 《嵐縛りの霊/Stormbound Geist》
アウト
3 《ティムールの激闘》
2 《変異原性の成長》
2 《使徒の祝福》
イン
3 《紅蓮破》
1 《炎の斬りつけ》
2 《電謀》
1 《払拭》
《ニヴィックスのサイクロプス》よりも《秘密を掘り下げる者》の方がはるかに重要になる。《秘密を掘り下げる者》はもちろん単純なクロックとしても除去の避雷針としても優秀なカードだが、ウィー=ゼロックスにおいて採用しているもう1つの理由は《秘密を掘り下げる者》と戦うには自分も《秘密を掘り下げる者》を使うのが一番手っ取り早いからだ。
さらなる《炎の斬りつけ》や《紅蓮破》など、他にサイドインするべきカードを採用しているなら追加でサイドアウトするのは《ニヴィックスのサイクロプス》になる。《サイクロプス》はバウンスによってテンポを損ないやすいからだ。そして、バウンスされたならば再び同じカードをプレイしなおすことになるわけで、手札に控える2枚目以降の《サイクロプス》にまで出番が回ってこないことが多い。
バウンスや打ち消しの多いデッキ相手に《激闘》のコンボが決まるケースは稀だし、赤いカードをたくさんサイドインする分のバランスをとって《激闘》は全部サイドアウトしてしまう。それでも一撃のチャンスを残すために1枚だけデッキに残すというのは十分あり得る。
相手が《鎖の呪い》や《睡眠発作》のような除去を使ってくる場合には《払拭》をサイドインせずに《使徒の祝福》2枚をデッキに残そう。これで相手のターン終了時に《鎖の呪い》を剥がしにいくことができる。ウィー=ゼロックスには珍しく相手のターン中に意味のある行動がとれるので少しだけ主導権が握りやすくなる。
理想の初手は青マナと赤マナ、そして《秘密を掘り下げる者》と《稲妻》をはじめとする火力があることだ。《思案》、《定業》頼みのキープをすると《呪文づまりのスプライト》に捕まって大きく後れを取ってしまう可能性がある。サイド後は赤いカードが多くなるので《広漠なる変幻地》から、《噴出》のための2枚目の《島》より2枚目の《山》を優先して持ってくる場合もあるだろう。
このマッチアップでは序盤に主導権を握ることができるかどうかが重要だ。主導権を握るとはすなわち、相手の場のクリーチャーよりもこちらの場のクリーチャーの方が強く、このまま殴り合いをしていればこちらの勝ちになる状況を作るということだ。そうすれば、後の先をとることが得意な青単デルバーに先に動くことを強いることができる。ゲームの序盤はまず《秘密を掘り下げる者》を展開し、相手のクロックはできるだけ除去していこう。1ターン目に出てくる《フェアリーの悪党》は《呪文づまりのスプライト》の射程を伸ばさせないためにも、2ターン目の忍術を許さないためにも除去したほうがいいだろう。青単デルバーのカードはそれぞれが組み合わさると信じられないくらい強力だが、カード1枚ずつのパワーならこちらの方が上なはずだ。なので《稲妻》、《紅蓮破》、《海賊の魔除け》などによってクロックを処理して、それぞれのカードをシナジーさせずに額面通りの働きしかさせないようにする。相手が単なる時間稼ぎとしてバウンス呪文を使ってくれたり、こちらが呪文を唱えていないタイミングで《呪文づまりのスプライト》をチャンプブロッカーとして出してくれたりすれば勝利は目前だ。
《呪文づまりのスプライト》はその能力の誘発時と解決時とで2回フェアリーの数をチェックするので、能力の解決前にフェアリーを除去することで打ち消しを阻止することができる。そういうプレイをするために青マナでも打てる除去として《海賊の魔除け》が入っている。《呪文づまりのスプライト》への回答がないときは《思案》や《定業》を唱えるのは控えたい。囮として《ギタクシア派の調査》を唱えて残ったマナでクリーチャーを場に出すことは結構ある。
ちなみに《電謀》は超過しても点数で見たマナコストは1なので覚えておこう。超過して複数のクリーチャーを除去することができれば理想だが、青単デルバーは隙の少ないデッキなので高望みはせずに1マナ除去として機能するうちに使っていったほうがいい。
たとえ《秘密を掘り下げる者》が変身したとしても《尖塔のゴーレム》1枚で攻撃が止められてしまう。《炎の斬りつけ》はこれを打破するために採用しているカードだ。より青単デルバーを意識するなら《静電気の稲妻》もかなりいいカードだと思う。
そうしてこちらが主導権を握ることができたなら、ようやく《悪鬼》や《サイクロプス》を相手のクリーチャーよりサイズの大きいクリーチャーとして運用できるようになる。最終的にはこれらで相手を押しつぶすことになる。
対戦記録を採り始めてから青単デルバーには138勝88敗(勝率61%)しているが、2016年1月28日に《フェアリーの大群》が禁止されてからに絞れば21勝6敗(勝率78%)と良い結果が出ているのでどうかこの記事を信頼してほしい。
現在のウィー=ゼロックスにメインから《海賊の魔除け》と《炎の斬りつけ》が入っているのは青単デルバーという上客を手放さないようにするためだ。より青単デルバーを意識するならさらに《静電気の稲妻》(とできれば赤マナ源)を追加するといいかもしれない。
とりあえず今回はここまで。初回でいまいちテンションが掴めていないので何でもいいから感想が欲しい。質問なんかもあったら大変うれしい。次回はおそらくストンピィとか親和とか、とりあえずメタ上位のデッキ複数との戦い方を解説したいと思う。