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Common Hour
by Alex Ullman, July 4, 2017
小型セットのレビューは消える運命にある。破滅の刻の後にブロックの第二セットとして残っているのはイクサランの相克だけだ。Pauperにとってこれが何を意味するのかは分からない。一方では、テーマに沿ったカードがより密集した大型セットは、とても規則正しくこのフォーマットに新しい戦略を投入する可能性がある。メカニズムへの需要の増加は、現在主流でない戦略にとって良い刺激になるかもしれない。しかしながらそこには欠点がある。小型セットはドラフトアーキタイプが強化されるところだった。大型セットが新しいカードによる新生デッキを生み出した場合、続くセットで何らかのアップグレードがもたらされることが期待された。相克の後、セットがすぐに終わってしまうのならば、新しいカードが現れるまでに長い時間がかかってしまうかもしれない。
破滅の刻はPauperに関して言えばかなり典型的な小型セットだ。そのパワーレベルは(カラデシュのスタンダード環境の犠牲になったかもしれないが)どちらかといえば低い。リーグやチャレンジのデッキリストに居場所を見つけられそうなカードが相当数あるが、それらはどちらかと言えば重要要素というよりもロールプレイヤーだ。この多くがコモンに押し詰められたテーマに取り組まなければならない:砂漠と永遠だ。
Pauperでデッキに入れる価値のある砂漠は数枚しかない。サイクリング土地はウルザズ・サーガとオンスロートにある旧バージョンの下位互換だ。これらが使われたり、《生存者の野営地》が《抵抗者の居住地》よりも使われることがあるとすれば、将来別のセットでもっと強い砂漠関連のカードが出る時だろう。《横這ナーガ》は優秀だがそのためにデッキをゆがめるほどではない。その他に見直すようなものはない。
《不動の歩哨》と《実績ある戦闘員》が永遠を持ったコモンの2枚だ。そのどちらとも表面は十分に強いとは言えない。カードの枠を食わずにただで4/4を得る機会があるのは魅力的だ。明らかにすべき問題は、打ち消されない4/4が基準値以下のクリーチャーを使う理由になるほど強いのかどうかということだ。僕はこれらのカードを好きになりたいし重要なものになってほしいと思っている。それでもこれは両者とも遅すぎると思う。《戦闘員》は《禁忌の錬金術》や《思考掃き》デッキで追加の戦力を補う手段として居場所を見つけるかもしれないが、だとしてもそのサイズは何とか使えるという程度だ。最後の4/4が重要になるようなコントロールのミラーマッチがあれば、これらのどちらかがまあまあのサイドボード要因になるかもしれない。現時点では良くてもフォーマットの末端にある運命だと思っている。
《火付け射手》は直ちに《熱錬金術師》と比較されるカードだ。インスタントやソーサリー1枚ごとに追加のダメージを与えることができ、マナカーブ上でも同じ位置に収まる。《熱錬金術師》と違ってその能力は召喚酔いに影響されず、そして2点ダメージの攻撃をすることができる。これらの長所にはなかなか深刻な対価がともなう ―タフネスが1点しかないんだ。タフネス1のクリーチャーをついでに殺せる効果はたくさんあるので、この脆弱性の増加は問題になる。複数のデッキの重要要素である《ボーラスの占い師》は《射手》を笑い飛ばし、ブロックに参加できない《熱錬金術師》へと変えてしまう。
《熱錬金術師》は現在バーンと一部の黒赤デッキにおいてゲームを締めくくる手段として大いに使われている。これらのデッキで異界月の傑物に置き換わらなかったとしても、《火付け射手》は《秘密を掘り下げる者》と《稲妻》と《轟く怒り》のような火力を利用したより攻撃的な青赤デッキにおいて二方向から攻める武器を作るために使われるかもしれない。
《オアシスの祭儀師》はほぼ確実に使われるだろう。《現実からの遊離》コンボはこのフォーマットで最も楽しいものだし、このクリーチャーはこのデッキにとって良い刺激になる。これまでこのデッキはクリーチャー化した2マナ以上生み出せる土地にそのデッキ名になっているオーラを貼らなければならなかった。このコンボは《ダークスティールの城塞》と《活生の呪文爆弾》に頼ることがあるので大量の除去に対して脆弱ではない。《最後の喘ぎ》と《闇の掌握》は一般的にデッキに入ることはないから、この土地はほとんどの場合生き残って無限大のマナを生み出すだろう。《祭儀師》はクリーチャーとオーラだけしか必要としないことでこのコンボを圧縮する。どちらの半分も《ロナスの施し》で探せるということは、3ターン目の《施し》から4、5ターン目に両方のパーツを準備して勝利することが可能だということだ。一体のクリーチャーを場に残したまま5ターン目まで生き残るのは大変な要求なので、それは依然として多くのものを必要とする。しかし青と緑にはまとまった数の防御的要素があり、このデッキをより信頼性の高いアーキタイプにすることが望めるだろう。
緑の話を続けると、《人生は続く》はこのセットで最も鬱陶しいカードかもしれない。攻撃的な緑のデッキはすでにライフレースを変化させる手段として《部族養い》を使っている。このタルキール覇王譚のコモンのパワーアップしたモードのほうが2点優れているものの常に2マナを必要とする。《人生は続く》は最初の4点のライフに1マナを要求する、そして信じられないくらい簡単な条件で残りの半分を得ることができる。この能力は基本的には陰鬱であり、1マナで8点のライフを得られることは(特にダメージレースをしている時は)非常に影響力が高い。《怨恨》を軸に構築されたデッキであっても、パワー4のクリーチャーがいることよりもクリーチャーが死亡することの方がわずかに簡単だ。僕は破滅の刻の全カードの中で、この先数年間サイドボードを引き締めるカードとして《人生は続く》に一番自信をもっている。
《オケチラの報復者》はそれほど使われなさそうなカードの中で最も鬱陶しいカードだ。Pauperには1白の3/1クリーチャーがたくさんいるが、これは本格的な利点を備えた最初のカードだ。1ターンおきに戦闘ダメージを受けない3/1は可もなく不可もなくだが、白いクリーチャーを評価するときは成功している白いミッドレンジデッキがどれも《骨断ちの矛槍》を使っていることを考慮することが重要だ。同じ能力を持った5/1は強くても鬱陶しい。
斧を振りかざす《報復者》はよく使われているほとんどすべてのクリーチャーと交換するだろうし、それによって死んでしまうこともない。けれど《恩寵の重装歩兵》と違ってこの能力はすべてのダメージではなく、戦闘ダメージしか軽減できない。《ドロモカの伝令》と組み合わせて戦士シナジーをより重要視したとしても《報復者》はまだ通用しない。
Pauperには戦場に出たときに墓地からカードを追放するクリーチャーがほとんどいない。《見栄え損ない》によってその働きがなかったことにされるとしても、おそらく《墓をこじ開けるもの》がベストだろう。《廃却するミイラ》には《忘却の輪》の一節がないので試してみる価値がある。2白で2/3というのはユーティリティークリーチャーとしては優れたサイズだ。《コーの奉納者》が《解呪》効果を発揮するにはもっと多くのマナがかかる。墓地がどれほど重要で、フォーマットが今後どう進展するかを考えれば、クリーチャーを盤面に展開しながら小さなカードアドバンテージを獲得できる能力には影響力があるはずだ。《廃却するミイラ》はすでに使ったリソースしか食べないので本当のカードアドバンテージが得られるとは言い難い、しかしその残り物がしばしばデッキの再供給に役立つ。《ムラーサの胎動》、《墓の刈り取り》、《古術師》そして《発掘》のようなカードはどれも捨て札に適切なカードが置かれていることを当てにしている。最後に、重要カードを狙い撃ちしながら相当のサイズを残せるカードはこのカードしかない(《亡霊招き》はカウントしてない)。Pauperにおいて、墓地はチューターの対象として最高のリソースであり、《ミイラ》は1枚限りの《外科的摘出》だ。これは僕にはとても強く見える。
《神出鬼没の呪拳士》は採用されるまでしばらく時間がかかったが、一たび採用されると《思案》と《定業》を唱えた分だけ素早くダメージを与えることができた。《狡猾な生き残り》は同様のカードで、《入念な研究》をより魅力的にする。《狡猾な生き残り》は《野生の雑種犬》に投じられたカードすべてについて追加のダメージが与えられるようにする。改良型の青緑《野生の雑種犬》デッキはこんな感じになるかもしれない:
《悲劇的教訓》は強い。概ね無条件にインスタントスピードでカードが2枚引けることは、コントロールデッキを長期戦で生き残りやすくしてくれる。そのコストはとても無視できるものではない、ゲーム序盤に土地を手札に戻すことはテンポの観点から死につながる。というわけでこの改良された《目録》は、コントロールデッキにおいてゲーム終盤にカードを増やしたり《ボジューカの沼》や《光輝の泉》を再利用するする選択としてより使われそうだ。《教訓》には土地破壊をかわせるという隠れた強さもある。《転覆》と《ディンローヴァの恐怖》はどちらも一般的に土地を対象にとる、そして《悲劇的教訓》は両者を立ち消えさせることができる。《ディンローヴァの恐怖》の場合には手札破壊の部分を無効にするし、《転覆》の場合にはそのカードを打ち消してしまえる。《予言のプリズム》を取り扱うトロンデッキにおいて、このインスタントは《石の雨》や《地の裂け目》からウルザトロンの重要ピースを守るために使うことができる。《人生は続く》が僕の考える最も鬱陶しいカードの称号を得るなら、《悲劇的教訓》は最も気難しいカードに選出される。
破滅の刻には、他にいくつか深く掘り下げなくとも言及する価値のあるカードがある。
・《突破》は《ニヴィックスのサイクロプス》デッキにおける選択肢だ。それ自身が別のカードに置き代わりながら主要なクリーチャーを強化する。これが《ティムールの激闘》に置き換わることはなさそうだが1枚差しするのは間違っていないかもしれない。
・《王神の信者》はいかにも利点のある良いブロッカーに見えるが、これの強さを十分発揮するためのデッキ構築上の制限がきつ過ぎて他より優先するほどではない。
・《相殺の風》は誤算した堂々巡りと呼ばれそうだ。もしコントロールデッキが《ボジューカの沼》をメインから使っていれば、そのミラーマッチにおいてこのカードは素晴らしいだろう。それでも十分使われそうな強さだ。
・《残忍な野猫》は《屍肉喰らい》デッキにおいて《エルフの幻想家》よりも優れたブロッカーになるかもしれない。パワー2のクリーチャーを無力化するとともに、後々カードに変わることもできるのは重要だ。Pauperのアリストクラッツの構築をより上のティアへと後押しするほどではないが、刺激にはなるだろう。
・《縞カワヘビ》と《猛り狂うカバ》はどちらも《死体発掘》と相性が良い。
・《巧みな軍略》は紙とオンラインのコモンのプールを統一する上でのステップになることから、言及する価値がある。
破滅の刻は上質なセットだ。Pauperで使えるカードで僕らを圧倒すると言うよりは、フォーマットに多くの素敵なツールを与えてくれる。電動スクリュードライバーは素晴らしくても、時には古き良き手回しドライバーが必要なものだ。
Common Hour
by Alex Ullman, July 4, 2017
小型セットのレビューは消える運命にある。破滅の刻の後にブロックの第二セットとして残っているのはイクサランの相克だけだ。Pauperにとってこれが何を意味するのかは分からない。一方では、テーマに沿ったカードがより密集した大型セットは、とても規則正しくこのフォーマットに新しい戦略を投入する可能性がある。メカニズムへの需要の増加は、現在主流でない戦略にとって良い刺激になるかもしれない。しかしながらそこには欠点がある。小型セットはドラフトアーキタイプが強化されるところだった。大型セットが新しいカードによる新生デッキを生み出した場合、続くセットで何らかのアップグレードがもたらされることが期待された。相克の後、セットがすぐに終わってしまうのならば、新しいカードが現れるまでに長い時間がかかってしまうかもしれない。
破滅の刻はPauperに関して言えばかなり典型的な小型セットだ。そのパワーレベルは(カラデシュのスタンダード環境の犠牲になったかもしれないが)どちらかといえば低い。リーグやチャレンジのデッキリストに居場所を見つけられそうなカードが相当数あるが、それらはどちらかと言えば重要要素というよりもロールプレイヤーだ。この多くがコモンに押し詰められたテーマに取り組まなければならない:砂漠と永遠だ。
Pauperでデッキに入れる価値のある砂漠は数枚しかない。サイクリング土地はウルザズ・サーガとオンスロートにある旧バージョンの下位互換だ。これらが使われたり、《生存者の野営地》が《抵抗者の居住地》よりも使われることがあるとすれば、将来別のセットでもっと強い砂漠関連のカードが出る時だろう。《横這ナーガ》は優秀だがそのためにデッキをゆがめるほどではない。その他に見直すようなものはない。
《不動の歩哨》と《実績ある戦闘員》が永遠を持ったコモンの2枚だ。そのどちらとも表面は十分に強いとは言えない。カードの枠を食わずにただで4/4を得る機会があるのは魅力的だ。明らかにすべき問題は、打ち消されない4/4が基準値以下のクリーチャーを使う理由になるほど強いのかどうかということだ。僕はこれらのカードを好きになりたいし重要なものになってほしいと思っている。それでもこれは両者とも遅すぎると思う。《戦闘員》は《禁忌の錬金術》や《思考掃き》デッキで追加の戦力を補う手段として居場所を見つけるかもしれないが、だとしてもそのサイズは何とか使えるという程度だ。最後の4/4が重要になるようなコントロールのミラーマッチがあれば、これらのどちらかがまあまあのサイドボード要因になるかもしれない。現時点では良くてもフォーマットの末端にある運命だと思っている。
《火付け射手》は直ちに《熱錬金術師》と比較されるカードだ。インスタントやソーサリー1枚ごとに追加のダメージを与えることができ、マナカーブ上でも同じ位置に収まる。《熱錬金術師》と違ってその能力は召喚酔いに影響されず、そして2点ダメージの攻撃をすることができる。これらの長所にはなかなか深刻な対価がともなう ―タフネスが1点しかないんだ。タフネス1のクリーチャーをついでに殺せる効果はたくさんあるので、この脆弱性の増加は問題になる。複数のデッキの重要要素である《ボーラスの占い師》は《射手》を笑い飛ばし、ブロックに参加できない《熱錬金術師》へと変えてしまう。
《熱錬金術師》は現在バーンと一部の黒赤デッキにおいてゲームを締めくくる手段として大いに使われている。これらのデッキで異界月の傑物に置き換わらなかったとしても、《火付け射手》は《秘密を掘り下げる者》と《稲妻》と《轟く怒り》のような火力を利用したより攻撃的な青赤デッキにおいて二方向から攻める武器を作るために使われるかもしれない。
《オアシスの祭儀師》はほぼ確実に使われるだろう。《現実からの遊離》コンボはこのフォーマットで最も楽しいものだし、このクリーチャーはこのデッキにとって良い刺激になる。これまでこのデッキはクリーチャー化した2マナ以上生み出せる土地にそのデッキ名になっているオーラを貼らなければならなかった。このコンボは《ダークスティールの城塞》と《活生の呪文爆弾》に頼ることがあるので大量の除去に対して脆弱ではない。《最後の喘ぎ》と《闇の掌握》は一般的にデッキに入ることはないから、この土地はほとんどの場合生き残って無限大のマナを生み出すだろう。《祭儀師》はクリーチャーとオーラだけしか必要としないことでこのコンボを圧縮する。どちらの半分も《ロナスの施し》で探せるということは、3ターン目の《施し》から4、5ターン目に両方のパーツを準備して勝利することが可能だということだ。一体のクリーチャーを場に残したまま5ターン目まで生き残るのは大変な要求なので、それは依然として多くのものを必要とする。しかし青と緑にはまとまった数の防御的要素があり、このデッキをより信頼性の高いアーキタイプにすることが望めるだろう。
フリード・コンボ Alex Ullman1ターン早く《遊離》を置くためにランプは不可欠だ。緑は《一瞬の平和》で時間が稼ぎ、《ムラーサの胎動》でコンボを繋ぎ合わせ、《巨森の蔦》で《祭儀師》を守ることができる。《交錯の混乱》と《思考訓練》が勝ち手段を見つけるのに役立つし、同時にその前者は特定の攻撃から自身を守ることができる。これは洗練されたリストとは程遠いが、最近のチャレンジにおけるコンボデッキの成功を考えると来たる週に同様のデッキが現れても驚きはしないだろう。
クリーチャー(12)
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《オアシスの祭儀師/Oasis Ritualist》
4 《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》
インスタント(13)
2 《一瞬の平和/Moment’s Peace》
2 《交錯の混乱/Muddle the Mixture》
2 《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》
3 《巨森の蔦/Vines of Vastwood》
4 《衝動/Impulse》
ソーサリー(14)
2 《とどろく雷鳴/Rolling Thunder》
4 《ロナスの施し/Benefaction of Rhonas》
4 《定業/Preordain》
4 《現実からの遊離/Freed from the Real》
土地(21)
7 《森/Forest》
7 《島/Island》
3 《シミックの成長室/Simic Growth Chamber》
4 《茨森の滝/Thornwood Falls》
緑の話を続けると、《人生は続く》はこのセットで最も鬱陶しいカードかもしれない。攻撃的な緑のデッキはすでにライフレースを変化させる手段として《部族養い》を使っている。このタルキール覇王譚のコモンのパワーアップしたモードのほうが2点優れているものの常に2マナを必要とする。《人生は続く》は最初の4点のライフに1マナを要求する、そして信じられないくらい簡単な条件で残りの半分を得ることができる。この能力は基本的には陰鬱であり、1マナで8点のライフを得られることは(特にダメージレースをしている時は)非常に影響力が高い。《怨恨》を軸に構築されたデッキであっても、パワー4のクリーチャーがいることよりもクリーチャーが死亡することの方がわずかに簡単だ。僕は破滅の刻の全カードの中で、この先数年間サイドボードを引き締めるカードとして《人生は続く》に一番自信をもっている。
《オケチラの報復者》はそれほど使われなさそうなカードの中で最も鬱陶しいカードだ。Pauperには1白の3/1クリーチャーがたくさんいるが、これは本格的な利点を備えた最初のカードだ。1ターンおきに戦闘ダメージを受けない3/1は可もなく不可もなくだが、白いクリーチャーを評価するときは成功している白いミッドレンジデッキがどれも《骨断ちの矛槍》を使っていることを考慮することが重要だ。同じ能力を持った5/1は強くても鬱陶しい。
斧を振りかざす《報復者》はよく使われているほとんどすべてのクリーチャーと交換するだろうし、それによって死んでしまうこともない。けれど《恩寵の重装歩兵》と違ってこの能力はすべてのダメージではなく、戦闘ダメージしか軽減できない。《ドロモカの伝令》と組み合わせて戦士シナジーをより重要視したとしても《報復者》はまだ通用しない。
Pauperには戦場に出たときに墓地からカードを追放するクリーチャーがほとんどいない。《見栄え損ない》によってその働きがなかったことにされるとしても、おそらく《墓をこじ開けるもの》がベストだろう。《廃却するミイラ》には《忘却の輪》の一節がないので試してみる価値がある。2白で2/3というのはユーティリティークリーチャーとしては優れたサイズだ。《コーの奉納者》が《解呪》効果を発揮するにはもっと多くのマナがかかる。墓地がどれほど重要で、フォーマットが今後どう進展するかを考えれば、クリーチャーを盤面に展開しながら小さなカードアドバンテージを獲得できる能力には影響力があるはずだ。《廃却するミイラ》はすでに使ったリソースしか食べないので本当のカードアドバンテージが得られるとは言い難い、しかしその残り物がしばしばデッキの再供給に役立つ。《ムラーサの胎動》、《墓の刈り取り》、《古術師》そして《発掘》のようなカードはどれも捨て札に適切なカードが置かれていることを当てにしている。最後に、重要カードを狙い撃ちしながら相当のサイズを残せるカードはこのカードしかない(《亡霊招き》はカウントしてない)。Pauperにおいて、墓地はチューターの対象として最高のリソースであり、《ミイラ》は1枚限りの《外科的摘出》だ。これは僕にはとても強く見える。
《神出鬼没の呪拳士》は採用されるまでしばらく時間がかかったが、一たび採用されると《思案》と《定業》を唱えた分だけ素早くダメージを与えることができた。《狡猾な生き残り》は同様のカードで、《入念な研究》をより魅力的にする。《狡猾な生き残り》は《野生の雑種犬》に投じられたカードすべてについて追加のダメージが与えられるようにする。改良型の青緑《野生の雑種犬》デッキはこんな感じになるかもしれない:
緑青マッドネス| Alex Ullman《狡猾な生き残り》には流行りのコンボデッキにフィットする利点もある ―《不屈の部族》コンボだ。ディスカード1枚当たりのクロックを上げることに加えて、《生き残り》には回避能力が内蔵されているという利点がある。勝ちのターンに手札をすべて捨てることができるのは大したことだし、除去主体の戦略に対してこのデッキを生き残りやすくしてくれるかもしれない。
クリーチャー(21)
2 《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》
3 《アクアミーバ/Aquamoeba》
4 《尊大なワーム/Arrogant Wurm》
4 《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla》
4 《狡猾な生き残り/Cunning Survivor》
4 《野生の雑種犬/Wild Mongrel》
インスタント(11)
3 《堂々巡り/Circular Logic》
4 《ルーンのほつれ/Rune Snag》
4 《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》
ソーサリー(6)
1 《綿密な分析/Deep Analysis》
1 《静かな旅立ち/Silent Departure》
4 《入念な研究/Careful Study》
土地(22)
8 《森/Forest》
8 《島/Island》
2 《進化する未開地》
4 《茨森の滝/Thornwood Falls》
《悲劇的教訓》は強い。概ね無条件にインスタントスピードでカードが2枚引けることは、コントロールデッキを長期戦で生き残りやすくしてくれる。そのコストはとても無視できるものではない、ゲーム序盤に土地を手札に戻すことはテンポの観点から死につながる。というわけでこの改良された《目録》は、コントロールデッキにおいてゲーム終盤にカードを増やしたり《ボジューカの沼》や《光輝の泉》を再利用するする選択としてより使われそうだ。《教訓》には土地破壊をかわせるという隠れた強さもある。《転覆》と《ディンローヴァの恐怖》はどちらも一般的に土地を対象にとる、そして《悲劇的教訓》は両者を立ち消えさせることができる。《ディンローヴァの恐怖》の場合には手札破壊の部分を無効にするし、《転覆》の場合にはそのカードを打ち消してしまえる。《予言のプリズム》を取り扱うトロンデッキにおいて、このインスタントは《石の雨》や《地の裂け目》からウルザトロンの重要ピースを守るために使うことができる。《人生は続く》が僕の考える最も鬱陶しいカードの称号を得るなら、《悲劇的教訓》は最も気難しいカードに選出される。
破滅の刻には、他にいくつか深く掘り下げなくとも言及する価値のあるカードがある。
・《突破》は《ニヴィックスのサイクロプス》デッキにおける選択肢だ。それ自身が別のカードに置き代わりながら主要なクリーチャーを強化する。これが《ティムールの激闘》に置き換わることはなさそうだが1枚差しするのは間違っていないかもしれない。
・《王神の信者》はいかにも利点のある良いブロッカーに見えるが、これの強さを十分発揮するためのデッキ構築上の制限がきつ過ぎて他より優先するほどではない。
・《相殺の風》は誤算した堂々巡りと呼ばれそうだ。もしコントロールデッキが《ボジューカの沼》をメインから使っていれば、そのミラーマッチにおいてこのカードは素晴らしいだろう。それでも十分使われそうな強さだ。
・《残忍な野猫》は《屍肉喰らい》デッキにおいて《エルフの幻想家》よりも優れたブロッカーになるかもしれない。パワー2のクリーチャーを無力化するとともに、後々カードに変わることもできるのは重要だ。Pauperのアリストクラッツの構築をより上のティアへと後押しするほどではないが、刺激にはなるだろう。
・《縞カワヘビ》と《猛り狂うカバ》はどちらも《死体発掘》と相性が良い。
・《巧みな軍略》は紙とオンラインのコモンのプールを統一する上でのステップになることから、言及する価値がある。
破滅の刻は上質なセットだ。Pauperで使えるカードで僕らを圧倒すると言うよりは、フォーマットに多くの素敵なツールを与えてくれる。電動スクリュードライバーは素晴らしくても、時には古き良き手回しドライバーが必要なものだ。
コメント
毎回楽しみつつ、読ませて頂いております。
残忍な野猫が屍肉ぐらいデッキに入りえるとは思っていなかったので新鮮なネタになりました。
ありがとうございます
毎回楽しんでもらっていると思うとやる気がでますね。ありがとうございます!
>>シュガーさん
ゴルガリ団所属のアレックスさんの目が光りましたね。1つでも新しい発見があったならうれしいです