今回解説するのは黒単コントロール、青黒コントロール、青黒アンコウだ。強がりを言わせてもらえばウィー=ゼロックスにとって黒は苦手な色ではない。ウィー=ゼロックスが苦手なのは《チェイナーの布告》であり、そして黒いデッキのほとんどが《チェイナーの布告》を使っているというだけだ。そういう訳で今日取り上げるデッキへの勝率は比較的低い。

・黒単コントロール
2017-03-18, 5-0 by pistillone
クリーチャー(17)
4 《クォムバッジの魔女/Cuombajj Witches》
4 《騒がしいネズミ/Chittering Rats》
4 《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》
4 《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》
1 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
その他の呪文(21)
3 《見栄え損ない/Disfigure》
2 《発掘/Unearth》
3 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》
4 《血の署名/Sign in Blood》
3 《夜の犠牲/Victim of Night》
3 《堕落の触手/Tendrils of Corruption》
1 《死の重み/Dead Weight》
2 《Oubliette》
土地(22)
4 《やせた原野/Barren Moor》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
1 《亡骸のぬかるみ/Mortuary Mire》
16 《沼/Swamp》
サイドボード(15)
2 《強迫/Duress》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《死せざる邪悪/Undying Evil》
2 《減縮/Shrivel》
1 《夜の犠牲/Victim of Night》
3 《精神ねじ切り/Wrench Mind》
2 《大牙の衆の忍び/Okiba-Gang Shinobi》
1《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
黒単コントロールは《ファイレクシアの憤怒鬼》、《騒がしいネズミ》そして《血の署名》でアドバンテージを獲得し、さまざまな1対1交換のできる除去で相手を妨害する。最後は《アスフォデルの灰色商人》が圧倒的なライフ差を付けて止めを刺す。あくまで「比較的に」と付け加えておくが、黒単コントロールはプレイングよりも構築段階の除去の選択によって差が付きやすい。黒は除去の色だから選択肢が多くなるのは当然と言えば当然だ。

大雑把に言えば《堕落の触手》や《Oubliette》のような重くて強い除去が多い方が1マナの《使徒の祝福》や《払拭》でこれらを防ぐことでテンポ・アドバンテージを取りやすく、相手の隙をついて攻撃を通しやすい。逆に《見栄え損ない》や《死の重み》のような対象が限定されていても軽い除去が多いと相手にペースを握られやすい。そしてそれとは別の問題として、ウィー=ゼロックスのメインデッキに入っているカードでは《チェイナーの布告》に対処することができないので、相手の《チェイナーの布告》の枚数よりも多くのクリーチャーを引かないと勝つことができない。

アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
1 《変異原性の成長》

イン
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》

一応書いてはみたもののサイドボーディングはかなり流動的だ。《見栄え損ない》や《残響する衰微》が多いようなら《変異原性の成長》は2枚とも残したい。布告除去が《ゲスの評決》まで積まれているなら《使徒の祝福》を残すよりも3枚目の《払拭》をサイドインした方が良い。とは言ってもメインのゲームで相手の除去の種類がしっかり確認できることばかりではないし、勘や気分でサイドボーディングしてしまうことも多い。ゲームが長引きやすいコントロール相手には《激闘》の枚数を減らすことが多いが、黒単コントロールはそこそこクリーチャーを並べてくるデッキであること、《使徒の祝福》は除去回避としての活用がメインなこと、そして手札破壊の可能性があることから《激闘》が欲しいときに手札に無いことがあるので3枚残している。

《騒がしいネズミ》のことを考えると土地が詰まって動きが止まってしまいそうな初手はキープしたくない。除去回避を構えてクリーチャーを出すために3~4マナまではすんなり土地を伸ばしたいところだ。

《秘密を掘り下げる者》を機能させるために《クォムバッジの魔女》は除去した方が良いが、《騒がしいネズミ》と《ファイレクシアの憤怒鬼》は《発掘》によってアドバンテージを積み重ねられてしまう可能性があるのでむやみに除去しない方が良い。

序盤の内はフルタップでクリーチャーを出すこと恐れないこと。例えば、手札に《使徒の祝福》と《悪鬼》があるが土地が2マナしかない場合には3枚目の土地を引くまで《悪鬼》の展開を待ちたいと思うかもしれない。しかし相手の除去は《使徒の祝福》では対処できないものかもしれないし、3枚目の土地を引く前に後続のクリーチャーを引くかもしれない。その場合は《悪鬼》を出さなかった分の1ターンが無駄になってしまうので、序盤はある程度自分のドローに希望を持ってクリーチャーを展開していったほうが良い。もし除去がなければそのまま勝てるかもしれないしね。

《騒がしいネズミ》のことを考えると手札に1枚だけ土地を抱えるブラフは絶対にしてはいけない。十分なマナがあって要らないカードが手札にある場合には《騒がしいネズミ》が出てきても新鮮なドローを保つためにフェッチランドを起動せずに温存しておいてもいい。基本的にどのカードをライブラリーの一番上に戻そうがゲームに影響はないが、《秘密を掘り下げる者》がいる時には確実に変身させられるのを忘れないこと。この場合、公開するのは《激闘》や《払拭》ではなく《ギタクシア派の調査》のようなドロー呪文にしておいた方が相手に与える情報が少なくて済む。

今のリストでは布告除去への対策として《嵐縛りの霊》ではなく《空中生成エルドラージ》を採用している。《嵐縛りの霊》は色拘束が強いのと、《Oubiette》1枚で対処されないように《使徒の祝福》を構えようとすると合計4マナかかってしまうのが使いづらく感じたからだ。《秘密を掘り下げる者》を伴ってダメージレースをする際に、地上クリーチャー(特に《グルマグのアンコウ》)をブロックできるかどうかも大きな差だと思う。当然《空中生成エルドラージ》を活かすためには《クォムバッジの魔女》を除去しなければならないし、《墓所のネズミ》のような全体除去には弱くなってしまっている。

リーグでの戦績は12勝9敗と一応勝ち越せている。黒単コントロールに負ける時は本当に何もできずに負けて苦しいものだが、相手も同じように苦しいはずなので心を折らずに頑張ってほしい。


・青黒コントロール
2017-03-27, 5-0 by Suiqueira
クリーチャー(14)
4 《騒がしいネズミ/Chittering Rats》
4 《海門の神官/Sea Gate Oracle》
2 《古術師/Archaeomancer》
4 《熟考漂い/Mulldrifter》
その他の呪文(24)
3 《見栄え損ない/Disfigure》
4 《定業/Preordain》
4 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》
4 《対抗呪文/Counterspell》
3 《破滅の刃/Doom Blade》
2 《残響する衰微/Echoing Decay》
1 《本質の散乱/Essence Scatter》
2 《幽霊のゆらめき/Ghostly Flicker》
1 《墓の刈り取り/Reaping the Graves》
土地(22)
1 《やせた原野/Barren Moor》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
4 《ディミーアの水路/Dimir Aqueduct》
4 《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
1 《光輝の泉/Radiant Fountain》
6 《島/Island》
5 《沼/Swamp》
サイドボード(15)
1 《無効/Annul》
3 《払拭/Dispel》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《残響する衰微/Echoing Decay》
1 《本質の散乱/Essence Scatter》
2 《減縮/Shrivel》
3 《嵐縛りの霊/Stormbound Geist》
2 《綿密な分析/Deep Analysis》
しばらくの間、青黒コントロールと言えばクリーチャーをほとんど採用せずに《エヴィンカーの正義》+《清純のタリスマン》か《血まみれの書の呪い》を勝利手段としたものが主流だった。しかしここ数ヶ月の間に《古術師》と《幽霊のゆらめき》と戦場に出たときにアドバンテージが取れるクリーチャーとを組み合わせたコンボを搭載したタイプが主流になっている。

黒単コントールと比較して考えると、このデッキはアドバンテージを取る能力がより高く、打ち消しという干渉手段も持っている。その代わり《灰色商人》のようにゲームをひっくり返すようなカードはないし、多色デッキであるがゆえにタップ状態で場に出る土地が多くテンポが良くない。ウィー=ゼロックスのように《紅蓮破》を使えるデッキであれば、《熟考漂い》や《海門の神官》などのアドバンテージ獲得手段に干渉することができる。
逆に言えば、ウィー=ゼロックスが付け込める隙はその程度のものだ。テンポの悪い序盤を凌がれ、《騒がしいネズミ》で手札を攻められ、《チェイナーの布告》がフラッシュバックできる7マナまで到達されたら勝つのは非常に難しい。

アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
1 《ティムールの激闘》
1 《変異原性の成長》
3 《稲妻》

イン
3 《紅蓮破》
1 《払拭》
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》

序盤に土地をタップインしている内にクリーチャーを場に出し、《払拭》や《使徒の祝福》を構えるのが理想だ。それができなかった場合はゲームが長引いてアドバンテージの勝負になる。布告に対して《空中生成エルドラージ》で対抗し、《紅蓮破》は相手の青いクリーチャーに狙いをさだめ、自分の《噴出》を通すことにも注力する。

クリーチャーがほとんど入っておらず《神秘の指導》や《熟慮》を多用するタイプには《稲妻》を抜いてさらに《大祖始の遺産》を入れる。こちらが序盤に土地を引きすぎていて逆に相手が土地を引けていない場合には、こちらの手札が十分に溜まるまで行動に移らないというのも1つの手だ。土地が伸び続けなければ相手は手札捨てざるを得ないのでこちらが待つことでのデメリットはほとんどない。こちらの手札が整ったらお互い7枚の手札を抱えた状態から攻防をスタートさせる。行動回数で上回ってクリーチャーを生き残らせることができれば1,2ターンの内での勝利を狙うことができる。墓地からアドバンテージを回収されないために《大祖始の遺産》を出しておければなお心強い。

そうやってとにかく相手をテンポで上回ってマナが尽きるタイミングを作り出すか、カードアドバンテージで上回って手札が尽きるタイミングを作り出すかして勝利する。リーグでの戦績(ほとんどがクリーチャーの少ない《神秘の指導》タイプ)は12勝10敗。なんとか五分五分の戦績を上げてはいるが、やはり最も当たりたくないデッキの1つだ。おそらく《幽霊のゆらめき》タイプへの勝率はもっと悪くなるんじゃないかと思う。


・青黒アンコウ
2017-03-20, 5-0 by NY8381
クリーチャー(10)
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
2 《スゥルタイのゴミあさり/Sultai Scavenger》
4 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
その他の呪文(32)
4 《渦まく知識/Brainstorm》
2 《見栄え損ない/Disfigure》
1 《恐ろしい死/Ghastly Demise》
4 《留意/Mental Note》
4 《思考掃き/Thought Scour》
1 《苦悶のねじれ/Agony Warp》
4 《対抗呪文/Counterspell》
2 《目くらまし/Daze》
3 《剥奪/Deprive》
1 《破滅の刃/Doom Blade》
1 《残響する衰微/Echoing Decay》
1 《無残な収穫/Grim Harvest》
2 《熟慮/Think Twice》
1 《神秘の指導/Mystical Teachings》
1 《噴出/Gush》
土地(18)
4 《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
2 《進化する未開地/Evolving Wilds》
2 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
8 《島/Island》
2 《沼/Swamp》
サイドボード(15)
1 《払拭/Dispel》
1 《はらわた撃ち/Gut Shot》
2 《水流破/Hydroblast》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《破滅の刃/Doom Blade》
1 《減縮/Shrivel》
1 《墓所への乱入/Crypt Incursion》
1 《除外/Exclude》
2 《腐臭の地/Rancid Earth》
3 《嵐縛りの霊/Stormbound Geist》
青黒アンコウは《グルマグのアンコウ》と《秘密を掘り下げる者》そして少数の《スゥルタイのゴミあさり》をクロックとしたテンポデッキであり、前述の2つのコントロールデッキとはゲームの進め方が大きく異なっている。青黒アンコウはデッキの半分以上がインスタントで占められており、《渦まく知識》の支援もあるため《秘密を掘り下げる者》が非常に変身させやすくなっている。さらに《秘密を掘り下げる者》で確認したデッキトップを《思考掃き》などで除外する小技も可能で、Pauperでもっとも《秘密を掘り下げる者》を上手く使っているデッキと言える。

とにかくインスタントが多いデッキなのでこちらの《払拭》が大いに活躍する。布告除去よりも対象にマイナス修正を与えるような除去が多いので《変異原性の成長》や《使徒の祝福》も活きやすい。手札を腐らせないためには《変異原性の成長》は使える時に使っていき、《払拭》はなるべくとっておくべきだろう。《思考掃き》と《留意》から高速で《グルマグのアンコウ》を展開されるのが一番恐ろしいが、これらの呪文に《払拭》を使ってしまうのはもったいないと思う。《思考掃き》と《留意》はあくまでただのキャントリップであり、《思案》や《定業》のようなドロー操作の能力がないからだ。ただし、《渦まく知識》で要らないカードをデッキトップに積み込んだ上での《留意》はカード2,3枚分の価値があるので打ち消した方が良いだろう。

アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《炎の斬りつけ》
3 《稲妻》
2 《ティムールの激闘》

イン
1 《払拭》
3 《紅蓮破》
2 《空中生成エルドラージ》
1 《大祖始の遺産》

今回紹介したリストには布告除去が入っていないが、2枚程度《チェイナーの布告》を積んだ構築は珍しくないので《空中生成エルドラージ》は必要だ。青黒アンコウ相手には《嵐縛りの霊》と違って地上クリーチャーをブロックできることが特に意味を持つ。《蓄積した知識》を積んでいるタイプには《大祖始の遺産》を2枚入れよう。墓地が5~6枚溜まってきたら《アンコウ》を警戒して《遺産》の2番目の能力を起動してしまっていいと思う。せいぜい見えている《マナ漏出》くらいの働きだ。青黒アンコウには《熟考漂い》のような派手なアドバンテージ獲得手段があまり入っていないので、特に《紅蓮破》を温存しておく必要がない。これで相手の《秘密を掘り下げる者》の除去を大体まかなえるので、他に用途のない《稲妻》は減らしてしまう。

相手はこちらのクリーチャーをなんでも除去できるがこちらは《アンコウ》に対する良い回答がないので、運良く高速で《アンコウ》を出されてしまうと一気に苦しいゲームになる。《悪鬼》や《サイクロプス》をブロックに回して《アンコウ》との相打ちを狙わなければいけないこともあるだろう。まあこのデッキも親和のときと同じように、相手の引きの良し悪しでゲームが決まってしまうことは多い。

リーグでの戦績は11勝9敗。なんとか五分五分といったところだが、《払拭》の枚数を4枚にすればもう少し上手く戦えるかもしれない。








その3の更新から日が空いてしまいました。その間にMM3でコモン落ちした《ボーラスの占い師》を入れたタイプのウィーゼロを回していました。《ボーラスの占い師》はなかなか好感触ですね。テンポ勝負になるようなデッキ相手にはちょっと邪魔になるものの、地上アグロへのブロッカーになるしコントロール相手のアドバンテージ源にもなる。今回取り上げた黒単コントロール、青黒コントロールへの相性も改善するんじゃないかと期待しています。次回は白系のデッキか、あるいは呪禁オーラとエルフあたりにしようかな。

コメント

シュガー
2017年4月1日10:58

記事投稿お疲れ様です!
空中生成エルドラージ色拘束が薄いというのがメリットなのかなと思って採用していましたが《Oubliette》の対策にもなるのですね
次回の記事も期待しております!

surucucu
2017年4月1日11:42

>>シュガーさん、コメントありがとうございます!
《Oubliette》対策ってほどではないですがとりあえず1枚で対処されずには済みますね。後は末裔トークンで《使徒の祝福》を構えられることがたまに活きます。次のもぼちぼち書いていきたいと思います

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