今回は緑単ストンピィと親和との戦い方を解説する。青単デルバーに比べると読み応えのないものになると思うけれど、青単デルバーほど語ることのあるデッキもあんまりないので勘弁してね。

・緑単ストンピィ
2017-02-27, 5-0 by JonatanFrankel
クリーチャー(27)
4 《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel》
4 《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》
4 《スカルガンの穴潜み/Skarrgan Pit-Skulk》
4 《若き狼/Young Wolf》
2 《ガラクの仲間/Garruk’s Companion》
3 《巣の侵略者/Nest Invader》
2 《リバー・ボア/River Boa》
2 《シラナの岩礁渡り/Silhana Ledgewalker》
2 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge》
その他の呪文(17)
4 《地うねり/Groundswell》
4 《巨森の蔦/Vines of Vastwood》
4 《吠え群れの飢え/Hunger of the Howlpack》
4 《怨恨/Rancor》
1 《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》
土地(16)
16 《森/Forest》
サイドボード(15)
4 《散弾の射手/Scattershot Archer》
3 《勇壮な対決/Epic Confrontation》
3 《部族養い/Feed the Clan》
3 《上機嫌の破壊/Gleeful Sabotage》
2 《心に静寂/Serene Heart》
緑単ストンピィは古き良きビートダウンを体現している。ほぼすべてのカードが2マナ以下であり、4枚積みのカードも多いことから非常に安定した動きをする。フェアで、マリガンが少なく、かつ戦闘での駆け引きを楽しむことができるので、僕はPauper参入者にはいつもこのデッキを勧めている(ビートダウンが好きだからというのもある)。Pauperに君臨する青単デルバーに相性が良いこともあって、緑単ストンピィは根強い人気のあるデッキだ。ウィー=ゼロックスはPauperの中でもかなり速いデッキだがストンピィもそれと同等の速さを持ったデッキだ。ほとんどのゲームにおいて、お互いに最速の勝利を目指しながら数枚のカードで相手の行動を妨害する形になる。その結果、1ターンの差やカード1枚分の差で勝敗が決することが多くなる。

ストンピィの1マナ域はほとんど固定されているが2マナ域には比較的選択肢が多く、この2マナ域の種類によって選択できるプランに差が出てくる。《大霊堂のスカージ》に《怨恨》がつけばダメージレースに大きく差を付けることができる。《リバー・ボア》に《怨恨》を付け、《クウィリーオン・レインジャー》によって警戒持ちのように運用すれば地上の殴り合いを制することができる。《生命の咆哮の思念》に陰鬱した《吠え群れの飢え》が決まれば小さいクリーチャーを捕食するマシーンが出来上がる。さらに《クウィリーオン・レインジャー》がいると相手のクリーチャーをアンタップして無理やりブロックさせることもできる。《シラナの岩礁渡り》を《怨恨》や《吠え群れの飢え》で強化すればコントロールデッキは悶絶するだろうし、《野生の雑種犬》の攻撃をスルーしたら強化呪文と合わせて手札をすべて捨ててライフが消し飛ぶこともある。とにかく、ストンピィには長所の異なるクリーチャー達がお互いにシナジーしながら散りばめられているんだ。こちらのデッキもそれに合わせて多少狙いを変えなければいけない。

アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《変異原性の成長》

イン
1 《炎の斬りつけ》
1 《払拭》

《大霊堂のスカージ》、《巣の侵略者》そして《野生の雑種犬》がいる場合、ブロック回避として活きにくい《使徒の祝福》は減らした方が良い。《リバー・ボア》がいるならば再生を許さない除去として《海賊の魔除け》を残してもいいだろう。《大霊堂のスカージ》、《シラナの岩礁渡り》などタフネス1が多いならば《電謀》を1枚入れるのも良い。工夫できるのはせいぜいこのくらいだ。このサイドボーディングが上手くハマることもこともあれば、要らないカードを手札に抱えてしまうことも往々にしてあり得る。

《悪鬼》や《サイクロプス》を場に出しても、強化呪文のことを考えると1/1のクリーチャーが相手でもブロックに入ることはできない。《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》のアンタップ能力のおかげで、大抵の場合はブロッカーを用意されながら全力で攻撃され続けることになる。《スカルガンの穴潜み》の狂喜を達成させないためにも、1ターン目に出てくるクリーチャーは《若き狼》以外は直ちに除去してしまうのが正解だろう。相手の《怨恨》に対応して火力を打ちたくなってしまうが、相手のターンに火力を打つと強化呪文で防御された場合にそのまま打点のアップに繋がってしまうというリスクがある。《払拭》や2枚目の火力を構えているのでない限り火力はこちらのターンに打つのが無難だ(ウィー=ゼロックスを相手にするときにも同じことが言える)。基本的に、1ターン目は《秘密を掘り下げる者》を展開するよりも相手のクリーチャーを除去したほうがダメージレースへの貢献度が高い。1,2ターン目において、《変異原性の成長》がある場合には《秘密を掘り下げる者》で《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》のブロックに入るのも1つの手だ。相手が《地うねり》などを持っていないことが前提になるが、これで相手のクリーチャーを除去できれば盤面になかなかの差を付けることができる。

ストンピィの妨害手段は《巨森の蔦》によって《ティムールの激闘》を打ち消すことだ。サイドボーディング後にはさらに《濃霧》系のカードと《勇壮な対決》が加わる。特に《勇壮な対決》が解決された場合の被害は大きく、かといって《使徒の祝福》を構えるためにクリーチャーの展開を1ターン遅らせるのもストンピィ相手にはためらわれる。他に《部族養い》や《滋養》が入ることもあるが、まあ比較的小さな問題だ。たまに《散弾の射手》が入ってくることがあるがこれも特に怖くはない。《ヴィリジアンの長弓》は《イラクサの歩哨》や《クウィリーオン・レインジャー》と合わさって《悪鬼》を除去することができるので少し怖い。何にしろ、《激闘》による一撃を狙うターンには《使徒の祝福》や《払拭》を1枚抱えて置きたい。

ストンピィとの対戦では攻めるプランの選択が重要になってくる。《悪鬼》や《サイクロプス》が引けなくても《秘密を掘り下げる者》が複数引けたなら、積極的に《激闘》を使って《稲妻》で止めを刺すことを狙ってもいい。このマッチアップでは飛行という能力が活きやすいので、《使徒の祝福》や《激闘》が引けない場合に《サイクロプス》をブロッカーに回して《秘密を掘り下げる者》に攻撃を任せることもある。盤面の状況やお互いの手札によって正解が変わるので明確な判断基準を示すことは難しいが、1つ言えるのは、1,2ターン先にお互いのライフがどうなっているのかの計算を怠らないことだ。《ギタクシア派の調査》に無駄なライフを支払ってしまったり、《秘密を掘り下げる者》を1回攻撃に回さなかったり、数点の差でゲームを落とすのはもったいない。

・親和
Paupergeddon V Milan , 1st Place by Lorenzo Sbrilanci
クリーチャー(17)
4 《エイトグ/Atog》
4 《甲殻の鍛冶工/Carapace Forger》
4 《金属ガエル/Frogmite》
4 《マイアの処罰者/Myr Enforcer》
1 《歯車襲いの海蛇/Gearseeker Serpent》
その他の呪文(27)
3 《皮剥ぎの鞘/Flayer Husk》
4 《感電破/Galvanic Blast》
1 《投げ飛ばし/Fling》
1 《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
1 《危険な研究/Perilous Research》
4 《物読み/Thoughtcast》
4 《彩色の星/Chromatic Star》
3 《予言のプリズム/Prophetic Prism》
4 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
2 《胆液の水源/Ichor Wellspring》
土地(16)
4 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
4 《大焼炉/Great Furnace》
4 《教議会の座席/Seat of the Synod》
4 《伝承の樹/Tree of Tales》
サイドボード(15)
3 《払拭/Dispel》
2 《電謀/Electrickery》
3 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
3 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2 《部族養い/Feed the Clan》
2 《心に静寂/Serene Heart》
親和はクリーチャーのサイズが大きく、スピードも速く、《感電破》という優秀な除去に《物読み》という優秀なドロー呪文を備えている。そして《エイトグ》と《投げ飛ばし》という一撃必殺のコンボまで搭載していて、Pauperの中でも引きが噛み合った時の強さが飛び抜けたデッキだ。元も子もない話だが、親和との勝敗は相手の引きの良し悪しで決まってしまうことが多い。

アウト
1 《海賊の魔除け》
1 《稲妻》
1 《使徒の祝福》

イン
1 《炎の斬りつけ》
2 《水流破》

基本的な戦略は、クリーチャーを除去して相手を減速させ、こちらが先に一撃を決めるというものだ。除去として機能しにくい《海賊の魔除け》を抜いて《稲妻》も減らしてしまう。親和のクリーチャーは色がバラバラなのでブロック回避として機能しにくい《使徒の祝福》も減らす。《水流破》は親和のメインの除去である《感電破》を打ち消すのにも《エイトグ》を除去するのにも使えて便利だ。《オーリオックの太陽追い》や《厳粛な空護り》がいる場合には《稲妻》を残していい。《歯車襲いの海蛇》がいる場合には《紅蓮破》を1枚入れてもいいだろう。できれば《炎の斬りつけ》をもう1枚サイドボードに取りたいところだ。相手が《未達への旅》や《赤の防御円》を取っているようなら《残響する真実》や《鋭い痛み》を入れる必要が出てくる。しかし効果が限定されたこれらの2マナの呪文を親和のような速いデッキ相手に入れなければならないのは辛いことだ。
《ゴリラのシャーマン》は親和に対して劇的に効くカードだが、ウィー=ゼロックスに入れたとしても出るタイミングが遅ければ《マイアの処罰者》や《金属ガエル》に殴られるだけだ。優先すべきは相手の生物を処理することであって土地を攻めることではない。まあ、もしサイドボードが20枚用意できるのだとしたら間違いなく入れるけれどね。

《金属ガエル》を見たら大体《稲妻》を打ってしまっていい。他に《稲妻》で焼くことができるクリーチャーはほとんどいないし、(特に2,3ターン目は)なるべくアーティファクトの数を減らしておいた方が親和(アーティファクト)の呪文や《エイトグ》を弱くできる。同様に《甲殻の鍛冶工》と《マイアの処罰者》であればアーティファクトである《処罰者》の方を優先して処理したい。《悪鬼》や《サイクロプス》は基本的にブロックに回ることは少ないが、ライフを守るためには《激闘》、《使徒の祝福》、《変異原性の成長》などを使って4/4クリーチャーのブロックに入ることがある。

《激闘》を使う際に注意したいのが、親和は「赤い除去」を使ってくるデッキだということだ。《激闘》を唱えるの対応して除去を打たれた場合、《使徒の祝福》でこれを守ろうとするとプロテクション(赤)によって《激闘》もまとめて打ち消されて悲しいことになってしまう。後は相手のアーティファクトを数えて、《エイトグ》がどこまで大きくなるのか、《投げ飛ばし》による突然死があり得るのかどうかの確認を怠らないこと。《ティムールの激闘》が1,2枚入ったタイプの親和もあるが、そこまで気を回していてもおそらく勝てないのでそれで負けても運が悪かったと思って割り切った方がいい。例えば、3ターン目に《サイクロプス》を展開して返しのターンに《エイトグ》に攻撃されたとする。この時、相手のアーティファクトが5つあると《投げ飛ばし》ではブロックしなくても負けないが、《ティムールの激闘》ではブロックに入らないと負けてしまう。しかし、《サイクロプス》をブロックに回して失ってしまうとそれはそれで勝ち筋が無くなって負けてしまうので、この場合はブロックせずに少しでも勝ち筋を残した方が良いんだ。もちろん手札に《払拭》があるなら構えた方が良いけれど、結局のところ親和はどの色のカードも使うことができるので、《紅蓮破》、《払拭》、《水流破》、《未達への旅》、《防御円》、《濃霧》、《破滅の刃》そして《チェイナーの布告》など、すべての可能性を考えているとキリがないんだ。



ちなみにリーグ開始からの戦績はストンピィに15勝5敗(75%)、親和に27勝15敗(64%)。思ったより親和と多く当たっていて驚いた。次回はトロンと青赤コントロールにする予定。

コメント

だうと
2017年3月9日20:59

払拭構えるのやめてください!死んでしまいます!(調べたら過去にそれで死んでいた

シュガー
2017年3月9日21:07

記事作成お疲れ様です!
緑単相手だと確かに使徒の祝福は腐る感じですね…
親和はエイトグどうするかなぁと思っていたので相手の構成によってある程度の読みが必要になってくるっていうのは難しいところですね。
トロンは自分が好きで使ってるのもあってウィーゼロ側から見るとどんな相手なのか気になるので続きを期待して待ちます!

surucucu
2017年3月10日12:32

>>だうとさんとは何故か結構当たってますよねw攻撃にいくターンは払拭さえあれば大体安心なので構えます

>>シュガーさん、コメントございます
十分なアーティファクトがある状態だとエイトグはチャンプブロックせざるを得ないので、「早めのエイトグ」+「デルバーとかのチャンプ要員がいない」で負けることはありますね。エイトグをたくさん引かれるとやはりキツいです

ノート
2017年3月11日10:01

すいません、上のはミスです。
ストンピィ、私は苦手な物で参考になりました。
ゴリラはやっぱりヘイト偏りすぎですよね…

surucucu
2017年3月11日11:46

ストンピィは3キル4キルができちゃえば楽ですが、そうじゃない時は一気に緊張感が増しますね。参考になれば幸いです
ゴリラはほとんど親和にしか効かないですからねー。より親和を意識するとしてもまずは斬りつけと水流破を足しそうです

Tuchan
2017年3月15日2:08

記事参考になります。
対ストンピィですが、炎の斬りつけは4点というより5,6枚目の稲妻でしょうか?電謀の複数除去の方が出番ないでしょうか。

>元も子もない話だが、親和との勝敗は相手の引きの良し悪しで決まってしまうことが多い。
これはすごく感じます。サイドのゴリラは展開を遅らせる/完全に止めるのと感電波の避雷針になってくれるので2,3ターン目に重宝しています。

surucucu
2017年3月16日0:28

>>Tuchanさん、コメントありがとうございます
特にタフネス4が問題になることもないので《斬りつけ》は2/2を処理するための追加の除去ですね。《電謀》は《大霊堂のスカージ》や《シラナの岩礁渡り》が多いと入れたくなりますね。《若き狼》や《リバー・ボア》に対してはそれほど効果がないですし。複数除去が狙えるタイミングは少ないのできっちりタフ2を処理できる《斬りつけ》の方が無難だと考えています
サイド枠がなくてゴリラは断念してますがやっぱり親和相手に出れば強いですよねえ

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