元記事URL(http://www.gatheringmagic.com/alexullman-02072017-a-pauper-primer-combo/)
A Pauper Primer: Combo
by Alex Ullman, February 7, 2017
熱烈なPauperプレイヤーを連れてきてPauperとマジック全体の関係について尋ねたならば、おそらくある傾向が現れるだろう。プレイヤーは攻撃的なデッキの強さを解説し、《対抗呪文》ベースのコントロールについて詩を吟じたがる。彼らに独り言を続けさせるとしてもコンボの話になるとおそらく顔をしかめるだろう。メタゲームが安定して多様なデッキがあるのにも関わらず、Pauperのコンボデッキの歴史は悲惨なものだ。
それはコンボデッキが存在してこなかったということではない:禁止されなければならないほど支配的だったということだ。
禁止リストに立ち返るとこの事実が浮き彫りになる。《ぶどう弾》、《巣穴からの総出》そして《時間の亀裂》はすべて禁止されている。最初の2つがそれ自身でゲームを終わらせた一方で、《亀裂》は単に一方的な《抹消》として機能した。《フェアリーの大群》と《流浪のドレイク》は《幽霊のゆらめき》と《記憶の壁》(あるいは《古術師》)と一緒になって無限のマナを生み出す。《大あわての捜索》はマナを得るだけでなくコンボデッキで必要なくなったカードを振るい落としてくれる。Pauperのクリーチャー達とは違い、呪文の方はコンボデッキに適している。軽いカード選択呪文と儀式が豊富にある。《思案》と《定業》が重要呪文を見つけやすくしてくれる一方で、《炎の儀式》と《暗黒の儀式》が噴出するパイプラインのように機能する。これだけでコンボが強くなり過ぎるわけではない。それよりむしろ干渉手段が不足していることで、コンボデッキが現れたときにそれを支配的な強さにしてしまうんだ。
他のフォーマットのコンボデッキを考えてみよう。それらを抑制するためにどんな手段があるだろうか?その金字塔が《意志の力/Force of Will》だ。このピッチカウンターはそれだけでコンボデッキを止めることはできないが、むしろ《狼狽の嵐》のようなサイドカードと一緒に使って役に立つ。《不毛の大地》、《露天鉱床》そして《血染めの月》はどれもマナを拘束するし、《神聖の力線》はコンボの達成を劇的に拘束することができる。《磁石のゴーレム》、《虚空の杯》、《スレイベンの守護者、サリア》その他もろもろの「タックス」カードすべてが存在する。ああそうだ、《師範の占い独楽》と《相殺》は一緒になって呪文の解決させなくできる。
Pauperには《目くらまし》と《強迫》がある。
これは問題の単純化というより総まとめだ。《巣穴からの総出》のようなカードは元からこのフォーマットに多くの対策がある ―《電謀》、《Holy Light》、《残響する衰微》、《残響する真実》― しかしこのことがPauperを「対策を持っているか否か?」のゲームにしてしまう。Pauperは伝統的なコンボデッキのプランを遅らせる予防対策が不足している、そしてその代わりに、相手に対応するカードが豊富にある。《強迫》はとても強いカードだが《陰謀団式療法》と違って1枚しか捨てさせられない。同様に、素晴らしい打ち消し呪文があるとしても、コンボエンジンと戦う際に《対抗呪文》は《意志の力/Force of Will》ではない。
これが合わさった結果、コンボデッキがPauperで強いときそれは完全に支配的なものになる傾向がある。この分かりきった事実は、コンボと戦うために必要な呪文の性質上常に変化しそうにない。コモンはその性質上、ゲームにおいてより大きな機能を果たすために普通のマジックの軸に沿って動作する必要がある。そのためコモンはかなり標準的な効果を持たなければならない。コンボデッキは悪用できるゲームの抜け穴を探すし、その副産物としてコンボへの最高の回答の多くはレアリティが高くなってしまう。
しかしPauperにはコンボデッキが存在する。他のエターナルフォーマットにおけるスタック多用の構築とは似ていないかもしれないが、ゲームにおいて同じようにプレッシャーをかけることができる。今日はより成功しているコンボデッキの一部と根強いファンがいるマイナーな戦略について考察しようと思う。
僕らのアグロの議論は親和で締めくくられた。このデッキは《エイトグ》と《投げ飛ばし》の瞬殺コンボを使うことができる。一部の親和の構築は1枚の《ティムールの激闘》によって異なる角度から攻めることを選択している。僕らのコンボの議論の最初のデッキも獰猛さを享受している。
このデッキのゲームプランは単純だがプレイは思いのほか難しい。目指すのは《窯の悪鬼》や《ニヴィックスのサイクロプス》によって対戦相手に一撃を入れることだ。単純だろう?これを達成するためにこのデッキはたくさんの軽いインスタントとソーサリーを使い、それらがデッキをかき混ぜるのにも役立つんだ。 《使徒の祝福》のようなカードは戦力を除去から守るのとゲームを終わらせる際に回避能力を与えるのと2つの役割をこなす。一部の構築はメインデッキに《払拭》を使うことを選択しているがサイドボードにいる方がずっと一般的だ。イゼット・ブリッツデッキは本当に20点の一撃を与えなくてもいいように《秘密を掘り下げる者》も使っているし、《稲妻》で道を切り開いたり最後の数点を与えたりする。
おそらくこのデッキで一番強力なカードは《噴出》だろう。コンボのターンはよく《噴出》の代替コストが支払われる前に島2枚がタップされることから始まる。土地1枚がすぐにプレイしなおされ、イゼット・ブリッツは《ティムールの激闘》の前に少なくとも3つの呪文が見込めるようになる。大抵の場合それは最終ダメージとして十分過ぎるものだ。ここで《ギタクシア派の調査》はコンボのターンに追加ダメージを与える「無料」のカードとして扱われる。《シャドーの裂け目》と《ひずみの一撃》も攻撃を通すのに役立つし、同時に《シャドーの裂け目》には1体のみのブロッカーにシャドーを与えて退けてしまえるという別の有用性がある。
イゼット・ブリッツは有力なデッキだが重大な欠点がある ―クリーチャーが少なく《チェイナーの布告》に対して脆いんだ。これに対抗するためイゼット・ブリッツデッキの多くは《嵐縛りの霊》や《空中生成エルドラージ》をよくサイドボードに積むことがある。一部の構築は、プレイヤーを対象とする可能性があるソーサリーやその他の呪文を見つけるために《知恵比べ》を採用している。
イゼット・ブリッツは安定した入賞デッキであり、他のデッキにはできない方法でフォーマットにプレッシャーをかけることができる。このデッキをチャンピオンにさせない唯一の理由は、このフォーマットに元から対策があるということそしてこのデッキが安定しない可能性があるということだ。レガシーやヴィンテージと違って《噴出》が戻して出しなおすことができるのは青マナを出す《島》だけだ、《Volcanic Island》やその他本物のデュアルランドとは違う。同様に《広漠なる変幻地》と《進化する未開地》は基本地形を持ってこれるかもしれないが、タップ状態で戦場に出ることでのテンポへの被害は甚大だ。
僕らのリストの次のデッキは同じようなマナの問題は抱えていない。君のマナベースが《山》だけでできているとしたら間違った土地を引くのは難しい。
Pauperのバーンは「火の哲学」を素晴らしく体現している。各呪文が《稲妻》(あるいはそれ以上)のダメージの価値があると、《針落とし》はかなり物足りなく見える。重要なのは追加のカードだ。《針落とし》は大抵の場合別の火力呪文を引かせてくれるので実は4点分の価値があるんだ。《貫かれた心臓の呪い》は、場を離れなければ1ターンをかけるのに見合ったダメージを与えてくれるだろう。これら2枚のカードは何年もこのフォーマットにいるがバーンは特定のメタゲームで有利になるデッキのままだった。《熱錬金術師》がそのすべてを変化させた。
《熱錬金術師》はバーンのインスタントやソーサリーすべてを強化する。《熱錬金術師》が場に出ているとすべての呪文は今や3点ではなく4点のダメージを与える。《針落とし》は常に「オン」の状態になるのでかなり強くなる。《熱錬金術師》はバーンに並外れた「リーチ」を与え、このデッキの長い間の弱点を補強する ―ライフゲインだ。《熱錬金術師》以前のバーンは21点のダメージを与えることにとても長けていた。タルキール覇王譚のゲインランドとその他の二次的なライフゲインは、多くの場合別のデッキが勝利するまでバーンとのゲームを長引かせるのに十分だった。《熱錬金術師》はバーンに25から28点のダメージを与えるのを容易にし、防御的なデッキにさらなるプレッシャーを与えた。《熱錬金術師》を誘発させるドロー1枚と《火炎の裂け目》や《火炎破》はゲームを迅速に終わらせることができる。この異界月のコモンはバーンを完全に別な水準へと押し上げた。
バーンは遅いコンボデッキのように動き、その回復力にも関わらず依然として強固な防御の前にたじろいでしまうことがある。《ムラーサの胎動》は大きな悩みの種であり、《熱錬金術師》か《貫かれた心臓の呪い》のどちらかを無力化して1ターン以上の時間を稼ぐことができる。《熱錬金術師》がいることでもはや除去がバーンに対して完全に腐ることはない。《呪い》はより対処しづらいものの、よく使われている《水流破》によって処理することができる。手札破壊と打ち消しもバーンの行く手を阻むことができるし、軽い回答が豊富にあるのでバーンが最強候補になるのは難しいと判明している。
一部の除去はバーンに対して強くなることがあるが、それは僕らの3番目によく使われるコンボデッキに対しては寄せ集めにすぎない。
エルフはゲームの発展中の段階から最小限のターンで大量のマナまで加速することを目指す。1枚の《森》が《エルフの神秘家》や《クウィリーオン・レインジャー》を生み出すことができる、このデッキはそれによって2ターン目に全力を出すことができる。《ティタニアの僧侶》は序盤のクリーチャーすべてを余剰のマナに変えることができ、そうして《エルフの先兵》や《森林守りのエルフ》が唱えやすくなる。これらのカードがゲームを短時間で終わらせるの役立つ一方、《幸運を祈る者》は生き残るのを簡単にしてくれる。一部のエルフデッキは勝利を確実にするために数枚の《ウラモグの破壊者》を採用している。
エルフは除去に影響を受けやすい。《チェイナーの布告》で失速させられることがあるイゼット・ブリッツや《熱錬金術師》と違い、簡単に横に広げられるデッキ相手にはこのお馴染みのソーサリーはむしろ弱く見える。《墓所のネズミ》や《エヴィンカーの正義》のようなカードはエルフの全軍を一掃するのに活用できるが《エルフの先兵》はこの関係を変化させた。対象をとる除去がエルフに対して弱いことはなかったし、今は少し強くなった。しかしこのデッキは依然として干渉力に乏しい引きを圧倒することができる。エルフはそこそこのマナを持って序盤を生き残らなければならず、序盤のクリーチャーを《炎の稲妻》や《死の重み》で落とされるとその後の1マナ域が意味をなさなくなってしまうだけの時間を稼がれてしまう。
これらは現在のPauperのメタゲームでもっとも成功しているコンボデッキだ。別のコンボデッキも存在しているが、将来入賞デッキになるだけの枠組みをもっているマイナーなアーキタイプは1つだけだ。
ミッドナイト・ゴンドの素晴らしいところはコンボの核以外の部分が非常に柔軟なところだ。《深夜の護衛》と《ゴンドの存在》が占めるスロットはわずかに8枚だし、既存のあらゆるセレズニアの構築に当てはめることができる。カードが印刷されていくに連れてこのデッキが必要とするツールが手に入る可能性は高くなっていく。
コンボはPauperの漠然とした領域に存在している。大いにクリーチャーに依存した環境ではコンボデッキは枠をはみ出して行きたいが、それはよく定義されたパラメータの中で動作しなければならない。現在、コンボは他の戦略を圧迫することなく、一要素として十分な強さを持っている。これらのデッキは活力が追加されても耐えられるだろうが、それが余りに大きければ何かが禁止リストへ送られる可能性がある。
次週はフォーマットの問題点とローグデッキでこのPauper入門を締めくくる。
A Pauper Primer: Combo
by Alex Ullman, February 7, 2017
熱烈なPauperプレイヤーを連れてきてPauperとマジック全体の関係について尋ねたならば、おそらくある傾向が現れるだろう。プレイヤーは攻撃的なデッキの強さを解説し、《対抗呪文》ベースのコントロールについて詩を吟じたがる。彼らに独り言を続けさせるとしてもコンボの話になるとおそらく顔をしかめるだろう。メタゲームが安定して多様なデッキがあるのにも関わらず、Pauperのコンボデッキの歴史は悲惨なものだ。
それはコンボデッキが存在してこなかったということではない:禁止されなければならないほど支配的だったということだ。
禁止リストに立ち返るとこの事実が浮き彫りになる。《ぶどう弾》、《巣穴からの総出》そして《時間の亀裂》はすべて禁止されている。最初の2つがそれ自身でゲームを終わらせた一方で、《亀裂》は単に一方的な《抹消》として機能した。《フェアリーの大群》と《流浪のドレイク》は《幽霊のゆらめき》と《記憶の壁》(あるいは《古術師》)と一緒になって無限のマナを生み出す。《大あわての捜索》はマナを得るだけでなくコンボデッキで必要なくなったカードを振るい落としてくれる。Pauperのクリーチャー達とは違い、呪文の方はコンボデッキに適している。軽いカード選択呪文と儀式が豊富にある。《思案》と《定業》が重要呪文を見つけやすくしてくれる一方で、《炎の儀式》と《暗黒の儀式》が噴出するパイプラインのように機能する。これだけでコンボが強くなり過ぎるわけではない。それよりむしろ干渉手段が不足していることで、コンボデッキが現れたときにそれを支配的な強さにしてしまうんだ。
他のフォーマットのコンボデッキを考えてみよう。それらを抑制するためにどんな手段があるだろうか?その金字塔が《意志の力/Force of Will》だ。このピッチカウンターはそれだけでコンボデッキを止めることはできないが、むしろ《狼狽の嵐》のようなサイドカードと一緒に使って役に立つ。《不毛の大地》、《露天鉱床》そして《血染めの月》はどれもマナを拘束するし、《神聖の力線》はコンボの達成を劇的に拘束することができる。《磁石のゴーレム》、《虚空の杯》、《スレイベンの守護者、サリア》その他もろもろの「タックス」カードすべてが存在する。ああそうだ、《師範の占い独楽》と《相殺》は一緒になって呪文の解決させなくできる。
Pauperには《目くらまし》と《強迫》がある。
これは問題の単純化というより総まとめだ。《巣穴からの総出》のようなカードは元からこのフォーマットに多くの対策がある ―《電謀》、《Holy Light》、《残響する衰微》、《残響する真実》― しかしこのことがPauperを「対策を持っているか否か?」のゲームにしてしまう。Pauperは伝統的なコンボデッキのプランを遅らせる予防対策が不足している、そしてその代わりに、相手に対応するカードが豊富にある。《強迫》はとても強いカードだが《陰謀団式療法》と違って1枚しか捨てさせられない。同様に、素晴らしい打ち消し呪文があるとしても、コンボエンジンと戦う際に《対抗呪文》は《意志の力/Force of Will》ではない。
これが合わさった結果、コンボデッキがPauperで強いときそれは完全に支配的なものになる傾向がある。この分かりきった事実は、コンボと戦うために必要な呪文の性質上常に変化しそうにない。コモンはその性質上、ゲームにおいてより大きな機能を果たすために普通のマジックの軸に沿って動作する必要がある。そのためコモンはかなり標準的な効果を持たなければならない。コンボデッキは悪用できるゲームの抜け穴を探すし、その副産物としてコンボへの最高の回答の多くはレアリティが高くなってしまう。
しかしPauperにはコンボデッキが存在する。他のエターナルフォーマットにおけるスタック多用の構築とは似ていないかもしれないが、ゲームにおいて同じようにプレッシャーをかけることができる。今日はより成功しているコンボデッキの一部と根強いファンがいるマイナーな戦略について考察しようと思う。
僕らのアグロの議論は親和で締めくくられた。このデッキは《エイトグ》と《投げ飛ばし》の瞬殺コンボを使うことができる。一部の親和の構築は1枚の《ティムールの激闘》によって異なる角度から攻めることを選択している。僕らのコンボの議論の最初のデッキも獰猛さを享受している。
イゼット・ブリッツ - Xto2, 5-0 Pauper Leagueイゼット・ブリッツはたくさんの青いドロー操作を活用する。これらはストームコンボを非常に安定させていたのと同じものだ。《思案》と《定業》はゴブリン2体分や《ぶどう弾》のダメージ1点分の仕事をこなしていたが、イゼット・ブリッツにおいては無料の《溶岩の撃ち込み》になる。
クリーチャー(12)
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《窯の悪鬼/Kiln Fiend》
4 《ニヴィックスのサイクロプス/Nivix Cyclops》
インスタント(18)
1 《渦まく知識/Brainstorm》
1 《払拭/Dispel》
1 《シャドーの裂け目/Shadow Rift》
2 《変異原性の成長/Mutagenic Growth》
3 《使徒の祝福/Apostle’s Blessing》
3 《噴出/Gush》
3 《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
ソーサリー(12)
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《思案/Ponder》
4 《定業/Preordain》
土地(18)
3 《山/Mountain》
8 《島/Island》
2 《大焼炉/Great Furnace》
2 《急流の崖/Swiftwater Cliffs》
3 《進化する未開地/Evolving Wilds》
サイドボード(15)
1 《鋭い痛み/Flaring Pain》
2 《電謀/Electrickery》
3 《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》
3 《水流破/Hydroblast》
3 《知恵比べ/Outwit》
3 《紅蓮破/Pyroblast》
このデッキのゲームプランは単純だがプレイは思いのほか難しい。目指すのは《窯の悪鬼》や《ニヴィックスのサイクロプス》によって対戦相手に一撃を入れることだ。単純だろう?これを達成するためにこのデッキはたくさんの軽いインスタントとソーサリーを使い、それらがデッキをかき混ぜるのにも役立つんだ。 《使徒の祝福》のようなカードは戦力を除去から守るのとゲームを終わらせる際に回避能力を与えるのと2つの役割をこなす。一部の構築はメインデッキに《払拭》を使うことを選択しているがサイドボードにいる方がずっと一般的だ。イゼット・ブリッツデッキは本当に20点の一撃を与えなくてもいいように《秘密を掘り下げる者》も使っているし、《稲妻》で道を切り開いたり最後の数点を与えたりする。
おそらくこのデッキで一番強力なカードは《噴出》だろう。コンボのターンはよく《噴出》の代替コストが支払われる前に島2枚がタップされることから始まる。土地1枚がすぐにプレイしなおされ、イゼット・ブリッツは《ティムールの激闘》の前に少なくとも3つの呪文が見込めるようになる。大抵の場合それは最終ダメージとして十分過ぎるものだ。ここで《ギタクシア派の調査》はコンボのターンに追加ダメージを与える「無料」のカードとして扱われる。《シャドーの裂け目》と《ひずみの一撃》も攻撃を通すのに役立つし、同時に《シャドーの裂け目》には1体のみのブロッカーにシャドーを与えて退けてしまえるという別の有用性がある。
イゼット・ブリッツは有力なデッキだが重大な欠点がある ―クリーチャーが少なく《チェイナーの布告》に対して脆いんだ。これに対抗するためイゼット・ブリッツデッキの多くは《嵐縛りの霊》や《空中生成エルドラージ》をよくサイドボードに積むことがある。一部の構築は、プレイヤーを対象とする可能性があるソーサリーやその他の呪文を見つけるために《知恵比べ》を採用している。
イゼット・ブリッツは安定した入賞デッキであり、他のデッキにはできない方法でフォーマットにプレッシャーをかけることができる。このデッキをチャンピオンにさせない唯一の理由は、このフォーマットに元から対策があるということそしてこのデッキが安定しない可能性があるということだ。レガシーやヴィンテージと違って《噴出》が戻して出しなおすことができるのは青マナを出す《島》だけだ、《Volcanic Island》やその他本物のデュアルランドとは違う。同様に《広漠なる変幻地》と《進化する未開地》は基本地形を持ってこれるかもしれないが、タップ状態で戦場に出ることでのテンポへの被害は甚大だ。
僕らのリストの次のデッキは同じようなマナの問題は抱えていない。君のマナベースが《山》だけでできているとしたら間違った土地を引くのは難しい。
バーン - Jrickard, 5-0 Pauper Leagueそうだ、僕はバーンをコンボデッキだと考えている。このコンボは十分な呪文を集めて20点のダメージを与える。そういう意味で(1ターンで勝利しようとせずに数ターンに分けることを別にすれば)これはストームと似ている。バーンは極めてマナ効率がよく、簡単に毎ターンすべてのマナを使いきることができる。このデッキは《稲妻》を模したカードがかなり重複して入っている。古い殻を打ち破ったのは《針落とし》、《熱錬金術師》そして《貫かれた心臓の呪い》だ。
クリーチャー(7)
3 《ケルドの匪賊/Keldon Marauders》
4 《熱錬金術師/Thermo-Alchemist(EMN)》
インスタント(18)
2 《火葬/Incinerate》
4 《火炎破/Fireblast》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《針落とし/Needle Drop》
4 《焼尽の猛火/Searing Blaze》
ソーサリー(12)
4 《稲妻の連鎖/Chain Lightning》
4 《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
4 《火炎の裂け目/Flame Rift》
エンチャント(4)
4 《貫かれた心臓の呪い/Curse of the Pierced Heart》
土地(19)
17 《山/Mountain》
2 《忘れられた洞窟/Forgotten Cave》
サイドボード(15)
1 《はらわた撃ち/Gut Shot》
1 《溶鉄の雨/Molten Rain》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《沸血のドワーフ/Bloodfire Dwarf》
2 《電謀/Electrickery》
3 《鋭い痛み/Flaring Pain》
4 《粉々/Smash to Smithereens》
Pauperのバーンは「火の哲学」を素晴らしく体現している。各呪文が《稲妻》(あるいはそれ以上)のダメージの価値があると、《針落とし》はかなり物足りなく見える。重要なのは追加のカードだ。《針落とし》は大抵の場合別の火力呪文を引かせてくれるので実は4点分の価値があるんだ。《貫かれた心臓の呪い》は、場を離れなければ1ターンをかけるのに見合ったダメージを与えてくれるだろう。これら2枚のカードは何年もこのフォーマットにいるがバーンは特定のメタゲームで有利になるデッキのままだった。《熱錬金術師》がそのすべてを変化させた。
《熱錬金術師》はバーンのインスタントやソーサリーすべてを強化する。《熱錬金術師》が場に出ているとすべての呪文は今や3点ではなく4点のダメージを与える。《針落とし》は常に「オン」の状態になるのでかなり強くなる。《熱錬金術師》はバーンに並外れた「リーチ」を与え、このデッキの長い間の弱点を補強する ―ライフゲインだ。《熱錬金術師》以前のバーンは21点のダメージを与えることにとても長けていた。タルキール覇王譚のゲインランドとその他の二次的なライフゲインは、多くの場合別のデッキが勝利するまでバーンとのゲームを長引かせるのに十分だった。《熱錬金術師》はバーンに25から28点のダメージを与えるのを容易にし、防御的なデッキにさらなるプレッシャーを与えた。《熱錬金術師》を誘発させるドロー1枚と《火炎の裂け目》や《火炎破》はゲームを迅速に終わらせることができる。この異界月のコモンはバーンを完全に別な水準へと押し上げた。
バーンは遅いコンボデッキのように動き、その回復力にも関わらず依然として強固な防御の前にたじろいでしまうことがある。《ムラーサの胎動》は大きな悩みの種であり、《熱錬金術師》か《貫かれた心臓の呪い》のどちらかを無力化して1ターン以上の時間を稼ぐことができる。《熱錬金術師》がいることでもはや除去がバーンに対して完全に腐ることはない。《呪い》はより対処しづらいものの、よく使われている《水流破》によって処理することができる。手札破壊と打ち消しもバーンの行く手を阻むことができるし、軽い回答が豊富にあるのでバーンが最強候補になるのは難しいと判明している。
一部の除去はバーンに対して強くなることがあるが、それは僕らの3番目によく使われるコンボデッキに対しては寄せ集めにすぎない。
エルフ - Yz0, 5-0 Pauper LeaguePauperのエルフコンボはレガシーや昔のエクステンデッドのそれとは別物だ。《イラクサの歩哨》と組み合わせて行き過ぎたマナを生み出す《遺産のドルイド》はいないし、途方もない枚数のカードを引くための《垣間見る自然》もない。止めの《孔蹄のビヒモス》もいない。代わりにエルフは《樺の知識のレインジャー》と《イラクサの歩哨》とのコンボで好きな色のマナを生み出す。緑1マナで《垣間見る自然》を唱える代わりに、Pauperのエルフは4マナで《遠くの旋律》を唱えて唱えた側の場にすでに出ているエルフの数だけのカードを引く。《踏み荒らし》効果の代わりにエルフは《リス・アラナの狩りの達人》で横に広げたり《エルフの先兵》と《森林守りのエルフ》で縦に伸ばしたりする。エルフは爆発的なスタートが可能なクリーチャー中心のコンボデッキだ。
クリーチャー(41)
1 《ウラモグの破壊者/Ulamog’s Crusher》
2 《Fyndhorn Elves》
2 《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel》
2 《幸運を祈る者/Wellwisher》
3 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
3 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers》
4 《エルフの先兵/Elvish Vanguard》
4 《リス・アラナの狩りの達人/Lys Alana Huntmaster》
4 《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》
4 《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》
4 《森のレインジャー/Sylvan Ranger》
4 《森林守りのエルフ/Timberwatch Elf》
インスタント(2)
1 《進化の魔除け/Evolution Charm》
1 《ワイアウッドの誇り/Wirewood Pride》
ソーサリー(8)
4 《遠くの旋律/Distant Melody》
4 《土地譲渡/Land Grant》
エンチャント(2)
2 《蜘蛛糸の鎧/Spidersilk Armor》
土地(8)
1 《島/Island》
7 《森/Forest》
サイドボード(15)
3 《散弾の射手/Scattershot Archer》
4 《上機嫌の破壊/Gleeful Sabotage》
4 《もつれ/Tangle》
4 《高名への苦役/Toil to Renown》
エルフはゲームの発展中の段階から最小限のターンで大量のマナまで加速することを目指す。1枚の《森》が《エルフの神秘家》や《クウィリーオン・レインジャー》を生み出すことができる、このデッキはそれによって2ターン目に全力を出すことができる。《ティタニアの僧侶》は序盤のクリーチャーすべてを余剰のマナに変えることができ、そうして《エルフの先兵》や《森林守りのエルフ》が唱えやすくなる。これらのカードがゲームを短時間で終わらせるの役立つ一方、《幸運を祈る者》は生き残るのを簡単にしてくれる。一部のエルフデッキは勝利を確実にするために数枚の《ウラモグの破壊者》を採用している。
エルフは除去に影響を受けやすい。《チェイナーの布告》で失速させられることがあるイゼット・ブリッツや《熱錬金術師》と違い、簡単に横に広げられるデッキ相手にはこのお馴染みのソーサリーはむしろ弱く見える。《墓所のネズミ》や《エヴィンカーの正義》のようなカードはエルフの全軍を一掃するのに活用できるが《エルフの先兵》はこの関係を変化させた。対象をとる除去がエルフに対して弱いことはなかったし、今は少し強くなった。しかしこのデッキは依然として干渉力に乏しい引きを圧倒することができる。エルフはそこそこのマナを持って序盤を生き残らなければならず、序盤のクリーチャーを《炎の稲妻》や《死の重み》で落とされるとその後の1マナ域が意味をなさなくなってしまうだけの時間を稼がれてしまう。
これらは現在のPauperのメタゲームでもっとも成功しているコンボデッキだ。別のコンボデッキも存在しているが、将来入賞デッキになるだけの枠組みをもっているマイナーなアーキタイプは1つだけだ。
ミッドナイト・ゴンド - JackMitchellBurns, 5-0 Pauper LeaguePauper版の《欠片の双子》デッキは、《ゴンドの存在》を《深夜の護衛》に貼って好きなだけ大きな数のエルフ・トークンを生成する。《魂の従者》や《魂の管理人》によるライフゲインと《淡色のマイコダーム》の強化能力とを組み合わせると、ミッドナイト・ゴンドは現在のすべてのPauperデッキに「ただ勝つ」ための最高の能力を持っている。このデッキが妨げられているのは、何らかの安定性を持って正しいパーツを探すことができないからだ。白と緑は《思案》に相当するカードが欠けている、しかし《発生の器》はこの回答になるかもしれない。
クリーチャー(23)
3 《セレズニアの福音者/Selesnya Evangel》
4 《深夜の護衛/Midnight Guard》
4 《淡色のマイコダーム/Pallid Mycoderm》
4 《魂の管理人/Soul Warden》
4 《魂の従者/Soul’s Attendant》
4 《古参兵の武具師/Veteran Armorer》
インスタント(9)
2 《種のばら撒き/Scatter the Seeds》
3 《神々の思し召し/Gods Willing》
4 《大量の芽吹き/Sprout Swarm》
エンチャント(7)
1 《蜘蛛糸の鎧/Spidersilk Armor》
2 《未達への旅/Journey to Nowhere》
4 《ゴンドの存在/Presence of Gond》
土地(21)
3 《森/Forest》
7 《平地/Plains》
3 《セレズニアの聖域/Selesnya Sanctuary》
4 《カルニの庭/Khalni Garden》
4 《セレズニアのギルド門/Selesnya Guildgate》
サイドボード(15)
3 《赤の防御円/Circle of Protection: Red》
4 《上機嫌の破壊/Gleeful Sabotage》
4 《散弾の射手/Scattershot Archer》
4 《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》
ミッドナイト・ゴンドの素晴らしいところはコンボの核以外の部分が非常に柔軟なところだ。《深夜の護衛》と《ゴンドの存在》が占めるスロットはわずかに8枚だし、既存のあらゆるセレズニアの構築に当てはめることができる。カードが印刷されていくに連れてこのデッキが必要とするツールが手に入る可能性は高くなっていく。
コンボはPauperの漠然とした領域に存在している。大いにクリーチャーに依存した環境ではコンボデッキは枠をはみ出して行きたいが、それはよく定義されたパラメータの中で動作しなければならない。現在、コンボは他の戦略を圧迫することなく、一要素として十分な強さを持っている。これらのデッキは活力が追加されても耐えられるだろうが、それが余りに大きければ何かが禁止リストへ送られる可能性がある。
次週はフォーマットの問題点とローグデッキでこのPauper入門を締めくくる。
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