元記事URL(http://www.gatheringmagic.com/alexullman-01172017-a-pauper-primer-part-1/)
A Pauper Primer: Part 1
by Alex Ullman, January 17, 2017
このシリーズには前々から取り組もうと思っていたんだ。少し前にChannel Fireballで Reid Duke が書いたレガシーを取り扱った記事(https://goo.gl/8Q2LvY)が、Pauperで同様のシリーズを始めるために必要だったきっかけを与えてくれた。
なぜ今なのか?《流浪のドレイク》の禁止によってこのフォーマットは再び活気づいている。リーグの参加だけを見ればこのフォーマットが健全であることが容易に見て取れる; 禁止があってからPauperはおよそ100%の成長を遂げた。けれど、Magic Onlineとこのゲームのより大きな意識上でのPauperの存在感にもかかわらず、僕はPauperがまだ誤解をされていると考えている。これらの記事における僕の意図は、このフォーマットの広範な紹介をすること、そしてPauperのプレイを勧めるだけでなくPauperをユニークしているものを探求することだ。
それでは、出発点にふさわしいのはこれだろう...
Pauperとは何か?
簡単に言えば、Pauperとはコモン限定の競技マジックだ。
それだけであれば事は簡単だったろう。
Pauperはあるグループの友達同士が、限られた予算で競い合うためにMagic Online上で始めたものだ。かつてのWizardsの公式フォーラム上で彼らは寄付された賞品をめぐるトーナメント(プレイヤー・ラン・イベントあるいはPRE)を開催していた、そしてPauper Deck Challenge(あるいはPDC)が始まった。もともとPDCは16週のシーズンに分かれていてその各シリーズでプレイオフが行われていた。禁止制限リストはプレイヤー自らによる議論と投票によって決定されていた。
徐々にPDCイベントは増えていき、各シリーズにそれぞれのシーズンと選手権があった。最終的に昔のセットが追加されて(※)PDCとスタンダードPDCとの分裂が起こった。2008年にPauperはMagic Olineで公式に制定され、公式の禁止リストを備えたフォーマットになった。(※Magic Onlineはオデッセイ発売当時にできたので、それ以前の昔のセットは段階的に追加されてきた歴史がある)
オンラインのPauperはシングルエリミネーション・トーナメント、多くの挑戦者、そしてその他の寄付とともに成長してきた。プラットフォームの安定性のためにサポートは一進一退であったが、PauperはMagic Onlineの主力であることを示し、今はリーグ形式のおかげで繁栄している。
Pauperは最高に安価なフォーマットとして始まったものの、デュエルデッキの発売によりそのイメージは過去のものとなった。《鋸刃の矢》、《殺し》、《噴出》、《目くらまし》、そして《ゴリラのシャーマン》までもがすべてデッキ製品から出現するので、それらは比較的手に入りにくく高額になった。コモンになることで一たびそれらのカードがPauperで使えるようになると、格安要素はフォーマットの精神(コモン限定の競技マジック)に対してあまり重要でなくなってしまった。
まだそれほど単純ではない。紙市場の急成長(はっきり言って爆発)によって別の歪みが生まれている。オンラインのフォーマットでは常連でも実際の物質ではコモンで印刷されていないカードがある ―《チェイナーの布告》そして《金切るときの声》。同様にデジタルでは黒いエキスパンションシンボルを付けられたこのとないコモンカードがある ―《トーラックの賛歌》、《陥没孔》、《砂漠》、《ゴブリンの手投げ弾》。オンラインのルールエンジンはフォーマット全体を管理できる一方で、現実の世界はさまざまな主催者に依存している。
僕はこのスペースを使ってオンラインの禁止リストを支持していきたい。単純にこのバージョンのフォーマットは他のバージョンよりも多くのデータがあるし、少なくとも最近は活力と健全さに満ちていることを示している。紙の世界でそれを参照していくつかのカードを使えなくするのは面倒かもしれないが、僕はストロングホールドの《罠の橋》やザ・ダークの《血染めの月》がモダンで使われているのとそう変わらないことだと思う。というわけで、以降このシリーズでPauperについて話す際はオンラインに準拠したPauperを意味する。紙の遊び仲間のみんなにもこのリストに従うことを勧めるよ。
パズルのピース
カードが定まったら、そこに何があるかを議論することにしよう;そして、大体はそこに何がないかが重要だ。
禁止リストから始めよう。《頭蓋囲い》は親和での強さからフォーマット開始当初からの禁止メンバーで、それが解除される様子もない。《大あわての捜索》はストームデッキのためのマナを生み出せることですぐにこのリストに加わった。《ぶどう弾》と《巣穴からの総出》―これらはストームカードとしてペアでリストに加わった。《激励》も同様だ(これは感染に信頼性のある2ターンキルを可能にさせていた)。次のラウンドでは別のストームカード、《時間の亀裂》が現れた。これは《雲上の座》と同時にランクに加わった。《時間の亀裂》は一方的な《抹消》を唱えることを可能にしていたし、《雲上の座》は《微光地》と組み合わさってアグロを過去のものとしていた。《宝船の巡航》は印刷されて間もなく禁止になった。最後に、妨害困難なコンボデッキでの強さのために《フェアリーの大群》と《流浪のドレイク》がこのリストに行き着いた。
コモンをベースにしているためにPauperには必須効果の大部分が満たされている。火力、除去、打ち消し、クリーチャー ―もしエキスパンションから消えたなら皆が気が付くものだ。このゲームの歴史の大部分を自由に使えることで、Pauperはしばしばこれらの効果の中でもっとも軽いバージョンが手に入る。《稲妻》、《地うねり》、《悲劇的な過ち》、その他すべてがよく使われているのは正にこの理由からだ。また、攻撃の先頭に立つ《鋳造所通りの住人》と《若き狼》のように、有能なクリーチャーもマナカーブのもっとも軽いところにいる傾向がある。高密度の軽い呪文とクリーチャーはアグロデッキを魅了し、そして多くの場合それはかなり強力だ。
コントロールが死んだといっているわけではない。コモン枠に必須な別の要素が有用なクリーチャーだ ―《騒がしいネズミ》と《熟考漂い》。そしてこれらは長期戦を見据えた多くのデッキの根幹をなしている。これらのカードが軽い除去や打ち消し呪文と組み合わさると、1体の2/2がとどめを刺せるまでゲームが長引かせることもできる。コントロールはここ最近、タルキール覇王譚のゲインランドによる恩恵を受けた。これらのカードはマナを安定させるだけでなく回復によってアグロの突撃を鈍らせる助けにもなる。
そう言えば、マナの融通というのはおそらくPauperで最も理解されていない側面だろう。アンタップ状態で場に出る2色土地や使える状態で土地を探し出せるフェッチランドがないことで、複数の色を使うデッキはしばしばマナベースの準備に時間を費やさなければならない。ゲインランドはこのプランを増強するし、最近印刷された《灰のやせ地》によって3色デッキが実現した。さらなる選択肢が利用可能になったことで使われるデッキのタイプも拡大した。現在、Pauperではゲインランドだけでなくラヴニカのバウンスランド、《進化する未開地》、そして《灰のやせ地》が有効に活用されている。
Pauperのコンボデッキは変わって見える。極端に呪文に基づいたコンボはフォーマットから締め出され、一方で《フェアリーの大群》と《流浪のドレイク》によるループもクビになった。代わりに近頃のPauperのコンボデッキはクリーチャーに大きく依存している。《ニヴィックスのサイクロプス》と《窯の悪鬼》を、軽い呪文と《ティムールの激闘》と組み合わせたデッキは3ターンキルが可能だ。親和は確かなアグロのベースに《エイトグ》と《投げ飛ばし》を組み合わせを融合したものだ。《孔蹄のビヒモス》をサーチする能力が欠けたエルフもまた《リス・アラナの狩りの達人》によって大量のトークンを吐き出し《遠くの旋律》で10枚以上のカードを引いてくる。その呼び名のついた伝統的なデッキに似ていなくてもコンボは方法を見出す。
Pauperには他のフォーマットにある要素がいくつか欠けている。もっとも分かりやすいのはプレインズウォーカーの不在だ。プレインズウォーカーの多くの効果に本当の代わりは存在しないので、プレインズウォーカーの不在はデッキの機能のしかたを変化させる。大雑把に、一たび場に出ると継続的に効果を発揮するカードはコモンのフォーマットでは非常に貴重だ。僕は数週間前にこのことを考察した(http://www.gatheringmagic.com/alexullman-12132016-rocking-out-in-pauper/)、そして毎ターン何かをする呪文はとても少ないというのが実情だ。おそらく一番人気は《熱錬金術師》かもしれないが、他に《貫かれた心臓の呪い》、《血まみれの書の呪い》、そして《無残な収穫》が思い浮かぶ。《古術師》とそれを使いまわす手段を用いたデッキは永続的な効果を模倣する手段として台頭してきている。継続的な効果なしでダメージに特化していないデッキが勝つにはやや異なるアプローチを取る必要がある。
コントロールデッキの強力なフィニッシャーも同様に不足している。強く早い戦力や十分に有用なクリーチャーはいるものの、場に出して一気にゲームを終わらせることのできるカードはごく僅かだ。《グルマグのアンコウ》はおそらくこのフォーマットで最高の単体の戦力だが、フォーマットにある多くの回答で簡単に処理されてしまう。単体除去はPauperの戦力の大部分を上回っているし、全体除去は非常に少ない。盤面が膠着することがあり、すべてをぶち壊すフィニッシャーがいないことはPauperを特徴づける要素の1つだ。
Pauperの全体除去は良くても条件付きだ。ほとんどは《電謀》や《減縮》の亜種でもっぱら小さいクリーチャーにしか効果がない。《墓所のネズミ》は好きなだけ大きいものにも効くが相当な高値になっている。《エヴィンカーの正義》は日の目を見ているが、《渦巻く砂嵐》と《ワイアウッドのかぎ爪》も一般的に使われるために頑張っている。横に並べるプレイヤーを咎める呪文は非常に少ないが、それですぐさまトークン軍団が最高の戦力となるわけではない。これらのデッキは早い段階でオールインしなければならないことがよくあり、悪いタイミングで全体除去が当たると無力化されてしまう。
忌まわしき青
この記事で今まで語ることを避けてきたPauperの要素が1つある。Pauperがマジックの歴史すべてを使えるという事実と過去の偏見により、言うまでもなく(それでも言わなければならない)青はこのフォーマットで圧倒的に最高の色だ。《対抗呪文》や《マナ漏出》を含む最高級の打ち消し呪文を持っていて、《蓄積した知識》や《思案》のような軽いドローやフィルタリングを使うことができる。青にはコントロールデッキにとって最高の戦力の1つである《尖塔のゴーレム》とヴィンテージでさえ使われるクリーチャー:《秘密を掘り下げる者》がいる。
簡単に言えば、青は何でもできるのだ。
《秘密を掘り下げる者》は強固な戦力であり、《呪文づまりのスプライト》の支援があるとなおさらだ。《フェアリーの悪党》は速さをくれる一方で、《深き刻の忍者》は《悪党》や《スプライト》の再利用をしつつ継続的なカードアドバンテージにもなってくれる。《尖塔のゴーレム》は終局に向けて攻撃に転じる前に防御を固めてくれる。
《対抗呪文》は最高の打ち消し呪文だし、これをデルバーよりうまく使えるデッキはない。《目くらまし》、《論理の結び目》、そして《剥奪》はどれも役立つ呪文だが、《呪文づまりのスプライト》もクリーチャーとして同じ仕事をこなす。《蒸気の絡みつき》と《断絶》は進路を空けておくのを助け、一方で《思案》と《定業》はデッキをつなぎ合わせるのに役立つ。
もし君がPauperをするならデルバーデッキに出会うことだろう。でもこのデッキをもう一度見てみてくれ ―つまらないドラフトデッキみたいに見えないかい?デルバーはPauperへの大きな誤解を説目するのに役立つ。すなわち、飛び抜けたコモンしか使われないという誤解だ。その代わり、このフォーマットには実際に制限要素があり、それぞれのデッキは何かしら強力なことをする能力がある。それらを今後数週間にわたって君たちと共有していくのが楽しみだ。
A Pauper Primer: Part 1
by Alex Ullman, January 17, 2017
このシリーズには前々から取り組もうと思っていたんだ。少し前にChannel Fireballで Reid Duke が書いたレガシーを取り扱った記事(https://goo.gl/8Q2LvY)が、Pauperで同様のシリーズを始めるために必要だったきっかけを与えてくれた。
なぜ今なのか?《流浪のドレイク》の禁止によってこのフォーマットは再び活気づいている。リーグの参加だけを見ればこのフォーマットが健全であることが容易に見て取れる; 禁止があってからPauperはおよそ100%の成長を遂げた。けれど、Magic Onlineとこのゲームのより大きな意識上でのPauperの存在感にもかかわらず、僕はPauperがまだ誤解をされていると考えている。これらの記事における僕の意図は、このフォーマットの広範な紹介をすること、そしてPauperのプレイを勧めるだけでなくPauperをユニークしているものを探求することだ。
それでは、出発点にふさわしいのはこれだろう...
Pauperとは何か?
簡単に言えば、Pauperとはコモン限定の競技マジックだ。
それだけであれば事は簡単だったろう。
Pauperはあるグループの友達同士が、限られた予算で競い合うためにMagic Online上で始めたものだ。かつてのWizardsの公式フォーラム上で彼らは寄付された賞品をめぐるトーナメント(プレイヤー・ラン・イベントあるいはPRE)を開催していた、そしてPauper Deck Challenge(あるいはPDC)が始まった。もともとPDCは16週のシーズンに分かれていてその各シリーズでプレイオフが行われていた。禁止制限リストはプレイヤー自らによる議論と投票によって決定されていた。
徐々にPDCイベントは増えていき、各シリーズにそれぞれのシーズンと選手権があった。最終的に昔のセットが追加されて(※)PDCとスタンダードPDCとの分裂が起こった。2008年にPauperはMagic Olineで公式に制定され、公式の禁止リストを備えたフォーマットになった。(※Magic Onlineはオデッセイ発売当時にできたので、それ以前の昔のセットは段階的に追加されてきた歴史がある)
オンラインのPauperはシングルエリミネーション・トーナメント、多くの挑戦者、そしてその他の寄付とともに成長してきた。プラットフォームの安定性のためにサポートは一進一退であったが、PauperはMagic Onlineの主力であることを示し、今はリーグ形式のおかげで繁栄している。
Pauperは最高に安価なフォーマットとして始まったものの、デュエルデッキの発売によりそのイメージは過去のものとなった。《鋸刃の矢》、《殺し》、《噴出》、《目くらまし》、そして《ゴリラのシャーマン》までもがすべてデッキ製品から出現するので、それらは比較的手に入りにくく高額になった。コモンになることで一たびそれらのカードがPauperで使えるようになると、格安要素はフォーマットの精神(コモン限定の競技マジック)に対してあまり重要でなくなってしまった。
まだそれほど単純ではない。紙市場の急成長(はっきり言って爆発)によって別の歪みが生まれている。オンラインのフォーマットでは常連でも実際の物質ではコモンで印刷されていないカードがある ―《チェイナーの布告》そして《金切るときの声》。同様にデジタルでは黒いエキスパンションシンボルを付けられたこのとないコモンカードがある ―《トーラックの賛歌》、《陥没孔》、《砂漠》、《ゴブリンの手投げ弾》。オンラインのルールエンジンはフォーマット全体を管理できる一方で、現実の世界はさまざまな主催者に依存している。
僕はこのスペースを使ってオンラインの禁止リストを支持していきたい。単純にこのバージョンのフォーマットは他のバージョンよりも多くのデータがあるし、少なくとも最近は活力と健全さに満ちていることを示している。紙の世界でそれを参照していくつかのカードを使えなくするのは面倒かもしれないが、僕はストロングホールドの《罠の橋》やザ・ダークの《血染めの月》がモダンで使われているのとそう変わらないことだと思う。というわけで、以降このシリーズでPauperについて話す際はオンラインに準拠したPauperを意味する。紙の遊び仲間のみんなにもこのリストに従うことを勧めるよ。
パズルのピース
カードが定まったら、そこに何があるかを議論することにしよう;そして、大体はそこに何がないかが重要だ。
禁止リストから始めよう。《頭蓋囲い》は親和での強さからフォーマット開始当初からの禁止メンバーで、それが解除される様子もない。《大あわての捜索》はストームデッキのためのマナを生み出せることですぐにこのリストに加わった。《ぶどう弾》と《巣穴からの総出》―これらはストームカードとしてペアでリストに加わった。《激励》も同様だ(これは感染に信頼性のある2ターンキルを可能にさせていた)。次のラウンドでは別のストームカード、《時間の亀裂》が現れた。これは《雲上の座》と同時にランクに加わった。《時間の亀裂》は一方的な《抹消》を唱えることを可能にしていたし、《雲上の座》は《微光地》と組み合わさってアグロを過去のものとしていた。《宝船の巡航》は印刷されて間もなく禁止になった。最後に、妨害困難なコンボデッキでの強さのために《フェアリーの大群》と《流浪のドレイク》がこのリストに行き着いた。
コモンをベースにしているためにPauperには必須効果の大部分が満たされている。火力、除去、打ち消し、クリーチャー ―もしエキスパンションから消えたなら皆が気が付くものだ。このゲームの歴史の大部分を自由に使えることで、Pauperはしばしばこれらの効果の中でもっとも軽いバージョンが手に入る。《稲妻》、《地うねり》、《悲劇的な過ち》、その他すべてがよく使われているのは正にこの理由からだ。また、攻撃の先頭に立つ《鋳造所通りの住人》と《若き狼》のように、有能なクリーチャーもマナカーブのもっとも軽いところにいる傾向がある。高密度の軽い呪文とクリーチャーはアグロデッキを魅了し、そして多くの場合それはかなり強力だ。
コントロールが死んだといっているわけではない。コモン枠に必須な別の要素が有用なクリーチャーだ ―《騒がしいネズミ》と《熟考漂い》。そしてこれらは長期戦を見据えた多くのデッキの根幹をなしている。これらのカードが軽い除去や打ち消し呪文と組み合わさると、1体の2/2がとどめを刺せるまでゲームが長引かせることもできる。コントロールはここ最近、タルキール覇王譚のゲインランドによる恩恵を受けた。これらのカードはマナを安定させるだけでなく回復によってアグロの突撃を鈍らせる助けにもなる。
そう言えば、マナの融通というのはおそらくPauperで最も理解されていない側面だろう。アンタップ状態で場に出る2色土地や使える状態で土地を探し出せるフェッチランドがないことで、複数の色を使うデッキはしばしばマナベースの準備に時間を費やさなければならない。ゲインランドはこのプランを増強するし、最近印刷された《灰のやせ地》によって3色デッキが実現した。さらなる選択肢が利用可能になったことで使われるデッキのタイプも拡大した。現在、Pauperではゲインランドだけでなくラヴニカのバウンスランド、《進化する未開地》、そして《灰のやせ地》が有効に活用されている。
Pauperのコンボデッキは変わって見える。極端に呪文に基づいたコンボはフォーマットから締め出され、一方で《フェアリーの大群》と《流浪のドレイク》によるループもクビになった。代わりに近頃のPauperのコンボデッキはクリーチャーに大きく依存している。《ニヴィックスのサイクロプス》と《窯の悪鬼》を、軽い呪文と《ティムールの激闘》と組み合わせたデッキは3ターンキルが可能だ。親和は確かなアグロのベースに《エイトグ》と《投げ飛ばし》を組み合わせを融合したものだ。《孔蹄のビヒモス》をサーチする能力が欠けたエルフもまた《リス・アラナの狩りの達人》によって大量のトークンを吐き出し《遠くの旋律》で10枚以上のカードを引いてくる。その呼び名のついた伝統的なデッキに似ていなくてもコンボは方法を見出す。
Pauperには他のフォーマットにある要素がいくつか欠けている。もっとも分かりやすいのはプレインズウォーカーの不在だ。プレインズウォーカーの多くの効果に本当の代わりは存在しないので、プレインズウォーカーの不在はデッキの機能のしかたを変化させる。大雑把に、一たび場に出ると継続的に効果を発揮するカードはコモンのフォーマットでは非常に貴重だ。僕は数週間前にこのことを考察した(http://www.gatheringmagic.com/alexullman-12132016-rocking-out-in-pauper/)、そして毎ターン何かをする呪文はとても少ないというのが実情だ。おそらく一番人気は《熱錬金術師》かもしれないが、他に《貫かれた心臓の呪い》、《血まみれの書の呪い》、そして《無残な収穫》が思い浮かぶ。《古術師》とそれを使いまわす手段を用いたデッキは永続的な効果を模倣する手段として台頭してきている。継続的な効果なしでダメージに特化していないデッキが勝つにはやや異なるアプローチを取る必要がある。
コントロールデッキの強力なフィニッシャーも同様に不足している。強く早い戦力や十分に有用なクリーチャーはいるものの、場に出して一気にゲームを終わらせることのできるカードはごく僅かだ。《グルマグのアンコウ》はおそらくこのフォーマットで最高の単体の戦力だが、フォーマットにある多くの回答で簡単に処理されてしまう。単体除去はPauperの戦力の大部分を上回っているし、全体除去は非常に少ない。盤面が膠着することがあり、すべてをぶち壊すフィニッシャーがいないことはPauperを特徴づける要素の1つだ。
Pauperの全体除去は良くても条件付きだ。ほとんどは《電謀》や《減縮》の亜種でもっぱら小さいクリーチャーにしか効果がない。《墓所のネズミ》は好きなだけ大きいものにも効くが相当な高値になっている。《エヴィンカーの正義》は日の目を見ているが、《渦巻く砂嵐》と《ワイアウッドのかぎ爪》も一般的に使われるために頑張っている。横に並べるプレイヤーを咎める呪文は非常に少ないが、それですぐさまトークン軍団が最高の戦力となるわけではない。これらのデッキは早い段階でオールインしなければならないことがよくあり、悪いタイミングで全体除去が当たると無力化されてしまう。
忌まわしき青
この記事で今まで語ることを避けてきたPauperの要素が1つある。Pauperがマジックの歴史すべてを使えるという事実と過去の偏見により、言うまでもなく(それでも言わなければならない)青はこのフォーマットで圧倒的に最高の色だ。《対抗呪文》や《マナ漏出》を含む最高級の打ち消し呪文を持っていて、《蓄積した知識》や《思案》のような軽いドローやフィルタリングを使うことができる。青にはコントロールデッキにとって最高の戦力の1つである《尖塔のゴーレム》とヴィンテージでさえ使われるクリーチャー:《秘密を掘り下げる者》がいる。
簡単に言えば、青は何でもできるのだ。
デルバーPauper | Ahuacatl, 5-0 Pauper Leagueデルバーはこのフォーマットの基準となるデッキだ。それは長い間もっとも人気がある(もしくはギリギリ2番目の)デッキだ。デルバー検定に落ちてしまうと青い脅威に打ち勝つことができないので、それを変身させる根拠があった方が良い。デルバーが共演するのは《思案》と《定業》というモダンでは強すぎるカードで、前者はヴィンテージでも制限されている。《噴出》はレガシーで禁止されヴィンテージで複数のエンジンの一部になっている。力がそこにある。
クリーチャー(20)
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《フェアリーの悪党/Faerie Miscreant》
4 《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》
4 《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》
4 《尖塔のゴーレム/Spire Golem》
インスタント(14)
1 《剥奪/Deprive》
1 《論理の結び目/Logic Knot》
2 《目くらまし/Daze》
2 《噴出/Gush》
4 《対抗呪文/Counterspell》
4 《断絶/Snap》
ソーサリー(8)
4 《思案/Ponder》
4 《定業/Preordain》
アーティファクト(1)
1 《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》
土地(17)
17 《島/Island》
サイドボード(15)
2 《無効/Annul》
2 《鎖の呪い/Curse of Chains》
1 《払拭/Dispel》
4 《水流破/Hydroblast》
3 《鋸刃の矢/Serrated Arrows》
3 《嵐縛りの霊/Stormbound Geist》
《秘密を掘り下げる者》は強固な戦力であり、《呪文づまりのスプライト》の支援があるとなおさらだ。《フェアリーの悪党》は速さをくれる一方で、《深き刻の忍者》は《悪党》や《スプライト》の再利用をしつつ継続的なカードアドバンテージにもなってくれる。《尖塔のゴーレム》は終局に向けて攻撃に転じる前に防御を固めてくれる。
《対抗呪文》は最高の打ち消し呪文だし、これをデルバーよりうまく使えるデッキはない。《目くらまし》、《論理の結び目》、そして《剥奪》はどれも役立つ呪文だが、《呪文づまりのスプライト》もクリーチャーとして同じ仕事をこなす。《蒸気の絡みつき》と《断絶》は進路を空けておくのを助け、一方で《思案》と《定業》はデッキをつなぎ合わせるのに役立つ。
もし君がPauperをするならデルバーデッキに出会うことだろう。でもこのデッキをもう一度見てみてくれ ―つまらないドラフトデッキみたいに見えないかい?デルバーはPauperへの大きな誤解を説目するのに役立つ。すなわち、飛び抜けたコモンしか使われないという誤解だ。その代わり、このフォーマットには実際に制限要素があり、それぞれのデッキは何かしら強力なことをする能力がある。それらを今後数週間にわたって君たちと共有していくのが楽しみだ。
コメント