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Pauper Revolt
by Alex Ullman, January 10, 2017

僕は霊気紛争がPauperにとって素晴らしいものだとは思わない。霊気紛争のカードは面白いが具体的に際立ったようなカードはない。

それでもこのセットは影響を与えると思う。

僕にとって霊気紛争は、ここ最近でもっとも「以前のカードとの相性が良い」セットだ。

Magicの面白さの1つはすべてのものが組み合わさることだ。Magicには(今のところ)数十年にわたってデザインされてきたゲーム要素の間に相互作用を見出すような、何らかの根本的なものが存在している。他のゲームでこれがどうなっているか考えてみよう。オリジナルのファミリーコンピューターのマリオをスーパーマリオ64のクッパと戦わせることはできない、これらは根本的に別のゲームだからね。その対極にあるのがチェスのポーンだ。それはいつだって同じように機能するものだ。しまった。タイム。チェスのプレイのパターンに名前が付けられている理由がそこにある ―良く知られていて定量化できるものだ。

Magicは不変ではない。アルファの《暗黒の儀式》は《吸血鬼の夜鷲》とちょうど同じくらい簡単に《惑乱の死霊》を唱えることができる。少なくとも僕にとっては、霊気紛争のカードは独自の価値を持つというより、以前からのPauperの常連の強さを高めるものだ。具体的に言うと《粗石の魔道士》と《巣の侵略者》のことだ。


《粗石の魔道士》・《巣の侵略者》
これらは霊気紛争のベストカードだ、次にリリースされるものを最大限に活用できるという点でね。《粗石の魔道士》は2/2が備わった強力な教示者だ。場に出たときの能力を持つ《灰色オーガ》はPauperにおける必需品だ。しかし明らかな強さにも関わらず、《粗石の魔道士》はほとんど使用可能ラインの外側にとどまっている。アーティファクト土地のおかげでどの色のマナでも探しに行ける能力があるにも関わらず、現時点ではこのフィフスドーンのコモンは大いに使われているデッキは1つだ:
ディミーア・トリンケット - darvish
クリーチャー(15)
1 《古術師/Archaeomancer》
1 《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》
2 《墓所のネズミ/Crypt Rats》
3 《煙霧吐き/Fume Spitter》
4 《熟考漂い/Mulldrifter》
1 《療養所の骸骨/Sanitarium Skeleton》
3 《粗石の魔道士/Trinket Mage》

インスタント(13)
1 《苦悶のねじれ/Agony Warp》
4 《対抗呪文/Counterspell》
1 《悪魔の布告/Diabolic Edict》
1 《見栄え損ない/Disfigure》
1 《残響する衰微/Echoing Decay》
1 《無残な収穫/Grim Harvest》
1 《交錯の混乱/Muddle the Mixture》
2 《神秘の指導/Mystical Teachings》
1 《魂の操作/Soul Manipulation》

ソーサリー(4)
4 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》

エンチャント(1)
1 《死の重み/Dead Weight》

アーティファクト(5)
3 《処刑人の薬包/Executioner’s Capsule》
1《清純のタリスマン/Pristine Talisman》
1 《シルヴォクの生命杖/Sylvok Lifestaff》

土地(22)
2 《教議会の座席/Seat of the Synod》
1 《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
4 《ディミーアの水路/Dimir Aqueduct》
2 《ディミーアのギルド門/Dimir Guildgate》
4 《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
3 《島/Island》
1 《亡骸のぬかるみ/Mortuary Mire》
1 《光輝の泉/Radiant Fountain》
3 《沼/Swamp》

サイドボード(15)
2 《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》
1 《無効/Annul》
1 《転覆/Capsize》
2 《押し寄せる砂/Choking Sands》
1 《払拭/Dispel》
2 《強迫/Duress》
2 《水流破/Hydroblast》
1 《吐き気/Nausea》
2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《減縮/Shrivel》
霊気紛争は、1つの重要な追加によってこのデッキを変えるはずだ。

《万能溶剤/Universal Solvent》
《万能溶剤》はPauperで2番目のサーチ可能な《名誉回復》効果だ。1つ目は《存在の一掃》で、これは《神秘の指導》でサーチすることができる。《一掃》は非常に強力であらゆるパーマネントを取り除くことができる。この戦乱のゼンディカーの呪文の問題はコストが7だということだ。《万能溶剤》はより大きいコスト(8マナ)を要求するが1ターン目に場に出すこともできる。《目くらまし》は存在しているし人々はアーティファクト対策を使っているが、《溶剤》が役割を果たす可能性のほうがはるかに高い。ゲーム後半の脅威をなんでも除去できるもの(あるいはウルザトロンを崩壊させるもの)を1ターン目に置くことは強力な抑止力となる可能性がある。

《溶剤》の強さの1つは《粗石の魔道士》デッキをどのように変えることができるのかにかかっている。上記のリストを見てみよう。《粗石の魔道士》は《シルヴォクの生命杖》、《処刑人の薬包》、または土地を持ってくることができる。どのカードも立派だが長期戦での妥当性に欠けている。もっとも妥当性があるのは《薬包》だが、展開のすすんだ盤面では比較的コスト効率が悪い。《万能溶剤》の存在によって終盤での《粗石の魔道士》は今やはるかに妥当性がある。コモンの《名誉回復》を手助けするためにウルザトロンに《粗石の魔道士》が居場所を見つけることは今やありえない話ではない。

《増強自動機械》・《改革派の地図》
他に注目すべき2つの粗石が《増強自動機械》と《改革派の地図》だ。《改革派の地図》は《旅人のガラクタ》、《旅行者の護符》、そして《放浪者の小枝》と同じ役割に適合する。他のものと違ってこれは場に出たターンには使えないが《地図》は起動にマナがかからない利点がある。このカードがよく使われるかは疑問だが覚えておくべき選択肢だ。これは紛争を(0マナで)達成しつつ、親和、金属術、そして即席を手助けできるのでデッキ構築において考慮に値する本質的な価値を十分に有している。

《自動機械》は《粗石の魔道士》で探すことのできる初めての本物の脅威だ。その点で他とは違った役割を果たす。《結束した構築物》と《皮剥ぎの鞘》はマナの条件に見合うがターンが進むにつれて酷く無力なものになってしまう。《増強自動機械》はどんな盤面でも最高の脅威というわけではないだろうが、相当に大きくなれる能力はこれまで《粗石の魔道士》の弱点だった部分を強化してくれる。

《精緻会の改革派》・《造命物騎兵》・《絹織りの精鋭》
紛争は自然なゲームの進行に見返りをくれるので面白い。カードは場を離れるものだし、Pauperにはものを場から離れさせる方法がたくさんある。《巣の侵略者》と《空中生成エルドラージ》はすでによく使われている。付随するエルドラージ・落とし子とエルドラージ・末裔トークンは呪文を唱える助けになるだけでなく、かってに紛争を達成してくれる。《造命物騎兵》は素晴らしい、たとえ重いとしても(エルドラージトークンや《献身のドルイド》によって)4ターン目に場に出て生き残ることができたなら完全にゲームを終わらせる可能性がある。

《絹織りの精鋭》は複雑なカードだ。《ファイレクシアの憤怒鬼》はPauperで重要なカードであり、それに到達を付けてライフロスを無くせるのは興味深い。《絹織りの精鋭》はそれだけで《昆虫の逸脱者》と《きらめく鷹》と相打ちができ、エルフシナジーの強化をしてくれる。一たび紛争すれば《絹織り》はこのフォーマットでも最高の3マナ域の1つへと姿を変える。下準備は難しくないが、問題なのは《巣の侵略者》からの《絹織り》という流れが《巣の侵略者から》からの《吠え群れの飢え》よりも優れているのかということだ。現在、僕はこの陰鬱インスタントを狙いすぎて失敗することが多いのだが、白い飛行クリーチャーの支配率がこのままであればそれも変化するだろう。

《精緻会の改革派》は最高の紛争クリーチャーかもしれない。《改革派》が加わった色は、《きらめく鷹》と《コーの空漁師》のおかげで戦場から自分のパーマネントを離れさせるが大好きな色だ。そして他の紛争カードと違って紛争なしでも最低限の性能がある。2マナで3点のパワーは立派なものだし、3ターン目に下準備をするのは比較的簡単だ。1ターン目か2ターン目に《古えの居住地》をプレイしておき、3ターン目に《きらめく鷹》を場に出してから《居住地》を出しなおして(土地は合計2枚)《改革派》へと繋げれば4ターン目に少なくとも5点のパワーが得られる。そしてこれは、この紛争ドワーフができることのほんの一部でしかない。

《凍り付け》・《自然廃退》
霊気紛争の残りの部分はPauperに面白いツールをもたらしてくれる。《凍り付け》と《自然廃退》はどちらも親和に対して有用性がある。この緑のインスタントは《ダークスティールの城塞》を処理できる数少ないカードの1つだ。親和は土地を16枚に切り詰めているしシャッフル手段もないので重要な土地をデッキの底に送るのは致命傷になりえる。《凍り付け》は早いターンに土地をロックできるという点でよく似ていて、なおかつ《バネ葉の太鼓》や《予言のプリズム》によるマナフィルター能力を低下させることもできる。これらの呪文は《マイアの処罰者》からのダメージを抑えることもできるが、一たび《エイトグ》が場に出ると同様の強さを発揮することができない。

《第四橋をうろつく者》
《第四橋をうろつく者》は1/1に付いてくる効果としては僕らが初めて目にするものだ。《水膨れ虫》と《煙霧吐き》を足して2で割ったような《第四橋をうろつく者》は《炉の小悪魔》を思い起こさせる。時として、重要なタフネス1クリーチャーへの回答として《炉の小悪魔》を使うことは正しい。《煙霧吐き》は同様の役割を果たすが場には残らない。時にはこのクリーチャーが重要になるし、そういう場合には《うろつく者》が《煙霧吐き》と一緒に使われる可能性がある。

《暁羽の鷲》・《強気な回収者》
僕が注目した最後のカードはどれも特定の役割を演じるものだ。《暁羽の鷲》はトークン軍団を強化することのできる確かな脅威だ。警戒を与える能力は《金切るときの声》などと合わさった時にライフレースを大きく変えることができる。先に隙を見せた方が負けるミラーマッチにおいて、目を光らせてくれる《暁羽の鷲》が重要カードになることが想像できる。

《強気な回収者》のソーサリースピードの制限は極めてきついものだ。《血の座の吸血鬼》や《屍肉喰らい》のようなカードは死にそうなクリーチャーをボーナスに変えられることが強みだった。《回収者》にはそういう動きができない。その代わりに《大霊堂の信奉者》入りの親和におけるもう1つのサクり台になってくれる。緑と《甲殻の鍛冶工》を控えて黒の《回収者》と《信奉者》を取ればよりコンボに特化した構築の選択肢になる。

《たかり猫猿》・《枷はずれな成長》
《たかり猫猿》はPauperにこれまでなかった効果を与えてくれる。カウンターを移動させる能力は強力だ:さらに《鱗の召使い》や《シミックの信徒》と組み合わせれば、この《猫猿》は中期戦で大幅なパワーブーストを与えてくれる。

《枷はずれな成長》は紛争、《オーラ術師》、そして《血茨》と相性のいい《豊かな成長》だ。《豊かな成長》と同じようにこれはそれ自身が別のカードになることができるが、《天上の鎧》や《祖先の仮面》と相性のいいカードではない。僕は《枷はずれな成長》が使われるのに十分だとは思わない。でも僕は以前に間違ったことがある。

霊気紛争ではPauperのパワーレベルが大幅に変わるような選択肢は得られなかった。その代わり、既存のカードや戦略を強化するようなツールをたくさんもたらしてくれた。このセットは使われるだろう、しかし劇的な変化が起こるとは考えていないよ。

コメント

ノート
2017年1月22日9:36

毎回翻訳お疲れ様です。
一部、増強自動機械が自動人形に成っちゃってますね。

surucucu
2017年1月23日17:46

ノートさん、ご指摘ありがとうございます!
修正しときました

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