元記事 : http://www.gatheringmagic.com/alexullman-10042016-option-two/

Option Two
by Alex Ullman, October 4, 2016







というわけで。

《流浪のドレイク/Peregrine Drake》は禁止されなかった。

僕はみんなと同じようにショックを受けた。

《流浪のドレイク》は《フェアリーの大群》と同じ道をたどる兆しがあったにも関わらず、Pauperには少なくとも1月までは決定的なコンボデッキが居座り続けるだろう。禁止がなかったので意思決定の説明に関連した記事もなかった。

どうしてこのカードがまだ使えるのか少々困惑している。《流浪のドレイク》コンボにはかなりの数の回答があるものの、《ドレイク》、《幽霊のゆらめき》そして《古術師》のループは数ヶ月間このフォーマットを支配している。エターナルマスターズが発売されてから、このコンボを基調としたデッキが5-0デッキのうちの25%を占めている。さらに、この戦略はフォーマットの重鎮―黒単コントロールとジェスカイミッドレンジ―を端へと追いやってしまっている。5マナ域を中心に回っているにも関わらず、Pauperはフォーマットとして速くなったんだ。

さて、なぜ《流浪のドレイク》が許されたのかという疑問が残る。僕にはいくつか考えがある。

1つ目は、ウィザーズがPauperにとって《流浪のドレイク》が良いものだと信じている場合だ。これまでフォーマットの大多数を占めはしないものの、ミッドレンジ戦略は人気があり壊れた要素(《宝船の巡航》とか)が取り除かれたときはかなりの数を上げていた。《フェアリーの大群》の禁止により《秘密を掘り下げる者》と《呪文詰まりのスプライト》を前にしたときの1,2ターン目の動きが非常に自由になったのはこれらのデッキにとって喜ばしいことだった。《流浪のドレイク》コンボの登場によってこれらのデッキが体勢を整えるための時間がなくなってしまった。当局は変化を望んでいたのかもしれない。

ミッドレンジ戦略をもっと積極的なものにするのは悪いことではないだろう。これらのデッキは《きらめく鷹》を使った仕掛けに頼ったり、《アスフォデルの灰色商人》のためにリソースを投じたりする。現在、中庸に属するあらゆるデッキが少し速くなっている。従来では4マナ以上のカードを見るのは珍しいことではなかった、現在僕はカード1枚に3マナ以上かけるのは多くの場合間違っているだろうと感じている。より重い呪文はその価値があるかもしれない―やはり《熟考漂い》はカードだ―しかしそれらはゲームを変えるものでなければならない。

あるいはウィザーズはこのフォーマットに《流浪のドレイク》に対する回答が十分にあると考えているのかもしれない。黒マナを必要とするほとんどのデッキで《ボジューカの沼》が定着している一方で、《大祖始の遺産》と《虚無の呪文爆弾》はよく使われている。《フェアリーの忌み者》はすべてのデッキで使うことができるがただコンボを遅らせるだけであり、《熟考漂い》によるカードアドバンテージの流れを止められはしない。

Pauperに存在する除去については言うまでもない。《稲妻》は金字塔といえるカードだ、《終止》は文字通り金色だけどね。他に様々な軽い除去呪文が存在していて、これらとフォーマットにある他の要素とを併せれば《流浪のドレイク》を十分に食い止められるとウィザーズは考えているのかもしれない。

Pauperはかなり長い間メタゲームが揺さぶられてこなかった。《流浪のドレイク》が存在し続けるということは各デッキがそれに適応しなければならないということだろう。一部のプレイヤーは禁止改定でフォーマットが以前の姿に戻ると期待することで《ドレイク》の存在を乗り切っていた感がある。

しかし、前に進むしかない。

もしウィザーズが《ドレイク》をフォーマットにとって良いものだと考えているとしたら、そのときはPauperが変化するということだ。上で言ったように重い呪文は価値が下がっている。対戦相手のターンにクリーチャーを除去できるものが必要であり、ソーサリースピードの除去の価値も急落する。《恐ろしい死》や《血の復讐》の価値が上がる一方で《チェイナーの布告》は被害を被る。

ここで面白いのが、一たび《チェイナーの布告》が弱くなるとまたすぐに強くなるということだ。呪禁オーラやイゼットブリッツのようなデッキは対象を取らない除去がいなくなると数を増やす。これからはサイドボードに《チェイナーの布告》や《ゲスの評決》を積むのが正解なのかもしれない。フラッシュバックに頼る人たちにとっては《絞殺の煤》を試すチャンスじゃないだろうか。呪禁には効かないかもしれないが1対2交換だ。
ラクドス・ミッドレンジ - Pauper| Alex Ullman
クリーチャー (12)
1 《巣穴のこそ泥/Warren Pilferers》
3 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
4 《騒がしいネズミ/Chittering Rats》
4 《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》

呪文 (25)
2 《絞殺の煤/Strangling Soot》
2 《終止/Terminate》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
1 《中断された埋葬/Disturbed Burial》
1 《骨読み/Read the Bones》
2 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》
3 《強迫/Duress》
3 《炎の稲妻/Firebolt》
3 《夜の囁き/Night’s Whisper》
4 《頭の混乱/Addle》

土地 (23)
4 《山/Mountain》
6 《沼/Swamp》
1 《やせた原野/Barren Moor》
2 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
2 《進化する未開地/Evolving Wilds》
4 《血溜まりの洞窟/Bloodfell Caves》
4 《ラクドスの肉儀場/Rakdos Carnarium》

サイドボード (15)
4 《紅蓮破/Pyroblast》
3 《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》
3 《電謀/Electrickery》
2 《奇怪な突然変異/Grotesque Mutation》
1 《強迫/Duress》
1 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》
1 《吸命/Syphon Life》
上記のデッキは先週5-0したデッキを調整したものだ。スコットランドの国内王者である Stephen Murray がこれに取り組んでいて(https://goo.gl/33BpHN)、それを少し進めてみた。《絞殺の煤》が盤面を掃除してくれて、《チェイナーの布告》が仕上げをしてくれる。《巣穴のこそ泥》は少し重たいかもしれないが1枚入れておくことで後半戦で脅威の密度を上げるという選択肢を与えてくれる。《夜の囁き》は強力なカードだがライフを守るために早期の除去と組ませる必要がある。《炎の稲妻》、《稲妻》そして《強迫》の組み合わせが目的達成を助けてくれる。最後に、2色デッキが使える効果的な妨害手段である《頭の混乱》は強力な選択肢だ。嘘はつかない―相手の手札を推測して正しい選択をするのも楽しいもんだよ。

《流浪のドレイク》が残り続けていることについての次の僕の考えは、Pauperを発展させるために利用されたのではということだ。これがかなり陰謀論めいたな話だということは分かっているが、まあ聞いてくれ。禁止無しの発表からこれまでの間、今までよりはるかに多くのPauperに関係のない人たちがこのフォーマットを話題にしていた。知られた人物が「禁止無し」の議論をしているのを聞いて今まで興味のなかったプレイヤーがこのフォーマットを調べ始めるというのは十分にありえることだ。

強力な勝利手段があったり、Magicの一般的なルールの外から何かをするというのは目を引くものだ。ドレイクデッキはそういうことを全部やってのける。ミラディン時代のスタンダードの親和や《精神を刻む者、ジェイス》と《石鍛冶の神秘家》との組み合わせのようにあからさまに抑圧されない限りはね。

PauperはMagic Onlineの通常サイクルからの息抜きを務めている。スタンダード、モダン、ドラフト、キューブ―これらはどれもよく知られたものだ。Pauperは制定されているとはいえ、その他のやや単調になりうるものからの息抜きを務めている。こうして遠回しな方法でこのフォーマットを人目にさらすことで参加者を増やすことだけはできる。将来的に禁止された場合でもこれらのプレイヤーは新しい環境で自分の資産を生かそうとする可能性が高い。

わかった、陰謀論者のふりはもうやめよう。なんで禁止されなかったのか僕には1つの考えがある。ウィザーズはPauperでは年に1回の禁止しか必要ないという姿勢をとっているんじゃないだろうか。《宝船の巡航》は2015年3月に禁止され、《フェアリーの大群》は2016年1月にお払い箱となった。その隔たりは9ヶ月(《フェアリーの大群》から先週までと同じ期間)ではあるがカレンダー上では別の年だ。

こういったパターンはPauperにある程度の安定性を与える。メタゲームが年に1回しか大幅な変化にさらされないと分かることで長い時間変化の中でプレイをしたい人がそうできるようになる。これによってこのコンボや派生型に負けるのにうんざりする人も出てくる。

《流浪のドレイク》は当分はここにいる。カラデシュは今週Magic Onlineに登場する。古いデッキに新しいものを投入する時だ。どこから始めればいいのか定かではないが軽い追放除去を使ってみたいことはわかっている。僕が《今わの際》が使われる引き金を引けるかはわからないが、これは再び《平地》に意味を持たせることのできるカードじゃないかな。戦乱のゼンディカーの追放カードをさらに研究するチャンスかもしれない。《呪文萎れ》と《完全無視》―もしかしたら君たちが輝く時だ。

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