原文記事(http://puremtgo.com/articles/looking-forward)の公開はPlay Point導入の発表と同日ですので、Alexさんはそれらの変更を意図しないでこの記事を書かいたのだと思われます。
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Looking Forward
By: SpikeBoyM, Alex Ullman
Jul 20 2015 12:00pm
2015年の上半期のある時点で、僕はPauperコミュニティに携わってから10年目を迎えた。2016年の下半期には、Magic歴の半分以上はPauperと付き合っていることになるだろう。
たくさんのコモンだ。
数週間の休暇をとったことで、僕は過去を評価し未来に目を向ける機会を得た。これは僕の思考の一部だ:
Pauperを始めたのは競い合いたかったからだった。僕は限られた予算で生活する大学生だった。リーグ(そう、リーグだ)があったものの、僕はデッキ構築をしてそれをトーナメントで試してみたかった。8-4ドラフトで勝てるほど強くはなかったし ― 当時はそれしかなかったんだ ― どんなレギュレーションも構築フォーマットも僕の予算を越えていた。当時の安いスタンダードデッキを買おうとしたが簡単にイライラしてしまった。僕は負けたくなかったんだ(今だってそうだ)、しかし本当に僕が妨げられたのは、投資できる額に限りがあるために単純にデッキに新しいカードを入れたり抜いたりすることができなかったからだった。
覚えておいてくれ。これは本当のレガシーやヴィンテージがクライアントに導入される前のことであり、インヴェイジョン・ブロックのカードが比較的不足していたためにエクステンデッドがとても高価だった時代の話だ。
2005年の始め、僕はアパートで座っていたのを覚えている。そして自分の資産の範囲でトーナメントを楽しむ方法を見つけるために頭を絞っていた。何かが頭をよぎって、僕は公式サイトの記事を思い出した。すばやいGoogleがこの版のInto the Aether(http://goo.gl/h2KDtG)へと、そしてPauper Deck Challenge(PDC)の世界へと僕を案内してくれた。
僕はPDCのチャットルーム(当時は/join PDCって打ったんだぜ)とウィザーズの公式フォーラム(昔は情報の主な拠点だった)の常連になった。そして今まで経験したことのない構築をした。その時このフォーマットははるかにカジュアルで、プライズは寄付されたもので大抵インヴェイジョンブロックのコモンからなるものだった(僕は勝つことで《アルマジロの外套》と《除外》を手に入れたんだ)。そして皆は決まって自分たちのデッキリストをイベントのスレッドに公開していた。僕は赤いデッキを持ち込み初めてのPDCイベントでまさかの勝利を決めた、そして病みつきになったんだ。
それから数年間、僕はイベントを主催するのを手伝ったり、デッキのフィードバックを与えたり、そしてPDCを価値のあるもにするために常に最善を尽くしたりしてコミュニティに大きく関わっていた。何かしら上手くいったに違いない。僕は最初のコミュニティカップに招待され、PDCがついに認知されてPauperフォーマットが公認されたんだからね。
僕は競技と構築の機会を得るためにやってきて、コミュニティのためにとどまった、そして今や全てが変化した。
十分な量のプライズが加わることでPauperは永遠に変わってしまった。プレイヤー主催のイベントは存続していたものの、公認イベントはより熾烈なメタゲームを生み、コミュニティを二分させてしまった。優位を得るため公開されたリストを徹底的に調べるものもいれば、ユーザーが作ったトロフィーを熱心なグループと同じようにして獲得しようとするものもいた。両者ともPauperをしていたが、大きく異なるゲームをプレイしていたんだ。
この分裂は、何らかの形で今日も続いている。Pauperはかつてないほどに大きくなっているが、カジュアルと競技のフォーラムに分かれるほどにはまだ大きくなっていない。この事と、Pauperが主にデイリーイベントの形で存続していることを合わせて考えよう。デイリーイベントは比較的リスクが低く、新しい試みよりも一貫性が報われるトーナメントだ。新しい試みはよりカジュアルな側へと追いやられてしまい、さらに(フォーマットはむしろ多様性があるにも関わらず)イベントの結果は停滞しているように見えてしまうというのは意図されていない流れだ。
これに加えて、Pauperはリアルでも多くの注目を集めている。これは表向きには喜ばしいことだが、別の論点を生んでもいる:特定の(《Hymn to Tourach》、《High Tide》、そして《ゴブリンの手投げ弾》のような)カードは紙ではコモンであるがMagic Onlineではコモンではない、そしてその逆のカード(《死の火花》と《狩りをする豹》)もまた存在するんだ。他のフォーマットも現実とデジタルではいくつか違いがあり(発売日、バグ)、オンラインでのレガシーとヴィンテージはアナログとくらべていくつかのカードが手に入りにくいものの、それほどの影響があるわけではない。《High Tide》と《Hymn to Tourach》はメタゲームを大幅に変えてしまいかねない。そしてこれは、「アンコモンのシートに印刷された実はコモンであるカード」の存在とは対応していないんだ。
現在のPauperの問題は、人口と成長に由来している。誤解しないでくれ ― 僕は失敗よりもむしろ成功にこそ問題の原因を見出しているんだ。成長傾向が続くのであれば、紙・デジタルPauper間のより良い統合のために何かしらなされるべきだと僕は考えている。どんな解決策があるかは分からない。スペシャルPauperパックとして紙のコモンをオンラインに加えれば解決の助けになるもしれないが、紙の世界の問題が消えるわけではない。使用可能カードのリストを使うのも役に立つかもしれない、エターナルフォーマットはすでに禁止リストを擁しているし、プレイヤーはリストを覚えてしまっているからね。最も明解な解決策ではないかもしれないが、Pauperと名の付く異なるフォーマットをプレイしている2つのコミュニティが持つ問題を解決してくれるんじゃないかな。
イベントの開催数を増やすという形でMagic OnlineがPauperを支援することも可能ではある。デイリーイベントは素晴らしいが、現在のスケジュールでは特定のタイムゾーンからの参加が難しくなっている。有意義なキューが無いこともゲームのやりがいを見出しにくくしている。シングルエリミネーション・キューが役に立たないことは分かっているが、その一方で僕はそう遠くない将来に8人構築「スイス」キューが選択肢になることを願っている。
青いデッキの支配率と対コンボ手段の欠如という根強い問題は、新セットのリリースを通して徐々に取り組まれている。初めはこれが目立たないかもしれないが、リミテッド面でのセット開発における最近の進歩によって、影響力の高いカードがPauperへと流れ込んできている。
ここ数年、リミテッド環境において各色の組み合わせが成立するように開発が変化していることは明らかだ。この取り組みを支援するために各セットのアンコモンの数が増加している。しかし、コモンはリミテッドの動力源だ。Pauperを構成するもの達は複数のリミテッドのアーキタイプを強化しなければならない。その結果、ドラフトとシールドを面白くすることができるようにコモンは次第に強力になっていっている。さらに、多くのMagicプレイヤーが重課金者ではなく、再び使える価値を提供するためにコモンが使われていることを考えると、Pauperに影響を与えることのできるコモンがセットを進むごとに出てくることがわかる。
最近のセットを振り返ると、この傾向は見て取れる。《ニヴィックスのサイクロプス》、《金切るときの声》、《三つぞろいの霊魂》、《アスフォデルの灰色商人》、《ゴブリンの踵裂き》 ― これら全てはそれぞれのフォーマットの様々なリミテッドデッキにおけるキーカードだった。強力なシナジーを持つようにコモンへの圧力が高まることで嬉しいのはPauperだけだろう。Pauperは色が重なった部分の中核要素を重視する傾向がある。これは徐々に特定の戦略に必要なカードを十分な量生み出すだろう。それが既存のカードプールと組み合わさればメタ外の戦略に可能性を与えることもできる。この考えが正しいかどうかは《グルマグのアンコウ》に目を向ければ分かるはずだ。
僕らがマジック・オリジンの幕開けを楽しみにしているのと同時に、Pauperは再び岐路に立たされている。このフォーマットは以前にもこれを経験していて、幸運にも何度も正しい道を選んできた。僕はこの流が続いてくれるんじゃないかと明るい見通しを抱いている。
Keep slingin’ commons-
-Alex
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Looking Forward
By: SpikeBoyM, Alex Ullman
Jul 20 2015 12:00pm
2015年の上半期のある時点で、僕はPauperコミュニティに携わってから10年目を迎えた。2016年の下半期には、Magic歴の半分以上はPauperと付き合っていることになるだろう。
たくさんのコモンだ。
数週間の休暇をとったことで、僕は過去を評価し未来に目を向ける機会を得た。これは僕の思考の一部だ:
Pauperを始めたのは競い合いたかったからだった。僕は限られた予算で生活する大学生だった。リーグ(そう、リーグだ)があったものの、僕はデッキ構築をしてそれをトーナメントで試してみたかった。8-4ドラフトで勝てるほど強くはなかったし ― 当時はそれしかなかったんだ ― どんなレギュレーションも構築フォーマットも僕の予算を越えていた。当時の安いスタンダードデッキを買おうとしたが簡単にイライラしてしまった。僕は負けたくなかったんだ(今だってそうだ)、しかし本当に僕が妨げられたのは、投資できる額に限りがあるために単純にデッキに新しいカードを入れたり抜いたりすることができなかったからだった。
覚えておいてくれ。これは本当のレガシーやヴィンテージがクライアントに導入される前のことであり、インヴェイジョン・ブロックのカードが比較的不足していたためにエクステンデッドがとても高価だった時代の話だ。
2005年の始め、僕はアパートで座っていたのを覚えている。そして自分の資産の範囲でトーナメントを楽しむ方法を見つけるために頭を絞っていた。何かが頭をよぎって、僕は公式サイトの記事を思い出した。すばやいGoogleがこの版のInto the Aether(http://goo.gl/h2KDtG)へと、そしてPauper Deck Challenge(PDC)の世界へと僕を案内してくれた。
僕はPDCのチャットルーム(当時は/join PDCって打ったんだぜ)とウィザーズの公式フォーラム(昔は情報の主な拠点だった)の常連になった。そして今まで経験したことのない構築をした。その時このフォーマットははるかにカジュアルで、プライズは寄付されたもので大抵インヴェイジョンブロックのコモンからなるものだった(僕は勝つことで《アルマジロの外套》と《除外》を手に入れたんだ)。そして皆は決まって自分たちのデッキリストをイベントのスレッドに公開していた。僕は赤いデッキを持ち込み初めてのPDCイベントでまさかの勝利を決めた、そして病みつきになったんだ。
それから数年間、僕はイベントを主催するのを手伝ったり、デッキのフィードバックを与えたり、そしてPDCを価値のあるもにするために常に最善を尽くしたりしてコミュニティに大きく関わっていた。何かしら上手くいったに違いない。僕は最初のコミュニティカップに招待され、PDCがついに認知されてPauperフォーマットが公認されたんだからね。
僕は競技と構築の機会を得るためにやってきて、コミュニティのためにとどまった、そして今や全てが変化した。
十分な量のプライズが加わることでPauperは永遠に変わってしまった。プレイヤー主催のイベントは存続していたものの、公認イベントはより熾烈なメタゲームを生み、コミュニティを二分させてしまった。優位を得るため公開されたリストを徹底的に調べるものもいれば、ユーザーが作ったトロフィーを熱心なグループと同じようにして獲得しようとするものもいた。両者ともPauperをしていたが、大きく異なるゲームをプレイしていたんだ。
この分裂は、何らかの形で今日も続いている。Pauperはかつてないほどに大きくなっているが、カジュアルと競技のフォーラムに分かれるほどにはまだ大きくなっていない。この事と、Pauperが主にデイリーイベントの形で存続していることを合わせて考えよう。デイリーイベントは比較的リスクが低く、新しい試みよりも一貫性が報われるトーナメントだ。新しい試みはよりカジュアルな側へと追いやられてしまい、さらに(フォーマットはむしろ多様性があるにも関わらず)イベントの結果は停滞しているように見えてしまうというのは意図されていない流れだ。
これに加えて、Pauperはリアルでも多くの注目を集めている。これは表向きには喜ばしいことだが、別の論点を生んでもいる:特定の(《Hymn to Tourach》、《High Tide》、そして《ゴブリンの手投げ弾》のような)カードは紙ではコモンであるがMagic Onlineではコモンではない、そしてその逆のカード(《死の火花》と《狩りをする豹》)もまた存在するんだ。他のフォーマットも現実とデジタルではいくつか違いがあり(発売日、バグ)、オンラインでのレガシーとヴィンテージはアナログとくらべていくつかのカードが手に入りにくいものの、それほどの影響があるわけではない。《High Tide》と《Hymn to Tourach》はメタゲームを大幅に変えてしまいかねない。そしてこれは、「アンコモンのシートに印刷された実はコモンであるカード」の存在とは対応していないんだ。
現在のPauperの問題は、人口と成長に由来している。誤解しないでくれ ― 僕は失敗よりもむしろ成功にこそ問題の原因を見出しているんだ。成長傾向が続くのであれば、紙・デジタルPauper間のより良い統合のために何かしらなされるべきだと僕は考えている。どんな解決策があるかは分からない。スペシャルPauperパックとして紙のコモンをオンラインに加えれば解決の助けになるもしれないが、紙の世界の問題が消えるわけではない。使用可能カードのリストを使うのも役に立つかもしれない、エターナルフォーマットはすでに禁止リストを擁しているし、プレイヤーはリストを覚えてしまっているからね。最も明解な解決策ではないかもしれないが、Pauperと名の付く異なるフォーマットをプレイしている2つのコミュニティが持つ問題を解決してくれるんじゃないかな。
イベントの開催数を増やすという形でMagic OnlineがPauperを支援することも可能ではある。デイリーイベントは素晴らしいが、現在のスケジュールでは特定のタイムゾーンからの参加が難しくなっている。有意義なキューが無いこともゲームのやりがいを見出しにくくしている。シングルエリミネーション・キューが役に立たないことは分かっているが、その一方で僕はそう遠くない将来に8人構築「スイス」キューが選択肢になることを願っている。
青いデッキの支配率と対コンボ手段の欠如という根強い問題は、新セットのリリースを通して徐々に取り組まれている。初めはこれが目立たないかもしれないが、リミテッド面でのセット開発における最近の進歩によって、影響力の高いカードがPauperへと流れ込んできている。
ここ数年、リミテッド環境において各色の組み合わせが成立するように開発が変化していることは明らかだ。この取り組みを支援するために各セットのアンコモンの数が増加している。しかし、コモンはリミテッドの動力源だ。Pauperを構成するもの達は複数のリミテッドのアーキタイプを強化しなければならない。その結果、ドラフトとシールドを面白くすることができるようにコモンは次第に強力になっていっている。さらに、多くのMagicプレイヤーが重課金者ではなく、再び使える価値を提供するためにコモンが使われていることを考えると、Pauperに影響を与えることのできるコモンがセットを進むごとに出てくることがわかる。
最近のセットを振り返ると、この傾向は見て取れる。《ニヴィックスのサイクロプス》、《金切るときの声》、《三つぞろいの霊魂》、《アスフォデルの灰色商人》、《ゴブリンの踵裂き》 ― これら全てはそれぞれのフォーマットの様々なリミテッドデッキにおけるキーカードだった。強力なシナジーを持つようにコモンへの圧力が高まることで嬉しいのはPauperだけだろう。Pauperは色が重なった部分の中核要素を重視する傾向がある。これは徐々に特定の戦略に必要なカードを十分な量生み出すだろう。それが既存のカードプールと組み合わさればメタ外の戦略に可能性を与えることもできる。この考えが正しいかどうかは《グルマグのアンコウ》に目を向ければ分かるはずだ。
僕らがマジック・オリジンの幕開けを楽しみにしているのと同時に、Pauperは再び岐路に立たされている。このフォーマットは以前にもこれを経験していて、幸運にも何度も正しい道を選んできた。僕はこの流が続いてくれるんじゃないかと明るい見通しを抱いている。
Keep slingin’ commons-
-Alex
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