The Pauper Take on Modern Masters 2015(http://puremtgo.com/articles/pauper-take-modern-masters-2015

By: SpikeBoyM, Alex Ullman
May 11 2015 1:09pm

最初のモダン・マスターズはPauperにとっては少々ありきたりな物だった。《静寂の捕縛》は一部のレベルデッキで見かけたが、コモンプレイヤーにとってそれ以上のものはなかった(*1)。ヴィンテージ・マスターズは《金切るときの声》の追加によって何ができるかを僕らに見せてくれた。モダン・マスターズ2015は同じ運命には陥らない。それは紙でも印刷され、19枚のコモン落ちがあり、そしてその3分の1は使われそうに見えるからね。その内の1枚は、特にフォーマットにとって不意打ちになり、物のあり方を変えようとしている。

もちろん僕が言っているのは《はらわた撃ち》のことだ。アンコモンから格下げになったこの新たなるファイレクシアのインスタントは、その存在感をほとんど一瞬であらわにするだろう。Pauperはクリーチャーによって定義されたフォーマットであり、それらの多くは正にタフネス1なんだ。

《秘密を掘り下げる者》はみんなが見て見ぬふりをしている問題だ。デルバーデッキは黒単コントロールの後塵を拝しているとはいえ、無視することのできないフォーマット特有のプレッシャーを与える力がある。《秘密を掘り下げる者》から《呪文づまりのスプライト》を構えて《フェアリーの大群》へと繋げる無情な初動は、十分使える1マナ域よりも2マナ域を駆逐してしまっていた。この流れによって、攻撃的な戦略ではこのような初動に対して、コインフリップでの勝利を祈るか、パワーの高い1マナ域に集中しなければならない環境を作り上げた(2ターン目に2体唱えるんだね)。《はらわた撃ち》はこの部隊を粉砕する。タダでだ。

同様の初動をデルバーの側から考えよう。どのタイミングの《はらわた撃ち》もそのプランを台無しにしてしまう。君の手札が《昆虫の逸脱者》に弱い?変身する前にそいつを《はらわた撃ち》だ。2マナ域を場に出す必要がある?誘発能力がスタックに乗っている内に《呪文づまりのスプライト》を《はらわた撃ち》だ。もちろんデルバーは依然として対抗呪文やその他の素晴らしい呪文を使うことができるが、今やもっとも心を折る初動の効果は弱まっている。その上、デルバー自身が《はらわた撃ち》を使えることによって、ミラーマッチが「オレの1/1死んじゃうの?」という一か八かのゲームへと変わるんだ。

《はらわた撃ち》はすべてを変える。

ここで僕は上っ面しか語っていない。《はらわた撃ち》は《クウィリーオン・レインジャー》の入ったストンピィのエンジンを攻撃する上で重要な意味を持つ。ストンピィはこのヴィンジョンズの必須カードで土地を置き直し、上陸を達成させ、そして大抵あらゆる胡散臭いことをやってのける。ストンピィは《かき集める勇気》と《変異原性の成長》のどちらにも適したデッキではあるが、最近はそれらのカードを敬遠している。《はらわた撃ち》が使えるようになったら、再び《かき集める勇気》が使われるようになると期待しているよ。

そしてそれこそが最も大きな変化だ―《はらわた撃ち》はプレイの仕方だけでなく、デッキの構築の仕方にまで影響を与えるだろう。1マナ域を唱えることがテンポ損失に繋がりかねないというのは、全体のプレイ速度を変化させる。今やタフネス1のクリーチャーは何かと交換できるか、《はらわた撃ち》への耐性かのどちらかが必要になるだろう。これで《ジェスカイの賢者》のようなカードが輝ける兆しが見える。《ジェスカイの賢者》は2つの面で《はらわた撃ち》を無効にできるクリーチャーだ。《戦隊の鷹》と《金切るときの声》もこの新しいメタゲームで意味をなす。最後に、《スゥルタイの使者》や《斑の子猪》のようなカードはより使われるようになるかもしれない。なぜなら今や各デッキは1マナ域の命が長くないという事実を意識しないといけないからだ。

《はらわた撃ち》が《窯の悪鬼》/《ニヴィックスのサイクロプス》ブリッツデッキに居場所を見つけるという議論がある。これが実際に起こるかどうかは確信が持てない。このデッキの目的は、《巧みな回避》、《シャドーの裂け目》、もしくは《ティムールの激闘》の助けを借りつつ呪文を重ねて十分に大きなクリーチャーへと繋げることだ。このデッキは大抵《ギタクシア派の調査》をマナが掛からず、カードが引けて、そして前方確認ができる呪文として使っている。しかしながら《はらわた撃ち》はこれらのことを一切してくれない。ポイントは、イゼットブリッツは実のところブロッカーや対面のクリーチャーを気にしないということだ。イゼットブリッツは《払拭》や《紅蓮破》のような青と赤の強力なカードを使えるというアドバンテージを持っている。そしてこれらはデルバーど戦う上で素晴らしいものだ。このデッキで《はらわた撃ち》を使うことは本当に正解だろうか?絶対にとは言わないが、僕はそれが基本になるとは思わないね。

《希望の盗人》と《病に倒れたルサルカ》はまとめて議論されてしかるべきだ、これらはきっと一緒に使われるだろうからね。これら2つのカードは僕がMagicで一番好きなことをある程度やってくれる。《希望の盗人》に関しては長い消耗戦をするカードだと分かる。そしてこれは墓地シナジーも持っている。一方、《病に倒れたルサルカ》は相手の盤面に干渉できるサクり台だ―これまでPauperには無かったものだね。最初のモダン・マスタースで手に入れた《花の神》と組み合わさると、じわじわ攻めるゴリガリデッキの根幹を成すことができる。《希望の盗人》は《花の神》や《魂無き蘇生》そして他の秘儀呪文と組み合わさって不可避の終局を演出する。
Spiritcraft Rock
Proposed Pauper deck Alex Ullman
クリーチャー 23枚
4 《花の神/Hana Kami(CHK)》
4 《病に倒れたルサルカ/Plagued Rusalka(GPT)》
3 《縁切られた先祖/Disowned Ancestor(KTK)》
4 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder(BNG)》
4 《希望の盗人/Thief of Hope(CHK)》
4 《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》

その他の呪文 13枚
3 《肉体の奪取/Rend Flesh(CHK)》
2 《魂無き蘇生/Soulless Revival(CHK)》
1 《千の針の死/Death of a Thousand Stings(SOK)》
3 《木霊の手の内/Kodama’s Reach(CHK)》
1 《死の否定/Death Denied(SOK)》
2 《名も無き転置/Nameless Inversion(LRW)》
1 《チェイナーの布告/Chainer’s Edict(TOR)》

土地 24枚
4 《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow(KTK)》
1 《汚染されたぬかるみ/Polluted Mire(USG)》
3 《ゴルガリの腐敗農場/Golgari Rot Farm(RAV)》
8 《沼/Swamp》
8 《森/Forest》
黒緑?イエス。《朽ちゆくヒル》?イエス。墓地エンジン?イエス。これほどまでに僕がMagicでやりたいことを実現できそうなデッキはほとんどない。最終的に秘儀とスピリットがゲームを片付けてしまえるように、ひたすらゲームの条件を整えるのが目標だ。このデッキがエンジンの一部として《サテュロスの道探し》を使うことができるという事実で、僕はとんでもなく興奮しているよ。

《病に倒れたルサルカ》は別のデッキでも同じように使えるカードだ。すぐには居場所を見付けられないかもしれないが、死亡誘発にもなりながら軽いコストで投資(クリーチャー)を除去へと変える能力は、コモンのフォーマットにとって真新しく刺激的だ。

《太陽の宝球》は多色のミッドレンジにとって別の選択肢を提供する。《予言のプリズム》がカードを引かせてくれる一方で、《太陽の宝球》はマナ加速をしてくれる。いきなり、2色とタッチのミッドレンジデッキがプレイ可能になる。Pauperでは《危険な研究》が良く使われているようだし、《宝球》は青いインスタントを撃つ準備を整えてくれる。

《太陽の宝球》はこれらのデッキのゲーム進行に新しい段階を加える。3ターン目にプレイすれば打消しを構えることができる。2ターン目にプレイすれば、対応を構えながら3ターン目に脅威を(もしかしたら2つ)展開できる。後半の色マナを確保するために《太陽の宝球》が《コーの空漁師》と組み合わせて使われることは想像に難くない。(*2)

僕を興奮させる最後のカードは《ヴィーアシーノの殺戮士》だ。二段攻撃はコモンではめったに使われない能力であり、それには正当な理由がある―マナカーブだ。《殺戮士》は《タイタンの力》や《粗暴な力》のようなカードのおかげで大ダメージを与えられるし、大抵赤い除去がブロッカーを除去してくれるだろう。起動コストについて考えるのはひっかけだよ―《ヴィーアシーノの殺戮士》は黒マナと緑マナを必要とするカードではない;赤単のカードだ。

だからと言って、このコンフラックスのアンコモンが山しか入っていないデッキを必要としている訳ではない。緑と組み合わせれば《怨恨》を上手に着こなす。白には《天上の鎧》や《希望の幻霊》のようなカードがある。もちろん、赤には《噛み傷への興奮》と《向こう見ずな技術》あり、それら全てが《ヴィーアシーノの殺戮士》を深刻な脅威へと変えてくれる。
Red Deck Wins
Proposed Pauper deck Alex Ullman
クリーチャー 20枚
4 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》
4 《アクロスの十字軍/Akroan Crusader(THS)》
4 《ヴィーアシーノの殺戮士/Viashino Slaughtermaster(CON)》
4 《凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird(RTR)》
4 《国境地帯の匪賊/Borderland Marauder(M15)》

その他の呪文 20枚
4 《稲妻/Lightning Bolt(4ED)》
4 《タイタンの力/Titan’s Strength(THS)》
3 《向こう見ずな技術/Madcap Skills(GTC)》
3 《噛み傷への興奮/Furor of the Bitten(ISD)》
2 《火炎破/Fireblast(VIS)》
4 《Chain Lightning(LEG)》

土地 20枚
20 《山/Mountain》


他のカードについて、簡単な評価は次の通りだ:

《議事会の密集軍/Conclave Phalanx(RAV)》:面白いサイドボードの選択肢、トークン戦略にとっては最高。
《空狩人の散兵/Skyhunter Skirmisher(5DN)》:すごく惜しいが3マナにしては物足りない。
《時間の把握/Telling Time(RAV)》:使えそうな面白い選択肢だがPauperでのこの手のカードの敷居はエベレスト並みに高い。
《かき鳴らし鳥/Thrummingbird(SOM)》:面白いけどおそらく駄目だろう。
《ヴィグの移植術師/Vigean Graftmage(DIS)》:遅すぎる。
《幽霊の変わり身/Ghostly Changeling(LRW)》:ゾンビであることには意味があるかもしれない。
《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight(CON)》:誰かが上手く使ってみようとするだろう。失敗するだろうね。
《内炎の点火者/Inner-Flame Igniter(LRW)》:重すぎる。
《野生の末裔/Scion of the Wild(RAV)》:面白いカードだが使われるためには今1つパワー不足に見える。
《合金のマイア/Alloy Myr(NPH)》:《小走り犬/Scuttlemutt(SHM)》は使われていない。
《陰極器/Cathodion(MRD)》:多色デッキの3マナ域として使われるかもしれない。
《ルーンの苦役者/Runed Servitor(ROE)》:対戦相手にカードを与えるのは許し難い。
《鎌切り/Sickleslicer(NPH)》:アグロデッキのミラーの切り札になりそうだが、多分遅すぎる。
(*3)

僕が分かっているのは1つだけだ。もしモダン・マスターズ2015の与える影響が期待の半分であったなら、僕はMagicの最高の再録セットの2017年版が待ちきれなくなるだろう。

Keep slingin’ commons-

-Alex

SpikeBoyM on Magic Online

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(*1):モダン・マスターズでコモン落ちしたカードとしては《危険な研究》もPauperで活躍しています。
(*2):《太陽の宝球》はタップ状態で場に出ます。
(*3):さらに《錆びた秘宝/Rusted Relic(SOM)》がコモン落ちしています。



忘れられていた《錆びた秘宝/Rusted Relic(SOM)》に関して言わせてもらえば、親和・トロンのように既にそれなりのサイズのクリーチャーが使用可能なデッキでは「面白い選択肢」程度にしかならないと思います。一番楽しみなのはカルドーサ・ボロスで、このデッキのクリーチャーは今まで《炎の斬りつけ》どころか《稲妻》にすら耐えられなかったことを考えると、5/5というサイズは新しい戦略を生むのではないかと思っています。

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