【翻訳】A Token Offense by Alex Ullman ~Pauperトークンの来襲
A Token Offense(http://puremtgo.com/articles/token-offense

By: SpikeBoyM, Alex Ullman
Mar 09 2015 1:11pm



時として、勝つための最良の手段とは対戦相手がすることを完全に無視することである。これは大げさかもしれない。けれど、Magicのゲームで勝つための方法としては十分実現可能なものだ。現在のPauperの環境はたった1つの―相手のライフを攻めるという―目的を持ったデッキにとって最適なものだ。これは《宝船の巡航》デッキの多さが主な原因になっている。《宝船の巡航》は優秀で強すぎるカードだ。だが、もし引いたカード3枚がゲームに影響を及ぼせないとしたら、その3枚のカードは本当に存在しているのかな?

現在、複数のデッキがこの根拠によって支えられている。バーン、《フェアリーの大群》コンボ、呪禁、そして様々なタイプの《ニヴィックスのサイクロプス》デッキは、ある程度相手が何か意味のあることをするのを無効化しようとしている。バーンの頭には20点のダメージを与えるという情熱しかない;コンボは完璧なターンを形作ることのできる巨大なからくりだ;呪禁は除去を無効化しようとする;《ニヴィックスのサイクロプス》デッキは狂暴なる栄光の1ターンのために防御を躱すことができる。

《宝船の巡航》との戦いに1人の新しい挑戦者が浮上してきている。しばらく前からあった戦略ではあるが、最近のカードによってそのデッキは真に繁栄することができた。再び平地に賭ける時がやってきた。白ウィニートークンの時代がやってきたんだ。

白ウィニートークン
Naga_Tsuki 4-0 in a Pauper Daily Event on March 5th, 2015

クリーチャー 16枚
4 《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSB)》
3 《魂の管理人/Soul Warden(EXO)》
3 《魂の従者/Soul’s Attendant(ROE)》
4 《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》
2 《不屈の部族/Tireless Tribe(ODY)》

その他の呪文 23枚
4 《金切るときの声/Battle Screech(JUD)》
4 《町民の結集/Gather the Townsfolk(DKA)》
4 《護衛の誓約/Guardians’ Pledge(M12)》
2 《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》
4 《急報/Raise the Alarm(MRD)》
2 《レイモス教の再興/Ramosian Rally(MMQ)》
3 《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits(M15)》

土地 21枚
18 《平地/Plains》
3 《隔離されたステップ/Secluded Steppe(ONS)》

サイドボード 15枚
2 《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》
2 《レイモス教の再興/Ramosian Rally(MMQ)》
2 《亡霊招き/Beckon Apparition(EVE)》
2 《主の募兵/Cenn’s Enlistment(EVE)》
2 《貴族階級の嘲笑/Patrician’s Scorn(FUT)》
2 《虹色の断片/Prismatic Strands(JUD)》
3 《軍旗の旗手/Standard Bearer(APC)》

あまり主流ではない戦略ではあるが、異なる要因の合流によって白ウィニートークンはメタゲームの最前線に押し上げられた。

初めは《金切るときの声》のコモンでの収録だった。Vintage Mastersドラフトのキーカードとして、《金切るときの声》は1枚で4つに分かれたパワー4をもたらす。白ウィニーの長きに渡る常連である《戦隊の鷹》は良く似ているが、1枚の《金切るときの声》から全軍が出てくることは信じられないくらい強力だ。十分なトークンに手が届くなら《ときの声》は2体の《秘密を掘り下げる者》と交換できることになる。空飛ぶナカティルと交換する能力は、全てのデッキが考慮しなければならないものだ。その事実を考慮すれば、このデッキは1枚で《昆虫の逸脱者》に対して優位に立てる力によって競技環境における強力な候補になることができる。

《金切るときの声》の強さは、部分的には、複数ターンに渡って分けて使えることにある。これによってこのデッキは、よく単一の脅威のために注ぎ込むマナを時間を越えて分散することができる。このように、《金切るときの声》は《墓所のネズミ》や《電謀》、そして《残響する真実》のような天敵に対していくらか耐性がある。これらのカードはトークン戦略にとって古くからの壁であり、《金切るときの声》によって役立たずになるわけではない。しかし、いくらか効き目を失わせることはできる。

デッキを押し上げる第二の柱は記事の最初に関連している―《宝船の巡航》の隆盛だ。《宝船の巡航》は、Pauperのプレイの仕方を根本から変えてしまった。以前のゲームはほとんどが1対1のやり取りであったのに対し、現在は単純にボートに乗ってアドバンテージを確立するまでの道のりでしかない。《宝船の巡航》の出現は伝統的な白ウィニーを競技環境から排除してしまった。白単ウィニーは時として最高のデッキだったが、それは最高の相打ちリソースを前提としたものだった。《戦隊の鷹》、《骨断ちの矛槍》、《コーの空漁師》、そして《忠実な聖戦士》によって白単ウィニーは単純に相手の呪文を無効化することができた。《宝船の巡航》によってもはやこれは成り立たない。使い果たした呪文が《巡航》のさらなる燃料となり、さらなる除去を引いてくることになるからだ。このプレイスタイルは人気のイゼットコントロールにおいて最も良く示されている、《宝船の巡航》デッキは好物の黒単コントロールを押しのけると同時に、普通の白ウィニーを圧倒してしまった。

最も重要な相性の変化は、しかしながら、デルバーに伴うものだった。白ウィニーは決してデルバーが苦手ではないし、優れた白ウィニー使いにとっては大抵有利な相手だった。これはリソースを効率良く使うという白使い達の能力に起因していて、デルバーは最善を尽くそうとも常にカードの上で後れをとっていた(仮想的にも現実的にも)。今や《宝船の巡航》によってこれはもはや通用しない。それに加えて、《コーの空漁師》―白ウィニーを長い間支えていたクリーチャー―の能力が負担というよりむしろ利点となっていた以前の環境と比べて、新しいメタゲームは遥かにテンポ指向なんだ。

この《コーの空漁師》をベースとした白ウィニーの減少がトークンを解き放った。《コーの空漁師》は斬新なプレイスタイルを要求する。《空漁師》は、たとえ出し直すためのクリーチャーがいなくても土地1つをコストにして2ターン目に出すことができた。トークンデッキは一方で、毎ターン土地を伸ばす必要がある。デッキで最高のカードはそれが生み出すパワーと同じだけのマナを必要とするからだ。3ターン目の《急報》は2ターン目のそれと比べて遥かに弱い。そういった要求から《コーの空漁師》はデッキから外され、逆に呪文の枠が増えている。しかしながら、今や《コーの空漁師》は別の飛行戦力である《金切るときの声》と競合しているし、《ときの声》は主役を張れるカードだ。1/1クリーチャーしか出さないとはいえ、それを4体出すことが出来る。これは《宝船の巡航》で引くカードの枚数よりも1多いんだ。僕が先週言及したように(bit.ly/1G6KSEw)、パワーレベルが同等とは言えなくとも、《金切るときの声》は《宝船の巡航》デッキ相手に唱えても決して恥ずかしくないくらい強い。白いデッキのクリーチャーが強固さから数へと変化したことは、《宝船の巡航》の流行にその原因をたどることが出来るんだ。

では、このデッキはどのように動くのだろう?表面的には、その戦略はブロッカーよりも多くのトークンを生み出して20点のダメージを与えるというものだ。その道のりは複数の《護衛の制約》や《レイモス教の再興》のようなカードによって後押しされる。非常に冗長的なことに、このデッキには全く同じ役割のカードが複数入っている:《急報》、《町民の結集》、《金切るときの声》そして《三つぞろいの霊魂》;《宿命の旅人》と《戦隊の鷹》。記事の最初に挙げたいくつかのデッキと違って、白ウィニートークンは順序に関係なくそのパーツを組み立てることができるし、なおかつそれらは有効な戦力になるんだ。同じようなカードが高い割合で詰まっていることは、君が次のPauperイベントでこのデッキを選択する理由の1つになるね。

このデッキにとって最も重要な技術は、呪文の優先順位のつけ方だ。除去を散らすのも必要だが、与えるダメージを最大化するのが先決だ。時には、正反対に見えるかもしれないが、次の攻撃がより良くなるのならば《三つぞろいの霊魂》を唱えるためにタップアウトすることも正解だ。間違いなく綱渡り的なのは、このデッキは忍耐強いプレイヤーに報いると同時に、積極的なプレイヤーに報いることもあるということだ。

多くの場合は待つことが正解なのだが、このデッキは追い詰められた状況で上手くいかないことが多い。《金切るときの声》は何もないところから盤面を再構築してくれるが、依然として助けが必要だ。優先順位の話に戻ると、《町民の結集》やそれ系を温存するタイミングを知ることは、おそらくこのデッキについて学ぶべき2番目に重要な技術だ。与えられるであろうダメージと、長いゲームにどれだけ勝ち目があるのかのバランスだね。

メインデッキで1つ好きになれないカードが《未達への旅》だ。僕が思うに、このデッキは”サイドボードに《稲妻》を積むべき”(bit.ly/1BH3hYO)デッキの最高のサンプルだ。Sam Blackの唱えるこのコンセプトは、「あるデッキは、その目的のためにとても尖っていて、どんなに強い除去にもメイン60枚の枠を割くことはできない」というものだ。絶対に対処しなければならないクリーチャーというのは居る―《ファングレンの匪賊》のサイズとゲームを長引かせる能力は忘れていい―けれど、それらはそんなに高い頻度で遭遇しないから、ゲームプランを変えなければいれけないようなカードを入れる必要はないんだ。白ウィニートークンはブロッカーを除去しなくても良いくらい横に広がることができる。それじゃあデッキはどうなったかな?
Harsh Tokens
Proposed Pauper deck by Alex Ullman

クリーチャー 15枚
4 《宿命の旅人/Doomed Traveler(ISD)》
3 《無私の聖戦士/Selfless Cathar(ISD)》
4 《戦隊の鷹/Squadron Hawk(M11)》
4 《縫合の僧侶/Suture Priest(NPH)》

その他の呪文 22枚
4 《町民の結集/Gather the Townsfolk(DKA)》
4 《急報/Raise the Alarm(MRD)》
4 《金切るときの声/Battle Screech(JUD)》
3 《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits(M15)》
3 《護衛の誓約/Guardians’ Pledge(M12)》
2 《レイモス教の再興/Ramosian Rally(MMQ)》
2 《過酷な命の糧/Harsh Sustenance(FRF)》

土地 23枚
16 《平地/Plains》
4 《磨かれたやせ地/Scoured Barrens(FRF)》
1 《沼/Swamp》
1 《エスパーの全景/Esper Panorama(ALA)》
1 《隔離されたステップ/Secluded Steppe(ONS)》

サイドボード
3 《未達への旅/Journey to Nowhere(ZEN)》
3 《亡霊招き/Beckon Apparition(EVE)》
3 《隔離する成長/Sundering Growth(RTR)》
2 《虹色の断片/Prismatic Strands(JUD)》
2 《マルドゥの軍族長/Mardu Hordechief(KTK)》

《過酷な命の糧》は、初めて公開された時にそれなりに話題になったカードだ。その議論はトークン戦略を中心にしたものだった。ここでは追加の踏み荒らし効果として役に立つが、それは使い方のうちのたった1つだ。《過酷な命の糧》が重い《ソリンの渇き》にもなるというのは、このデッキが正に必要としていたものだ。ライフを削り取りながら自分の安全を図れる頼りになるカードでありながら、クリーチャーを殺すこともできる能力は《未達への旅》よりはるかに強力だ。2色目を足すことによる本当の負担もあるが、このインスタントの強さにはそれだけの価値があると思うよ。

このバージョンの別の新機軸はPauperのベテランであるDeluxeicoffから生まれた(bit.ly/1G6KxSm)。《縫合の僧侶》は《魂の管理人》の良く出来た寄せ集めで、《フェアリーの大群》コンボのライフを少し辛くすることもできる。《幽霊のゆらめき》を複数回唱えて勝てるくらい十分に多いライフを要求するするからね。《縫合の僧侶》はぶっ刺さるカードではないけれど、別のマッチアップでの実用性を兼ね備えながら《フェアリーの大群》コンボとの戦いを助けてくれる。

現在組まれているサイドボードは僕の好みだ。《亡霊招き》はプランに沿ったカードで、攻撃の手を緩めることなくキーカードを追放してくれる。《隔離する成長》も同様におまけのクリーチャーが付いてくる。《未達への旅》はなんらかの除去しなければならないクリーチャーがいれば許容できる。《主の募兵》は長期戦のためのもの、《マルドゥの軍族長》はブロッカーが必要なとき地上の支えだ。

現状では、3枚目の《過酷な命の糧》のために《護衛の制約》を切り捨てることも考えている。《従者つきの騎士》と《砂草原ののけ者》も同じように枠を争っている。トークンは、新しいカードによってさらに強くなる準備が整ったに過ぎない。そしてそれは大変結構なことだ。時には、ただ剣を振り上げ、敵を目掛けて突き進みたくなるものさ。


Keep slingin’ commons-

-Alex
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ご存知のように、先日「タルキール龍紀伝」の全カードが公開されました。
肝心の白のカードはそれほどでも無い気はしますが、
自分の攻撃クリーチャーの分だけライフを吸い取る《忌呪の金切り声》
クリーチャーを出すたび相手に1点ダメージを与える《衝撃の震え》
と、トークン戦略にマッチしたカードが登場したので更なる進化に期待したいです。

記事の最初のリストを作ったNaga_tsukiさんは、Diary Noteでトークンの考察も書いてらっしゃるのでぜひ探してみてください(http://nagatsukiedh.diarynote.jp/)。

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